概要

Metaは2026年4月16日、同社のVRヘッドセット「Quest 3」および「Quest 3S」の価格を4月19日から引き上げると発表した。値上げの理由として、AI関連需要の急増によって引き起こされたRAM(メモリチップ)の供給不足を挙げている。AI向けデータセンターがメモリチップを大量に消費していることで、民生向けデバイスへの供給が逼迫し、製造コストの上昇が価格転嫁に踏み切らせた形だ。

新価格の詳細

改定後の価格は以下の通りとなる。

  • Quest 3S 128GBモデル:$50値上げ → $349.99
  • Quest 3S 256GBモデル:$50値上げ → $449.99
  • Quest 3(標準モデル):$100値上げ → $599.99

Quest 3は従来の$499.99から$100という大幅な引き上げとなり、消費者への影響が特に大きい。Tom’s Hardwareは今回の値上げを「価格引き下げの後の値上げ(A price hike after a price cut.)」と表現しており、以前は値下げを実施していたMetaが方針を転換した点に注目している。

背景——AIが引き起こすメモリ争奪戦

今回の値上げの根本原因は、AIインフラ投資の過熱にある。大規模言語モデルやAI推論処理を支えるデータセンターでは、HBM(高帯域幅メモリ)やDDR5などの高性能メモリが大量に必要とされており、半導体メーカーの生産キャパシティをAI向け製品が優先的に占有している。その結果、VRヘッドセットなどの民生向けデバイスに使用されるメモリチップの調達コストが上昇し、Metaはその増加分を価格に反映せざるを得なかった。

この動きはMeta単体の問題にとどまらず、AI需要の拡大がスマートフォン・PC・ゲーム機などの幅広い製品カテゴリのコスト構造に影響を及ぼす可能性を示唆している。XR(拡張現実)市場への参入を検討していた消費者にとっては、今後も価格の先行き不透明感が続くことになりそうだ。