概要
AIチップ設計企業のCerebras Systemsは2026年5月14日、NASDAQへの上場を果たし、2026年のIPOシーズンを華々しく幕開けした。IPO価格は当初の想定レンジ(115〜125ドル、後に150〜160ドルへ引き上げ)を大幅に上回る1株185ドルに設定され、3,000万株の発行で合計55億ドルを調達した。上場初日、株式は385ドルで取引を開始し、IPO価格から108%超の急騰を記録。終値は311ドルで、時価総額は約660億ドルに達した。翌日には約10%の反落となったものの、同社のデビューは2026年最大規模のテックIPOとして市場に強い印象を残した。
財務状況と成長
Cerebrasの急成長ぶりは上場前から際立っていた。2025年の売上高は5億1,000万ドルで前年比76%増を達成し、純利益も2億3,780万ドルの黒字に転換した(前年は約5億ドルの赤字)。この急速な収益改善が投資家の強い関心を集め、当初の想定を大幅に上回るIPO価格設定につながった。共同創業者でCEOのAndrew Feldman氏の保有株はIPO価格時点で約19億ドル、CTOのSean Lie氏の保有分は約10億ドルと評価された。
製品・競合・顧客基盤
Cerebrasは「AIに特化して設計された」推論チップを手がけ、AI半導体市場でNvidiaと真っ向から競合するポジションにある。主要顧客にはOpenAI、UAE系投資企業のGroup 42、サウジアラビアのモハメド・ビン・ザーイド人工知能大学(MBZUAI)、Amazon Web Servicesなどが名を連ねる。ただし、同社は2024年にIPOを計画した際、Group 42からの出資に関するCFIUS(対米外国投資委員会)の審査や特定顧客への売上集中を懸念されて上場を一時棚上げしていた。2026年4月に顧客基盤を多様化し収益性指標を改善した上で再申請し、今回の上場に至った。
今後の展望
上場翌日の株価調整は見られたものの、AIインフラ需要が引き続き拡大する中、Cerebrasの成長軌道への期待は依然として高い。今回調達した55億ドルは、製品開発の加速や顧客基盤のさらなる拡充に充てられる見通しだ。AIチップ市場でのNvidiaへの対抗軸として、同社の今後の動向が注目される。