概要
Solidity Language Teamは2025年度の開発者調査(Solidity Developer Survey 2025)の結果を公開した。今回の調査には87カ国から1,095名の開発者が参加し、Solidityエコシステムの最新動向が浮き彫りになった。前回調査と比較しても回答者数は堅調で、グローバルなSolidity開発者コミュニティの広がりが示された。
調査の目的は、Solidity言語の利用実態、開発環境の傾向、そして開発者が直面している課題を把握し、今後の言語仕様や開発ツールの改善に役立てることにある。Solidity TeamはこのフィードバックをEIP(Ethereum改善提案)や次期バージョンの機能優先順位付けに活用している。
フレームワーク利用状況
開発環境のフレームワークとしては、Foundryが57%のシェアでトップを維持した。Foundryはテストのパフォーマンスや充実したスクリプティング機能が評価されており、ここ数年で急速に普及したツールチェーンだ。以前はHardhatが主流のフレームワークとして長年君臨していたが、近年のFoundryの台頭によりエコシステムのバランスが変化している。
HardhatやRemix、Truffle(現在は開発停止)といった他のフレームワークも引き続き利用されているが、Foundryの圧倒的なシェアは開発者コミュニティの明確な移行トレンドを示している。Foundryの採用拡大は、Rustで実装された高速なコンパイル・テスト実行環境と、Solidity自体でテストを記述できる直感的なアプローチが支持されている結果といえる。
開発者が抱える主な課題
調査ではデバッグとスタック深度エラー(stack too deep)が依然として開発者の最大の課題として挙げられた。スタック深度エラーはEVMアーキテクチャの制約(最大16個のスタック変数)に起因するもので、複雑なロジックを持つコントラクトを実装する際に多くの開発者が直面する問題だ。これに対してSolidity Teamは新しいSSA CFGコード生成パイプラインの開発を進めており、スタック深度エラーの根本的な解消を目指している。
デバッグ環境の改善も引き続き重要な要望として挙げられた。スマートコントラクトのデバッグはオンチェーン実行の特性上、従来のソフトウェア開発とは異なるアプローチが必要であり、より詳細なエラーメッセージやトレース機能の充実が開発者から求められている。
今後の展望
調査結果はSolidity言語の今後の開発ロードマップに直接反映される予定だ。Solidity Teamは開発者からのフィードバックを重視しており、毎年の調査はコミュニティとの重要なコミュニケーション手段となっている。スタック深度制限への対応やデバッグ体験の向上、そしてコンパイラのパフォーマンス改善が引き続き優先課題として取り組まれる見込みだ。
Solidityはイーサリアムをはじめとする多くのEVM互換ブロックチェーン向けスマートコントラクト開発において事実上の標準言語としての地位を維持しており、今後も活発なコミュニティとともに進化が期待される。