概要

OpenAIは2026年5月11日、最新のサイバーセキュリティ特化AIモデル「GPT-5.5-Cyber」について、欧州連合(EU)の政府機関およびセキュリティ関連組織向けにプレビューアクセスを提供すると発表した。これは、AIを安全保障・サイバー防衛分野に活用したいとするEU側の要求に応えた動きであり、米欧間のAI技術協力をめぐる交渉における大きな前進と位置付けられる。一方で、AnthropicはAIモデル「Mythos」のEUへのアクセス提供について引き続き保留姿勢を維持しており、EU規制当局との協議が継続していることが明らかとなっている。

企業間の対応姿勢の違い

OpenAIとAnthropicの対照的な姿勢は、EU市場への展開戦略および規制対応の考え方における違いを示している。OpenAIはEUとの積極的な協力路線を選択し、サイバーセキュリティ分野のモデルを先行提供することでEU規制当局との信頼関係を構築しようとしている。一方Anthropicは、Mythosの公開後もEUへのプレビューアクセス提供に合意していない。欧州委員会との協議は4〜5回行われたものの、OpenAIとの交渉と比べて「異なる段階」にあるとされ、Anthropic自身からの説明は明らかになっていない。

EU規制環境とAI安全保障活用をめぐる背景

EUはフロンティアAIモデルがサイバー攻撃の加速や重要インフラへのリスクをもたらす可能性に懸念を強めており、米国のAI企業に対して透明性の確保や規制当局による事前評価の機会を求めている。OpenAIによるGPT-5.5-CyberのEUプレビュー提供は、こうした規制要件に対応しながら市場拡大を図る戦略の一環とみられる。今後、他のAI企業がどのような形でEU規制環境に適応していくかが、欧州におけるAI競争の行方を左右する重要な要素となりそうだ。