概要

MetaとMicrosoftが2026年4月、相次いで大規模な人員削減を発表した。Metaは従業員の約10%にあたる8,000人規模のカットと6,000ポストの採用凍結を実施。Microsoftは米国従業員の約7%(約8,500人)を対象とした希望退職プログラムを導入した。合計2万人を超えるこの同時リストラは、テック大手によるAIへの巨額投資が加速するなか、労働者側に深刻な影響を与えており、「AIによる雇用危機が現実のものになりつつある」との懸念が業界内外で広がっている。

AIへの巨額投資と人員削減の同時進行

両社の動きが注目される背景には、AI投資と人員削減が同時に進行するという矛盾した構図がある。Microsoftは今会計年度だけで約1,450億ドルという巨額の設備投資を見込んでおり、業界全体では7,000億ドル規模がAI競争に投じられると見られている。一方で2026年第1四半期だけで約8万人ものテックワーカーが職を失い、本記事の時点では年間累計9万2,000人超の解雇が確認されている。AI能力の高度化が一部の業務を代替しつつあるとの見方が強まるなか、大規模リストラとAI投資の同時発生は偶然ではないとの指摘が相次いでいる。

Microsoftが「希望退職」を選んだ理由

Microsoftが今回採用した希望退職プログラム(ボランタリー・バイアウト)は、年齢と勤続年数の合計が70以上の従業員を対象としたもので、強制解雇とは一線を画す形をとっている。同社チーフピープルオフィサーのエイミー・コールマン氏は「このプログラムが対象者に自分たちの条件で次のステップを選ぶ機会を提供することを願っている」とコメントした。雇用法専門家のドメニク・カマーチョ・モラン氏は、希望退職が企業に好まれる理由として「長年の忠実な従業員を配慮しつつ、訴訟リスクを回避しながら人員を圧縮できる手法」だと説明する。Googleも同様の施策を先行して導入しており、特定チームで低評価を受けた従業員に対し「支援的な退職経路」を提供していた。

今後の見通しと業界への影響

テック業界は今後もAI導入に伴う構造転換が続くと予想される。大手各社がAIによる生産性向上を理由に組織スリム化を進めるなか、特に経験豊富なベテラン層や特定のエンジニアリング職が影響を受けやすいとされる。一方で、AIシステムの設計・運用・監督に携わる専門職への需要は高まっており、テック人材市場は二極化が進む見通しだ。政策立案者や労働組合からは、AI普及に伴う雇用喪失への対策を求める声が高まっており、業界全体での議論が活発化している。