報道の内容と市場の反応
2026年4月13日、業界情報サイトのSemiAccurateが「NVIDIAが大手PCメーカーとの買収交渉を進めており、間もなく交渉の最終局面を迎える」と報じた。同記事によれば、交渉は2024年後半から1年以上にわたって続いており、著者は「この買収が実現すれば、コンピューターが発明されて以来最大規模でPCおよびサーバー市場を塗り替えるものになる」と強調した。ただし、買収対象の企業名は有料会員向けコンテンツとして非公開とされた。
この報道を受け、DellとHP Incが買収候補として市場で取り沙汰され、両社の株価は大きく反応した。Dellは同日の取引でおよそ6.7%上昇して189.79ドルの史上最高値を更新し、HP Incも5.3%高の19.23ドルをつけた。Windows Centralなど他メディアも相次いで追報した。なお、調査会社Gartnerによると第1四半期の世界PC市場シェアはLenovo Groupが約27%で首位、HP Incが約19%、Dell Technologiesが約17%となっている。
NVIDIAによる否定と株価の反落
しかし、NVIDIAの広報担当者は同日中に声明を発表し、「当該報道は事実に反する。NVIDIAはいかなるPCメーカーとも買収に関する協議は行っていない」と明確に否定した。これを受けてDellは時間外取引で約3.4%、HPも約3%それぞれ下落し、日中に積み上げた上昇分の相当部分を失った。
Windows Centralはこの報道を当初から懐疑的に取り上げており、SemiAccurateが対象企業名を有料会員限定としている点や、報道の根拠が不明確であることを指摘していた。SemiAccurateは自身の信頼性を示すため、2025年初頭にイーロン・マスクのIntel買収関心を的中させた実績に言及したが、今回の報道の精度については市場の判断が下された形となった。
背景:NVIDIAとPC業界の関係
現在NVIDIAは世界で最も時価総額の高い企業のひとつであり、AI向け半導体の分野で圧倒的なシェアを持つ。CEO・ジェンスン・フアン氏は各産業へのAI導入を積極的に推進しており、2026会計年度にはパートナーや顧客企業への投資として700億ドルを拠出している。特にDellはNVIDIAのチップを搭載したAIサーバーを製造するパートナーとして深い関係にあり、2027会計年度にはそのビジネスだけで500億ドルの売上を見込んでいる。こうした背景もあって、買収報道がDell株に最も大きな反応をもたらしたとみられる。
NVIDIAは否定コメント以上の説明は行っておらず、実際に交渉が存在したかどうかを含め、詳細は不明のままとなっている。