WordPress 7.0リリース延期の背景

WordPress 7.0のリリーススケジュールが延期されることが、3月31日に公式発表された。延期の主因はリアルタイムコラボレーション(RTC)機能のデータベースアーキテクチャへの対応であり、「リリースサイクルの延長が必要」と説明されている。4月17日まで事前リリース版の公開は一時停止され、新しいリリーススケジュールは4月22日までに改めて公表される予定だ。

あわせて重要な変更として、WordPress 7.0ではPHP 7.2および7.3のサポートが終了する。最小要件はPHP 7.4となり、PHP 8.2以上が推奨バージョンとなる。古いPHP環境を利用しているサイト管理者は、アップグレードへの対応が求められる。

リアルタイムコラボレーション(RTC)の技術的詳細

今回の延期の中心にあるRTC機能は、分散システムでの競合解決に広く使われるCRDT(Conflict-free Replicated Data Type)エンジンとして「Yjs」を採用している。通信方式にはWebRTCではなくHTTPポーリングが選択されており、これはWebRTCの互換性よりも汎用的なホスティング環境への対応を優先した判断だ。なお、クラシックなメタボックスが存在する投稿ではコラボレーションモードが無効化される。

新ビルドツールとAI統合API

開発者ツールの面では、esbuildを基盤とした新しいビルドツール「@wordpress/build」が発表された。従来の@wordpress/scriptsと比べて大幅な高速化が実現されており、移行パスは「低摩擦(low-friction)」になるよう設計されているという。

AI統合の基盤となる新機能も複数発表されている。WP AI ClientはAIサービスとの連携を標準化するPHPライブラリで、Connectors APIは認証情報やプロバイダーの選択をプラットフォームレベルで管理する仕組みを提供する。またJavaScript側でもAbilities APIが利用可能となり、サーバーで登録された機能をREST API経由で自動取得できるようになった。

テーマ開発・ブロック開発の改善

テーマ開発においてもいくつかの改善が加えられた。グローバルスタイルでボタンのホバー・フォーカス・アクティブといった疑似状態を編集できるようになったほか、theme.jsonでの疑似要素サポートも拡張された。ブロックのビューポートベースの可視性制御(CSSによる実装)や、ナビゲーションリンクのアクティブ状態スタイリングにも対応している。

ブロック開発では、カスタムブロックへのパターンオーバーライド対応が追加された。Interactivity APIではstate.navigationが非推奨となり、Formsブロックには非表示入力フィールドのバリエーションが加わった。

さらに、WordPress Playground MCPサーバーも発表されており、Claude CodeやGemini CLIなどのAIコーディングエージェントをPlaygroundインスタンスに接続し、ファイル操作やPHPの実行が可能となる。AIを活用したWordPress開発ワークフローの強化に向けた取り組みが着実に進んでいる。