概要

深セン拠点のAIデータセンター企業、Sharetronic Data Technology(协创数据技术股份有限公司)が、中国政府機関への届け出において、NvidiaのH100およびH200チップを搭載したサーバー群を保有していることが明らかになった。Bloombergの調査によれば、開示された請求書には276台のSuper Microサーバーおよび32台のDell PowerEdge XE9680サーバーが記載されており、総額は約9200万ドル(約6億3200万元、約138億円相当)に上る。請求書の日付は昨年5月・6月であり、Sharetronicが自社子会社に販売する形式での取引が確認されている。

H100・H200チップは2022年から米国政府の承認なしに中国への販売が禁じられており、今回の発覚は米国の半導体輸出規制の実効性に対する根本的な疑問を提起する事態となった。Sharetronic社は「すべての機器は合法かつ準拠したチャンネルを通じて調達した」と声明を出しているものの、具体的な調達先については「顧客の機密保持」を理由に詳細を開示していない。SuperMicroとDellはいずれもSharetronicへの販売を否定している。

背景:Nvidiaクラウドパートナーという立場

Sharetronicの合弁会社であるGuangzhou Fcloud Technologyは、中国において正式なNvidiaクラウドパートナーに指定された8社のうちの1社であり、Nvidiaが「AI業務に向けた安全なインフラを提供できる」と評価した企業に与えられる認定を持つ。こうした公式の協力関係と、禁輸チップ保有との間の矛盾が、業界関係者の注目を集めている。

また、この発覚は、SuperMicro共同創業者が中国へのチップ密輸を手助けしたとして米国当局に訴追されたタイミングとほぼ重なっており、サプライチェーン全体での監視の甘さが浮き彫りになっている。

市場への影響と政策的含意

この報道を受け、Sharetronicの株価は深セン市場でほぼ10%下落し、ストップ安に近い水準となった。Nvidiaも「すべての規制を遵守しており、SuperMicroとの取引関係はない」とのコメントを発表したが、市場への影響は避けられなかった。

今回の事態は、米国が中国のAI開発能力を制限するために講じてきた輸出規制の抜け穴を改めて可視化するものとなった。サーバーの最終的な調達ルートが請求書から特定できないという点は、規制当局がサプライチェーンの透明性をどう確保するかという課題を突き付けており、今後の米中技術デカップリング政策の実効性をめぐる議論が一層加速するとみられる。