概要
MetaはAIモデル「Muse Spark」の最新機能として、複数のエージェントが並列で推論し回答を合成する「Contemplating」モードをWhatsApp・Instagram・Facebook・Messenger、そしてMetaのAIスマートグラスを含む全プラットフォームへのロールアウトを開始した。Muse Sparkは2026年4月8日にMeta Superintelligence Labsが発表した初の大規模言語モデルであり、従来のLlamaシリーズとは異なり、オープンソースとして無償公開するのではなく同社サービスに統合する形で展開されている。JPモルガンのアナリストはMuse Sparkが「MetaをAIの会話に引き戻した」と評しており、ウォール街でのMeta AI戦略への注目が高まっている。
Contemplatingモードの技術的特徴
Contemplatingモードは、困難な問題を解決するために複数の並列エージェントが協調して推論する仕組みを採用している。MetaはこのアーキテクチャについてGoogle Gemini Deep ThinkやOpenAI GPT Proと同等の水準であると説明しており、「レイテンシを大幅に増加させることなく、より多くのテスト時推論を並列エージェント数を増やすことで実現できる」としている。ベンチマークではHumanity’s Last Examで58%、FrontierScience Researchで38%を達成しており、複雑な推論タスクへの対応力を示している。通常の「Instant」モードとの使い分けはユーザーがタスクに応じて選択できる。
ZuckerbergのAI戦略とウォール街の評価
Muse SparkはMeta Superintelligence Labsが手がけた初のモデルであり、同ラボはScaleAI創業者のAlexandr Wangが最高AI責任者として率いている。WangはMetaが143億ドルを投じてScaleAIに出資した際に入社した人物であり、同社のAI組織を一新した象徴的存在だ。Metaは2026年のAI関連設備投資として1,250億〜1,450億ドルを見込んでおり(Q1決算で従来予想の1,150億〜1,350億ドルから上方修正)、2025年の722億ドルから大幅に増加している。Zuckerbergが掲げるビジョンは「Personal Superintelligence」、すなわちすべての人が思考・計画・コミュニケーション・行動を代行する専用AIエージェントを持てる世界だ。
業績と今後の展開
MetaはQ1 2026の決算で調整後EPS 7.31ドル(予想6.79ドル)、売上高563億1,000万ドル(予想554億5,000万ドル)と市場予想を上回ったが、通期の設備投資見通しの引き上げが嫌気され時間外取引で株価は約7%下落した。ウォール街はMuse Sparkの技術的な可能性を認めつつも、ChatGPTやClaudeに匹敵するスケールでのコンシューマー利用を実現するための具体的な戦略を引き続き求めている。Contemplatingモードの全プラットフォーム展開は、まずアメリカから開始し、その後数週間以内に他国への拡大が予定されている。