概要

コロラド州を拠点とする宇宙防衛スタートアップTrue Anomalyは2026年4月28日、シリーズ Dラウンドで6億5,000万ドル(約950億円)の資金調達を完了したと発表した。企業評価額は22億ドルに達し、2022年8月の創業からの累計調達額は10億ドルを超えた。ラウンドはEclipseとRiot Venturesが共同主導し、新規投資家としてParadigm、Atreides、G Squared、The Private Shares Fund、VanEckが参加。既存投資家のAccel、Menlo Ventures、ACME Capital、Meritech CapitalなどもフォローオンでサポートするとともにStifel Bankからの5,000万ドルの債務融資も合わせて確保した。

このラウンドの発表は、米宇宙軍がGolden Dome向け宇宙ベース迎撃機プロトタイプ開発の契約先としてTrue Anomalyを含む12社を選定した4日後に行われた。これら12社に対して発出された20件のOther Transaction Authority(OTA)契約の総額は最大32億ドルに上る。競合他社にはAnduril Industries、Booz Allen Hamilton、Lockheed Martin、SpaceXなどが名を連ねる。

Golden Domeとは

「Golden Dome」はトランプ政権が推進する総額1,850億ドル規模の弾道ミサイル防衛構想で、宇宙空間にインターセプター(迎撃機)を展開し、ミサイルをブースト(上昇)・ミッドコース(巡航)・グライド(終末)の各段階で撃墜することを目指す。地上ベースの既存防衛システムを補完・代替する宇宙領域での防衛インフラを一から整備する計画であり、政権は2027年の国防予算を1.5兆ドル規模に拡大する方針も示している。

製品と技術

True Anomalyは現在、主に3つの製品・サービスを手がけている。

自律型軌道上機体「Jackal」は小型冷蔵庫ほどのサイズを持つ多目的自律衛星で、軌道上での近傍運用(RPO:Rendezvous and Proximity Operations)から情報収集まで幅広い用途に対応する。宇宙軍のVICTUS HAZEミッション(Rocket Lab衛星とのRPOミッション)への参加も予定されており、実証実績の積み上げを進めている。ソフトウェアプラットフォーム「Mosaic」はミッションプランニングと軌道上戦術意思決定を担い、複数のJackalを統合運用する基盤となる。そして今回のGolden Dome契約の核心となる「宇宙ベース迎撃機」は、ミサイルの3つの飛翔フェーズそれぞれで脅威を無力化できる設計とされている。

CEO Even Rogersは「宇宙は戦闘領域であり、産業界の『デュアルユース』プラットフォームへの偏重は真の戦闘能力を過小評価している」と語っており、純粋な防衛特化型スタートアップとしての立場を鮮明にしている。

今後の展開

調達した資金は主に3つの用途に充てられる。第一に人員増強で、現在約300名(2025年末時点では約250名)の従業員を2026年末までに500名以上へ拡大し、2028年末までには1,000名超を目指す計画だ。第二に製造拠点の拡張で、現在の14万平方フィート(約1.3万平方メートル)の工場を今後4年で200万平方フィート(約18.6万平方メートル)規模まで拡大する。第三に製品ラインの加速で、自律型衛星と宇宙ベース迎撃機の量産・納入を本格化させる。

宇宙防衛分野への民間資本流入は2025年以降急加速しており、True Anomalyの今回のラウンドはその象徴的な事例となった。Golden Domeプロジェクトが本格始動すれば、SpaceXやAndurilといった既存プレイヤーに加え、同社のような新興企業にとっても大規模な契約機会が続くとみられ、宇宙安全保障の商業化という新たな市場の形成が鮮明になっている。