概要
2026年4月13日時点の最新情報によると、米国では複数の州議会がAI関連の規制法案を相次いで可決・進行させており、州レベルでの立法ラッシュが続いている。ネブラスカ州、メーン州、メリーランド州でそれぞれ異なる分野のAI規制法が成立した。規制対象はチャットボットによる未成年者への影響、AI精神医療の提供、AI活用による価格設定など多岐にわたっており、各州が独自の優先課題に応じた規制アプローチを採用していることが浮き彫りになっている。
可決済みの主要法案
ネブラスカ州(LB 525) では「会話型AI安全法(Conversational AI Safety Act)」が盛り込まれ、チャットボットを運営する事業者に対してAIであることの開示を義務付けた。特に未成年者との対話に関する規制が中心で、精神保健サービスを提供しているかのような表示を禁止している。
メーン州(LD 2082) では、ライセンスを持つ専門家以外が治療・心理療法サービスを提供することを禁止する法律が可決された。これはAIを活用したメンタルヘルス対応サービスを対象とするもので、無資格のAIが実質的な精神科的治療を行うことを遮断する内容だ。また別の法案LD 2162(チャットボット規制)も上院の承認待ちとなっている。
メリーランド州(HB 895) では、価格設定にAIを活用するシステムに対する規制法案が議会を通過した。消費者保護の観点から、アルゴリズムによる価格操作を制限することが目的とされている。
進行中の法案と今後の動向
委員会審議を通過し本会議待ちの状態にある法案も多数存在する。チャットボット規制ではハワイ州、オクラホマ州、カリフォルニア州、コネチカット州の各法案が進行中だ。医療AI分野ではカリフォルニア州が3本の法案を同時並行で審議しており、ルイジアナ州、ミネソタ州、ミズーリ州でも関連法案が委員会を通過している。雇用分野では、カリフォルニア州とミネソタ州で採用・評価などの自動意思決定システムに関する法案が審議されている。
特徴的な動きとしては、テネシー州議会でAI法人格禁止法案SB 837が上院を通過した点が挙げられる。AIに対して法人としての権利・義務を認めることを明示的に禁じる内容で、AIの法的地位に関する先手を打つ立法として注目されている。
背景と展望
連邦レベルでの統一的なAI規制が依然として実現していない米国では、各州が独自のアプローチで規制整備を急いでいる。分野は消費者保護、医療、労働、そして法的地位の問題にまで広がっており、企業はますます複雑化する州法のパッチワークへの対応を迫られている。特に全国展開するテック企業やAIサービス提供者にとっては、州ごとに異なるコンプライアンス要件が重大なビジネスリスクになり得る。今後も各州議会の会期が続く中、さらなる法案の可決が見込まれ、米国のAI規制地図は引き続き急速に塗り替えられていくことになりそうだ。