概要
Synergy Researchが発表した調査レポートによると、2026年第1四半期のクラウドインフラ市場の四半期売上は1,290億ドル(約20兆6,400億円)に達し、年率換算収益が初めて5,000億ドル(約5,140億ドル)を突破した。前年同期比成長率は35%で、これは2021年第4四半期以来の最高水準であり、しかも9四半期連続で成長率が加速しているという異例の状況にある。過去12か月の累計収益も4,550億ドルに達している。
同社のチーフアナリスト、ジョン・ディンズデール氏は「Q1市場は10年前の15倍の規模に成長しており、現在も年率35%で拡大を続けている」とコメント。かつて成長が鈍化していたクラウド業界が、生成AIの爆発的な需要を受けて新たな成長局面に入ったと分析している。
大手3社のシェアと競合の台頭
市場シェアの構成はAWSが28%、Microsoft Azureが21%、Google Cloudが14%と前四半期から変化がなく、上位3社合計でパブリッククラウド市場の67%を占める。市場全体が35%成長しているにもかかわらず各社のシェア比率が不変なのは、大手3社がいずれも市場平均と同等のペースで成長していることを意味する。なお、MicrosoftとGoogle CloudはAWSを上回るペースで成長しているとも報告されており、シェア率の変化がより長期的な視点で注目される。
一方、AIワークロードに特化した「ネオクラウド」企業の台頭も顕著だ。CoreWeave、OpenAI、Oracle、Crusoe、Nebius、Anthropic、ByteDanceといった企業を含むネオクラウド5社がすでにトップ30プロバイダーにランクインしており、これらが合計で市場全体の約5%を占めるまでに急成長している。
地域別の成長動向と今後の見通し
地域別では米国市場が最大の規模を保ちつつ、Q1に37%の成長を記録した。アジア太平洋地域ではインド、インドネシア、台湾、タイ、マレーシアが現地通貨ベースで特に高い成長率を示した。欧州では規模面でUKとドイツがリードし、成長率ではアイルランド、ノルウェー、ポーランドが上位に入っている。
今後の見通しについて、Synergy Researchは生成AIの普及がクラウド消費をさらに押し上げ、新たな商業機会を創出し続けるとして、高い成長基調が継続すると予測している。市場の規模が大きくなるにつれ、同じ成長率を維持することは通常困難になるが、AIという構造的な需要ドライバーがある限り、急成長が当面続くとの見方が有力だ。