概要

任天堂は2026年5月8日の決算発表で、Nintendo Switch 2の米国価格を現行の449.99ドルから499.99ドルへ50ドル引き上げると発表した。米国・カナダ・欧州での値上げは2026年9月1日より実施される予定で、日本では先行して5月25日から49,980円から59,980円へ引き上げられる。背景にあるのはAIデータセンター向け需要の急増により高騰しているメモリチップ価格で、これに米国の関税措置が重なり、任天堂は今期だけで約1,000億円規模の損失を見込んでいる。こうした発表を受けて東京市場の任天堂株は約10%下落し、2024年8月以来の安値水準に沈んだ。

販売見通しの下方修正

今期のSwitch 2ハードウェア販売台数の予測は1,650万台にとどまり、前年の1,986万台から大幅に減少する見通しだ。ゲームソフトの販売目標も6,000万本と発表されたが、投資家からは力強さに欠けると受け止められた。さらに業績予想もアナリスト予想を下回っており、市場の失望感は大きい。任天堂はすでに年末商戦の低調な販売を受けてSwitch 2の生産を30%以上削減していたとも伝えられており、需要の鈍化は以前から続いていた構造的な課題でもある。

メモリ高騰と関税の二重苦

Switch 2の採算性を直撃しているのが、メモリチップのコスト上昇だ。生成AIブームを背景に大規模なデータセンター投資が世界中で進んでいることで、DRAMやNANDフラッシュなどの半導体メモリ市場では供給が逼迫し、価格が高騰している。コンシューマー向けゲーム機はAIサーバーと同じサプライチェーンを共有しており、その煽りを直接受けた形だ。加えて米国の対外関税政策により部品調達コストがさらに押し上げられており、任天堂はこの二重のコスト圧力に対応するため値上げに踏み切らざるを得なかった。

市場と投資家の反応

決算内容が市場予想を大幅に下回ったことで、任天堂株は東京市場で約10%急落し、過去3か月で最大の下げ幅を記録した。投資家の間では、Switch 2が初代Switchほどの爆発的な普及を見せないのではないかという懸念が強まっている。初代Switchは低迷期からの回復という物語が株価を支えた経緯があるが、Switch 2は発売2年目にして早くも減速局面に入りつつある。値上げによる利益率の防衛と販売台数の維持という二律背反を、任天堂がどのように解消するかが今後の焦点となる。