概要

米上院議員のエリザベス・ウォーレン(民主党・マサチューセッツ州)とリチャード・ブルーメンソール(民主党・コネティカット州)は、NVIDIAが2025年12月に発表したAIチップスタートアップGroqとの200億ドル規模の契約に関し、独占禁止法上の問題を指摘する調査書簡をNVIDIAのCEOジェンスン・フアン氏に送付した。NVIDIAはすでにGPU市場の約90%を支配しており、両議員はこの取引がAIチップ業界の競争をさらに阻害する恐れがあると強く懸念している。

「逆アクイハイア」による審査回避の疑い

今回の取引の特徴は、Groqそのものを買収するのではなく、技術ライセンスの取得とGroqのCEO・社長を含む主要人材の採用という形式を取っている点にある。両議員はこの手法を「リバース・アクイハイア(逆アクイハイア)」と呼び、企業を直接買収せずに核心的な資産を取得することで、通常の独禁法審査プロセスを意図的に迂回しているとみている。NVIDIAはこれに先立つ2025年9月にも、チップ間接続技術を持つEnfabricaに対して同様の手法を用いており、今回が初めてではないと両議員は指摘した。

AI業界への波及効果

Groqは推論チップ(AIモデルのデプロイに特化した、NVIDIAのGPUより省エネルギーな代替製品)を手掛けており、GPU依存のNVIDIA製品に対する現実的な競争脅威となっていた。NVIDIAによるライセンス契約発表後、OpenAIはGroqのチップ採用に向けた交渉を中断し、代わりにNVIDIAのチップを追加購入する契約を結んだと報じられており、この取引が業界の調達判断にも直接影響を与えた可能性がある。

今後の見通し

両議員はフアンCEOに対し2026年4月3日を回答期限として設定し、取引の意図や構造についての説明を求めた。GPU市場の寡占構造が続くなか、AIインフラの競争環境をどう維持するかは政策的な課題としても注目されており、本件は独禁法当局や議会における今後のAIチップ規制論議の焦点になるとみられる。