概要

Block社が開発するオープンソースのAIエージェントフレームワーク「Goose」が2026年4月8日、バージョン1.30.0を正式リリースした。このリリースは40名以上のコントリビューターによる136コミットを含む大規模なアップデートで、ターミナルUI(TUI)の全面刷新、新規プロバイダーの追加、セキュリティ強化、拡張機能管理の改善など、幅広い領域にわたる変更が盛り込まれている。

ターミナルUIの刷新と新コマンド

今回のリリースで最も目立つ変更がTUIの大幅刷新だ。ツール呼び出しの出力をタブで展開・折りたたみできるようになり、長大な出力に埋もれることなく作業の流れを把握しやすくなった。メッセージのレンダリングも改善され、ストリーミング中の表示順序が安定した。

新たに追加された goose serve サブコマンドはGooseをバックグラウンドサービスとして起動できる機能で、ヘッドレス運用を想定した --text モードも独立して利用可能になった。また、設定トラブルシューティング向けの goose doctor コマンドが追加され、環境設定の問題を素早く診断できるようになっている。

プロバイダーとモデルの拡充

プロバイダー面ではGemini OAuth認証のサポートと、GitHub Copilotとの統合を担うCopilot ACPプロバイダーが新たに追加された。中国のAIサービス「Zhipu」向けの宣言型プロバイダーも追加され、ZHIPU_BASE_URL で接続先を柔軟に設定できる。さらにGoogleの最新ローカルモデル「Gemma 4」にも対応し、ローカル実行環境の選択肢が広がった。

宣言型プロバイダー全般では fast_model の設定が可能となり、処理速度を優先するタスクでより軽量なモデルへ切り替えやすくなった。VMware Tanzu Platformプロバイダーの改善も含まれており、エンタープライズ環境での利用が一層進みやすくなっている。

セキュリティ・拡張機能・設定の強化

セキュリティ面では、アウトバウンド通信を記録するEgressログインスペクターが追加され、Gooseが行うネットワーク呼び出しの監視が可能になった。シークレットファイルのパーミッションもOS標準のセキュリティ機能を利用して制限され、認証情報の保護が強化された。

拡張機能(スキル)の管理も強化された。デスクトップUIでのスキル表示、ネストされたスキルの再帰的な探索、拡張機能ごとのタイムアウト設定など、実運用で求められる細かな機能が整備された。設定面でも GOOSE_SHOW_FULL_OUTPUT によるツール出力の切り詰め制御や、GOOSE_CONTEXT_LIMIT の config.yaml からの読み取りなど、環境変数やファイルによるカスタマイズ性が向上している。

バグ修正とパフォーマンス改善

バグ修正も多岐にわたる。MCPサブプロセスが異常終了した際のクリーンアップ処理が改善されたほか、Ollama プロバイダーのハングアップ防止、OpenAI ストリーミング中のJSONパース安全性向上、Bedrockのツール入力でnullの代わりに空オブジェクトを返すよう修正するなど、各プロバイダー固有の問題が解消された。デスクトップアプリでは「Markdownで表示」機能の復元やスラッシュコマンドの修正も行われた。パフォーマンス面ではACPサーバーでの拡張機能ローディングが並列化され、起動時間の短縮が期待できる。