概要

Anthropicは2026年5月末にも、300億ドル(約4兆5,000億円)を超える大型資金調達ラウンドをクローズする見込みであることが複数の報道で明らかになった。リードインベスターにはSequoia Capital、Dragoneer Investment Group、Altimeter Capital、Greenoaks Capital Partnersの4社が名を連ね、それぞれ約20億ドルを出資するとされる。成立すれば評価額は9,000億ドル超となり、OpenAI(評価額8,520億ドル)を初めて上回り、世界で最も高く評価された非上場AIスタートアップの座を獲得することになる。

急成長する売上とClaude Codeの貢献

今回の高評価を支える背景には、目覚ましい収益成長がある。AnthropicはQ1(2026年第1四半期)の売上48億ドルから、Q2(第2四半期)には109億ドルへほぼ倍増する見通しを示しており、6月末時点での年率換算売上は500億ドル超に達する予測だ。この急成長を牽引しているのが、2025年5月にローンチしたエージェント型コーディングツール「Claude Code」で、ローンチからわずか6ヶ月で年率換算10億ドルの売上を突破したとされる。Anthropicはこの勢いを受け、2026年第2四半期に初の四半期営業黒字を達成する見通しも明かしている。なお、これらの数値は非監査・非GAAPの会計手法に基づくものであり、上場企業基準の報告とは異なる点には留意が必要だ。

IPOへの視線とOpenAIとの競争

今回の調達は、Anthropicが準備するIPO(新規株式公開)への布石とも見られている。同社は2026年10月の市場デビューを検討しており、Goldman Sachs、JPMorgan、Morgan Stanleyとの初期協議が進んでいると報じられている。IPO時の調達額は600億ドルを超える可能性もあるという。一方、競合のOpenAIは5月22日に非公開でIPO目論見書を提出しており、両社ともに2026年内の上場を目指して激しい競争を繰り広げている。また、AI研究者のAndrej Karpathyが事前学習(プリトレーニング)研究チームを率いる形でAnthropicに参画したことも明らかになっており、人材面でも注目を集めている。

法的・事業上のリスク

急成長と高評価の一方で、Anthropicはいくつかのリスクも抱えている。著作者との著作権侵害に関する15億ドルの和解交渉や、音楽出版社から提起された30億ドルの訴訟が進行中だ。また、米国防総省(DoD)からのサプライチェーンリスク指定をめぐっても訴訟を起こしている。さらに、収益予測の実現可能性について、SpaceXとのインフラ契約による一時的なコンピュート費用の割引に依存している可能性を指摘するアナリストもおり、長期的な収益構造の持続性については慎重な見方も残る。