概要

OpenAIが開発するオープンソースのターミナル向けコーディングエージェント「Codex CLI」は、2026年4月に入り連続的なアップデートを重ね、バージョン0.119.0(4月10日)と0.120.0(4月11日)の安定版に加え、多数のアルファ版リリースを通じて複数の主要機能を本格整備した。3月中旬から積み上げられてきた実験的コードモード、フックエンジン、インフラ基盤の強化が、今月のリリースでまとめて安定版に組み込まれた形となっている。

実験的コードモード

3月10日のコミット「Add code_mode experimental feature」で導入された実験的コードモードは、既存のjs_replをより狭く隔離した実行環境として設計されており、Node.js機能を持たない形で実装されている。ツール名にハイフン(-)を使用できないという独自の命名規則を持ち、複数のコードモード呼び出しにまたがって状態を引き継ぐ仕組みも備えている。

アーキテクチャ面では、ツール定義のロジックをcodex-coreからcodex-toolsへと段階的に切り出す分離作業が進められており、純粋なデータ変換とランタイム依存処理の責務が明確に分かれつつある。v0.120.0ではコードモードのツール宣言にMCPのoutputSchema詳細が含まれるようになり、型付きの実行結果を扱えるようになった。

フックエンジン

3月10日のコミット「start of hooks engine」で実装が始まったフックエンジンは、codex-rs/hooks以下に独立したエンジン構造として配置されている。マッチしたフックを並列実行し、その結果をHookRunSummaryへ集約する設計となっており、フック実行は通常のターン進行をブロックする同期処理として動作する。AppServer側ではフックの開始・完了を示すライブ通知(hook/startedhook/completed)が提供され、実行結果はTurn.hookRunsに永続化される。

v0.120.0ではTUI上でのフック表示が改善され、実行中のフックと完了済みのフック出力が区別して表示されるようになった。またSessionStartフックが/clearコマンドによるセッションと新規セッションを区別して認識できるようになっている。

WebSocketサーバー向けヘルスチェックエンドポイント

3月9日のコミット「add health endpoints for –listen websocket server」では、--listenオプションで起動するWebSocketアプリサーバーに対してGET /readyzGET /healthzのヘルスチェックエンドポイントが追加された。これらのエンドポイントはWebSocketリスナーと同一ポートから提供される。この実装に合わせてWebSocketのハンドリングがaxumへアップグレードされており、ヘルスチェックのWebSocketトランスポートカバレッジも追加されている。

v0.119.0ではリモート・アプリサーバーワークフローがegressのWebSocketトランスポートをサポートし、サンドボックス対応のファイルシステムAPIも整備された。

スレッド検索・アーカイブ機能の強化

スレッド管理機能も段階的に強化されている。2月25日のコミットではthread/listsearchTermパラメータが追加され、スレッドのタイトル内で一致するものを検索できるようになった。1月から2月にかけてはアーカイブ機能の基盤が整備され、thread/archivedthread/unarchived通知の追加、アーカイブされたスレッドのリスト表示への対応、そしてthread/unarchiveコマンドによるアーカイブ済みスレッドの復元機能が実装された。

v0.119.0ではTUI上でCtrl+Oによる直近のエージェント応答コピーが可能になり、/resumeコマンドがセッションIDや名前による直接ジャンプに対応した。v0.120.0では「Realtime V2」がバックグラウンドエージェントの進捗をストリーミング配信しながら後続レスポンスをキューイングできるよう進化している。