概要
Node.jsチームは2026年5月20日、Current系の最新版となるNode.js 26.2.0をリリースした。リリースマネージャーは@aduh95が務め、100件以上のコミットが含まれる大型アップデートとなっている。今回の目玉は、JavaScriptのTemporal APIをファイルシステム統計オブジェクトへ組み込んだことに加え、次世代の量子耐性暗号アルゴリズムのサポート開始、そしてHTTPプロトコルに関する利便性向上である。
Temporal APIとファイル統計の統合
セマバー的にMINORの追加として、fs.Statsおよびfs.BigIntStatsオブジェクトにTemporal.Instantサポートが実装された(PR #60789)。従来のDateオブジェクトはタイムゾーン処理や算術演算において多くの落とし穴があったが、Temporal APIを活用することでより精確かつ安全な日時操作が可能になる。合わせてStatsオブジェクト上のDateプロパティがenumerableに変更され(PR #63328)、オブジェクトの列挙やシリアライズ時の挙動が改善された。
量子耐性暗号のサポート
BoringSSL環境向けにML-DSA(Module-Lattice-Based Digital Signature Algorithm)とML-KEM(Module-Lattice-Based Key-Encapsulation Mechanism)の2つの量子耐性暗号アルゴリズムが追加された。これらはNIST(米国標準技術研究所)が標準化を進めているポスト量子暗号の代表格であり、将来の量子コンピュータによる攻撃に備えたアプリケーション開発が可能となる。暗号関連では他にも、Web Cryptography APIでのChaCha20-Poly1305とAES-KWのサポート追加、CryptoKeyとKeyObjectの内部スロットセキュリティ強化、macOSでのシステム証明書列挙改善なども含まれている。
HTTP 1xxステータスコードとその他の新機能
HTTPモジュールに新メソッドwriteInformation()が追加され(PR #63155)、任意の1xxステータスコードを応答として送信できるようになった。これにより、103 Early Hintsなどのプリロードヒントや進捗通知など、中間的なHTTPレスポンスを扱う実装が容易になる。また長らく実験的扱いだったstream.composeがstableとして昇格したほか、QUICプロトコルの内部実装が完全に整備され--allow-netパーミッションへの対応も加わった。テストランナーでもタグによるフィルタリング機能が追加され、大規模なテストスイートの管理が改善された。
依存関係の更新
主要な依存パッケージも更新されており、undiciが8.3.0、corepackが0.35.0、sqliteが3.53.1、simdjsonが4.6.4、QUICライブラリのngtcp2が1.22.1へそれぞれバージョンアップしている。Node.js 26.2.0のバイナリおよびソースコードは公式サイトからダウンロード可能だ。