概要
MicrosoftはFY2026第3四半期(Q3)の決算を4月29日(米国東部時間)の市場終了後に発表する予定だ。複数のアナリストや投資家がこれを「2026年最重要テックイベント」と位置付けており、FactSetのコンセンサスでは売上高は約814億ドル(前年同期比16.2%増)、非GAAP EPSは約4.06ドルが見込まれている。株価は年初来で約12%下落しているが、直近の安値から19%回復しており、決算内容が株価本格反転の試金石となる。
Azure AIの成長:再加速か減速継続か
最大の焦点はクラウド事業「Azure」の成長率だ。Azureは前四半期(Q2)に前年比39%増を記録し、30%超えを9四半期連続で維持している。会社側はQ3の成長率を定常通貨ベースで37〜38%と見通しており、アナリストはAzure売上高を263〜265億ドルと予測する。CFOが「顧客需要は供給を超え続けている」と発言したように、成長を制約しているのは需要の鈍化ではなくGPU供給不足だとされている。4月に稼働開始した新データセンター「Fairwater」が供給制約を緩和し、成長率を40%超えに引き上げられるかどうかが問われる。
CopilotとOpenAI契約再編
業務AIアシスタント「Microsoft 365 Copilot」の有料シート数は前四半期で1,500万席(Microsoft 365の約3.3%)に達し、新規シート追加数は前年同期比160%増(過去最大の四半期増加)を記録した。主要エンタープライズ導入は3倍増、GitHub Copilotの有料サブスクリプションは470万件(前年比75%増)に拡大しており、Q3では2,000〜2,500万席の達成が注目される。
4月27日にはOpenAIとの契約の大幅な再編が発表された。従来の独占的ライセンス契約が非独占的契約(2032年まで延長)に変更され、MicrosoftのOpenAIへの収益シェア支払いが廃止される一方、OpenAIからMicrosoftへの支払いは2030年まで上限付きで継続する。この再編はCopilot製品の粗利益率の直接的な改善につながるとアナリストは評価しており、決算時にその影響が数値として確認される見通しだ。
資本支出とProject Helix
Q2の資本支出は375億ドル(前年同期比66%増)で、通年予測は1,100〜1,200億ドルに上る見込みだ。支出の約3分の2はGPU・CPUなどの短期資産に、残りの3分の1はデータセンターなどの長期インフラに充てられている。AI投資の費用対効果に対する市場の目は厳しく、Azureの成長加速がなければ株価の本格回復は難しいとの見方も根強い。
ゲーム事業では、次世代Xboxコンソール「Project Helix」も注目を集めている。GDC 2026で発表された内容によれば、Project HelixはカスタムAMD SoCを搭載し、次世代DirectXおよびFSRに最適化されたアーキテクチャを採用。レイトレーシング性能を「桁違い」に引き上げると謳われている。開発者向けα版ハードウェアは2027年に出荷予定で、ファーストパーティコンソールとしての製造が確定している。4月からはWindows 11への「Xbox Mode」展開も始まっており、ゲーム事業の将来的な収益基盤づくりが進んでいる。
株式市場の評価と見通し
現在のMicrosoftの株価は予想PER22〜25倍で、過去5年平均の32.9倍に比べて3年ぶりの低水準にある。ウォール街では94%のアナリストが「買い」を推奨し、目標株価の中央値は575〜600ドルで現状から37〜42%の上昇余地があると評価されている。AI投資の拡大とリストラを並行して進める戦略的判断の是非が、今回の決算で一定の答えを得ることになる。