移行の背景と理由

Zigプログラミング言語プロジェクトは、約10年間にわたってGitHubでホストされてきたが、2025年11月26日、公式リポジトリをCodebergへ移行すると発表した。主な理由として、マイクロソフト買収後のGitHubにおけるエンジニアリング品質の低下と、AIツールの強制的な組み込みへの反発が挙げられている。

プロジェクト創設者のAndrew Kelley氏は、「JavaScriptフレームワークが肥大化し、バグが多く、以前は素早く動いた機能が遅くなり、しばしば完全に機能しなくなった」と述べ、プラットフォームとしての信頼性が失われたと指摘している。Zigは「厳密な非LLM・非AIポリシー」を掲げており、GitHubがCopilot機能を積極的に推し進めることが、このポリシーとの整合性を失わせているという。

技術的な移行計画

移行後、GitHubのziglang/zigリポジトリは読み取り専用に変更され、正式なリポジトリはhttps://codeberg.org/ziglang/zig.gitとなる。既存のIssueやプルリクエストはGitHub上にそのまま残され、プロジェクト側は引き続き確認すると表明している。

ベンダーロックインを避けるため「コピー・オン・ライトモデル」が採用されており、Codebergでの新規Issue番号は30,000から開始することで、GitHub側との番号の混乱を防ぐ設計となっている。ユーザーは既存のGitHubのIssue・PRを新環境へ移行させる必要はなく、編集や追加コメントが必要な場合のみ対応すれば良いとされている。

GitHub ActionsとSponsorsへの不満

CI/CDについても深刻な問題が挙げられており、GitHub Actionsに「弁解の余地のないバグ」が存在し、しかも放置されている状況だとしている。「ジョブがランダムに実行されるようになり、マスターブランチのコミット検証がバックログで積み重なる事態になっている」と具体的な障害を説明した。

収益面では、GitHub Sponsorsがプロジェクトの重要な収入源だったが、担当プロダクトマネージャーのDevon Zuegel氏が去った後、機能が放置・衰退していると指摘し「負債と見なしている」と明言した。今後は非営利団体Every.orgを通じた寄付受付へ移行し、従来のホームページへの名前掲載やリリースノート掲載といったスポンサー特典も同等の形で提供する予定だ。

非営利組織としての哲学

Andrew氏はこの移行を単なる技術的な選択にとどまらず、哲学的な立場の表明として位置付けている。プラットフォーム資本主義と弱い独占禁止規制が支配する時代において、「非営利組織は共有資源を守る砦だ」と述べ、Zigが公共の利益のために独立したインフラを選択する意義を強調した。Codeberg自体も非営利組織が運営するForgejo(Giteaから派生したオープンソースのGitホスティング)ベースのプラットフォームであり、その価値観の一致がこの選択を後押ししたとみられる。