概要

Linux FoundationのAgentic AI Foundation(AAIF)が主催するMCP Dev Summit North America 2026が、4月2〜3日にニューヨークのMarriott Marquisで開催された。約1,200名の参加者を集めた本サミットは、MCPが実験的プロトコルからプロダクションレディな技術へと移行していることを示す節目となった。Amazon、Uber、Docker、Kong、Solo.ioなど主要エンタープライズ各社が登壇し、実運用での知見や今後の技術ロードマップが共有された。

2026年技術ロードマップ

トランスポート層では、AnthropicのDavid Soria Parraが提案するSEP-1442を通じて、ステートフルなセッションからステートレスなリクエストへの大規模な設計変更が予定されている。これはスケーラビリティと相互運用性の向上を目的としている。

エンタープライズ各社のセッションで際立ったのは、中央ゲートウェイ+レジストリアーキテクチャへの収束だ。ゲートウェイはすべてのエージェントインタラクションのコントロールプレーンとして機能し、認証・認可・ガバナンスを一元管理する構成が共通パターンとして浮かび上がった。Uberは独自のMCP Gatewayを構築しており、社内のThrift、Protobuf、HTTPエンドポイントを自動公開しながら、PII(個人情報)の除去や内部識別子のスクラブも同時に実施している。同社のGo製GenAIゲートウェイは週に数万件のエージェント実行を処理している。

新プリミティブとエコシステムの拡張

2026年1月26日にリリースされたMCP Appsは、サーバーがサンドボックス化されたiframe内でインタラクティブなUIを提供できる仕組みで、双方向のJSON-RPCによる通信を実現する。Claude、ChatGPT、VS Code、Postmanがすでに採用しており、急速に普及しつつある。

実験的な**Tasks Primitive(SEP-1686)**は、サーバーがバックグラウンド処理に対して即座にハンドルを返し、リトライセマンティクスを持つ非同期ワークフローを可能にする。また、コミュニティ主導のワーキンググループがWebhook形式のMCPプッシュ通知(Triggers and Events)の策定を進めており、プロアクティブなデータ更新が可能になる見込みだ。

コンテキストウィンドウの効率化という観点では、Claude Codeがプログレッシブなツール探索を実装し、コンテキスト割り当ての10%を超えるツールを遅延ロードすることでトークン使用量を約85%削減したことが報告された。

組織的な成長と今後の展望

AAIFは2025年12月に設立され、すでに100社以上のメンバーを擁する。MCP本体のほか、BlockのGooseやOpenAIのAGENTS.mdなどの主要プロジェクトをホストしている。また、4月2日にはx402 Foundationが新たに立ち上げられた。

サミット全体を通じて、MCPが単なる実験的APIから、エンタープライズが実際にビジネスクリティカルな処理に使う基盤プロトコルへと成熟してきた様子が鮮明に示された。今後は標準化の加速と、より広範なオブザーバビリティ・セキュリティ機能の整備が優先課題となる。