概要

Google DeepMindの英国拠点の従業員が、フロンティアAI研究機関として世界初となる労働組合の結成を目指して投票を行い、98%という圧倒的な賛成多数で可決した。この動きの直接的な引き金となったのは、GoogleがGeminiAIモデルを機密軍事ネットワーク内で「あらゆる適法な目的」に使用することを米国防総省(ペンタゴン)に許可した契約の締結だ。この契約に対しては社内外から強い反発が起きており、600名以上のGoogle従業員が公開書簡で抗議の意を示している。

組合の要求と背景

従業員が加入を求めているのはCommunication Workers Union(CWU)とUnite the Unionの2つの組合だ。組合側が掲げる主な要求は、ペンタゴンおよびイスラエル軍向けの軍事AI利用の停止、2025年2月に同社のウェブサイトから削除されていた「兵器・監視AI開発禁止」公約(2018年制定)の復活、独立した倫理監視機関の設置、そして従業員個人が道徳的理由からプロジェクト参加を拒否できる権限の付与である。批評家は、今回のペンタゴン契約が自律型兵器の開発や市民への大規模監視技術につながりかねないと警告している。

企業側の反応と今後の見通し

Google DeepMindの広報担当者は「建設的な対話を常に重視してきた」としつつも、「この段階では労働組合化の投票は行われていない」と組合結成の事実を事実上否定する姿勢を示した。一方、CWU技術労働者部門のJohn Chadfield全国幹部は、「集団化の権利を行使することで、従業員は雇用主に軍事産業複合体との契約を停止させるよう強く求められる立場にある」と述べた。Googleが自発的に組合を承認した場合、ロンドンオフィスに勤務する約1,000人の従業員が代表を得ることになる。組合側は10営業日以内の自発的承認またはあっせん交渉への合意を要求しており、これが実現しなければGemini AIを含む中核製品への業務拒否を含むストライキも辞さない構えだ。AIの倫理と軍事利用をめぐる研究者の集団行動は、業界全体に波紋を広げる可能性がある。