概要

Free Software Foundation(FSF)が公認するLinuxディストリビューション「Trisquel GNU/Linux」の最新版、バージョン12.0が2026年4月にリリースされた。コードネームは「Ecne」。Ubuntu 24.04 LTS(Noble Numbat)をベースとするLTSリリースであり、サポート期間は2029年まで。Trisquelはプロプライエタリなソフトウェアやバイナリブロブを一切含まない、完全にフリーなGNU/Linuxシステムを提供することを目的としており、家庭ユーザー・中小企業・教育機関向けに設計されている。

主な新機能と技術仕様

カーネルにはGNU Linux-libre 6.8を採用。GNU Linux-libreはLinuxカーネルからプロプライエタリなファームウェアやブロブを除去したFSF認定のカーネルであり、Trisquelの完全フリー哲学を体現している。デスクトップ環境はMATE 1.26.1を標準採用し、安定性と使いやすさを両立している。

パッケージ管理面では、APT 3.0が導入され、新しいdeb822リポジトリ形式への対応が追加された。これにより、ソフトウェアリポジトリの管理がより柔軟かつ現代的な形式で行えるようになった。また、インストール中に使用されるudebコンポーネントの破損を減らすためのカーネルモジュール化の改善も施されている。

ブラウザ選択肢の拡充も本バージョンの注目点の一つだ。デフォルトブラウザのAbrowserに加え、GNU IceCat(GNU Projectが管理するFirefoxフォーク)およびungoogled-chromium(Googleのサービスとの連携を削除したChromiumビルド)が新たに選択肢として追加された。いずれも完全にフリーなソフトウェアであり、Trisquelのポリシーに準拠している。セキュリティ面ではAppArmorルールがグラフィカル環境向けに見直されている。

利用可能なエディション

Trisquel 12.0は用途や好みに応じた複数のエディションが提供される。

  • Trisquel(標準版): MATE 1.26デスクトップ環境を採用した主要エディション
  • Triskel: KDE Plasma 5.27.12デスクトップを採用したエディション
  • Trisquel Mini: LXDE 0.99.2を搭載した軽量エディション
  • Sugar/TOAST: 子供向け学習プラットフォームSugar 0.121を採用した教育向けエディション
  • NetInstall: インターネット経由でインストールするサーバー向けエディション

今後の展望

Trisquelプロジェクトは、今後RISC-Vアーキテクチャへの対応も予定しているとしており、オープンハードウェアとフリーソフトウェアの組み合わせをさらに推進していく方針だ。GNU/Linuxの完全な自由を求めるユーザーにとって、Trisquel 12.0は安定したLTSベースと最新のデスクトップ環境・ツールチェーンを兼ね備えた選択肢となる。