概要

Microsoftは2026年5月13日、Visual Studio Code 1.120を正式リリースした。今回のリリースの目玉は、これまでVS Code Insidersでのみ提供されていたエージェントウィンドウ(Agents Window)が、Stable版でもプレビューとして利用できるようになったことだ。エージェントウィンドウはマルチプロジェクト対応の新しいウィンドウタイプで、AIエージェント主導の開発ワークフローに最適化されている。今バージョン全体を通じてAIコーディング体験の強化が中心的なテーマとなっており、開発者がより自然にAIと協働できる環境の整備が進んでいる。

エージェントウィンドウの正式版昇格

エージェントウィンドウがStable版でプレビュー提供されるようになったことで、複数のプロジェクトをまたいだエージェント駆動の開発をStableのVS Codeでも試せるようになった。主な機能強化として、設定の永続化、変更の破棄機能の強化、セッション間でのアップストリーム変更の同期が含まれる。変更に対するインタラクションがより確定的になり、セッションが完了した際にすべての変更を一覧で確認できる機能や、最近のセッション間をナビゲートする機能も追加された。ウィンドウごとに設定を上書きできる柔軟性も備わっており、チームや用途に応じた細かなカスタマイズが可能となっている。

言語モデルとチャット機能の改善

BYOK(Bring Your Own Key)機能においては、トークン使用量の正確な表示とコンテキストウィンドウの可視化が追加され、利用状況をより把握しやすくなった。また、推論モデルに対して「思考努力」レベルを設定できるようになり、処理の深さを用途に応じて調整できる。プロバイダ別にモデルピッカーが整理されたことで、複数のAIプロバイダを使い分ける際の利便性も向上している。

チャット機能では、ターミナル出力圧縮(プレビュー)が追加された。大きなdiffのうち変更されていないハンクを折りたたんだり、ロックファイルのdiffを削除したりすることでコンテキストウィンドウの消費量を削減できる。さらに実験的機能として、ターミナルコマンドの実行前に安全性レベル(安全/注意/要注意)を表示するリスク評価機能も導入された。

Markdownとその他の改善

Markdown編集機能も強化され、プレビューdiffとしてレンダリングされたMarkdown上でそのまま差分を確認できるようになった。スマート選択機能ではテーブルのセルから行、テーブル全体へと段階的に選択範囲を広げられるようになり、テーブル編集の操作性が向上した。HTMLのid属性を使ったアンカーリンクの補完と検証にも対応している。APIレベルでは、カスタムエディタdiff用の提案APIやdiffアルゴリズムを拡張に公開するドキュメントdiff APIも追加されており、拡張機能開発者にも新たな可能性が広がっている。

今後の展望

ターミナルリスク評価やターミナル出力圧縮のような実験的・プレビュー段階の機能が今後の正式版昇格を見据えて着実に整備されており、VS Codeにおけるエージェント型AI開発支援のインフラが一歩ずつ固まっている様子がうかがえる。エージェントウィンドウのStableへのプレビュー展開を皮切りに、AIコーディング機能がVS Codeの中核として定着していく方向性が今バージョンでも明確に示されている。