概要
AIインフラ企業のIREN Limited(NASDAQ: IREN)は2026年5月7日、NVIDIAと5年間の大型AIクラウドサービス契約を締結したと発表した。契約総額は約34億ドルに上り、IRENはNVIDIAの社内AI・研究ワークロード向けに管理型GPUクラウドサービスを提供する。この契約は、IRENが単なるGPUデータセンター事業者から、ソフトウェアスタックを含むフルスタックAIクラウドプロバイダーへと転換を本格化させる重要なマイルストーンとなる。
契約の技術的詳細
本契約に基づくサービスは、テキサス州チルドレスキャンパス内の既存データセンターに展開される。主要な技術仕様は以下のとおりだ。
- プラットフォーム:エアクール式NVIDIAブラックウェル(Blackwell)システム
- 展開規模:約60MWの電力容量
- ソフトウェア統合:Mirantisと連携したオーケストレーションおよびクラスター管理ソフトウェア
IREN共同創設者兼共同CEOのDaniel Roberts氏は「この契約は、ベアメタルの提供にとどまらず、包括的なマネージドクラウドソリューションを提供できる能力を実証するものだ」とコメントしており、ソフトウェア層を含むサービスの高度化を強調した。
フルスタックAIクラウドへの転換
今回の契約発表は、IRENが直前に実施したMirantisの買収(6億2,500万ドル)と合わせて理解する必要がある。Mirantisはオーケストレーションやクラスター管理に強みを持つソフトウェア企業であり、その買収によってIRENはGPUハードウェアの提供だけでなく、AIワークロードの運用管理に必要なソフトウェアレイヤーも自社で賄えるようになった。NVIDIAとの本契約では、このMirantisの技術が実際に活用されており、買収の戦略的合理性を裏付ける形となっている。
今後の展望
IRENは北米・ヨーロッパ・アジア太平洋地域にわたる大規模データセンターと電力インフラを保有し、再生可能エネルギーが豊富な地域での展開を強みとしている。世界最大のGPUサプライヤーであるNVIDIA自身が顧客となったことは、IRENのインフラおよびサービス品質に対する強力なお墨付きとなり、今後の顧客獲得にも追い風となりそうだ。34億ドルという契約規模はAIクラウド業界においても際立っており、IRENが本格的な競合プロバイダーとしての地位を確立しつつあることを示している。