概要

垂直統合型AIクラウドプロバイダーのIREN Limitedは2026年5月5日、KubernetesベースのクラウドインフラプロバイダーMirantis, Inc.を約6億2,500万ドル相当のIREN普通株式で買収すると発表した。全額株式による取引で現金の支払いはなく、買収額はIRENの現在の時価総額164億4,000万ドルの約4%に相当する。規制当局の承認など慣例的なクロージング条件を満たした後に取引が完了する見通しだ。

MirantisとIRENの技術的背景

Mirantisは世界1,500社以上のエンタープライズ顧客を持つクラウドインフラの老舗企業で、NVIDIA AI Cloud Ready Initiativeの創設メンバーパートナーでもある。同社が提供する「k0rdent AIプラットフォーム」は、ベアメタル・仮想マシン・Kubernetes環境にまたがる形でAIインフラを統合管理できるのが特徴だ。

一方のIRENは、米国およびカナダの再生可能エネルギーが豊富な地域でデータセンターとGPUクラスターを運営する垂直統合型AIクラウドプロバイダーだ。AIトレーニングおよび推論向けコンピュートを中心に事業を展開しており、過去1年間で株価が699%上昇するなど急成長を遂げている。

買収の戦略的意図

IREN共同創業者兼共同CEOのDaniel Robertsは、「IRENの強みは実行力にある」と述べ、インフラ構築からGPU展開に至る一貫した実行能力を今回の買収でさらに高める狙いを示した。具体的にはMirantisの技術・人材・顧客基盤を活用することで、(1)コンピュートの展開能力向上、(2)運用可視化の強化、(3)カスタマーサポートの拡充、(4)市場アクセスの拡大の4点を実現する計画だ。

Mirantis創業者兼CEOのAlex Freedlandは「10年以上にわたり企業がクラウドインフラを展開・管理するのを支援してきた。IRENとの統合でAIインフラをより迅速にオンラインにできる」とコメントしており、両社のシナジーに強い期待を示している。

今後の展望

Mirantisは買収後も独立した子会社として引き続き運営され、既存の1,500社以上の顧客へのサービスを維持しながらIRENのAIクラウド展開を支援していく予定だ。AIクラウドの需要が急拡大する中、今回の買収はIRENがインフラ整備だけでなくソフトウェア管理・エンタープライズ向けサービスまでを一気通貫で提供できる体制を整えるうえで重要な一手となる。