概要

Metaは2026年4月8日、新しいAIモデル「Muse Spark」を発表した。これは2025年6月にScale AIの49%の非議決権株式を143億ドルで取得し、同社の共同創業者兼CEOだったAlexandr WangがチーフAIオフィサーとして率いるMeta Superintelligence Labsが9ヶ月かけて開発した初の成果物となる。2025年4月のLlama 4が市場から低評価を受けて以来、Metaにとって初の主力AIモデルとなるMuse Sparkは、Meta AIアプリおよびMeta.aiウェブサイトで即日利用が開始された。注目すべきは、従来のMetaのオープンソース戦略(Llamaシリーズ)とは異なり、Muse Sparkはプロプライエタリなクローズドソースモデルとして展開されている点だ。

技術的な詳細

Muse Sparkはテキスト・画像・音声のマルチモーダル入力に対応し、出力はテキストで行う。3つの動作モードを備えており、日常的なクエリに応答する「Instant(即時)」、深い分析が必要な場合の「Thinking(思考)」、そして複数のAIエージェントが並列で推論する「Contemplating(熟考)」モードがある。効率面では、Llama 4 Maverickと比較して10倍以上少ないコンピュートで同等以上の性能を実現したとされている。

ベンチマーク結果は強みと弱みが混在する。Artificial Analysis Intelligence Indexでは52点を記録し総合4位(1位はGemini 3.1 Pro PreviewとGPT-5.4が同点の57点)、医療系ベンチマークのHealthBench Hardでは42.8%でGPT-5.4(40.1%)を上回りトップを獲得した。博士レベルの推論を問うGPQA Diamondでは89.5%、視覚理解のMMMU-Proでは80.5%を達成している。一方でコーディングを評価するTerminal-Benchでは59.0と、GPT-5.4の75.1に大きく遅れており、コーディング分野での差はMeta自身も認めている。

展開計画と今後の展望

Muse Sparkは発表と同時にMeta AIアプリおよびMeta.aiで利用開始となったが、今後数週間以内にFacebook・Instagram・WhatsApp・MessengerといったMetaの主要プラットフォーム全体へ展開される予定だ。さらにRay-Ban Meta AIスマートグラスへの統合も計画されている。開発者向けAPIは現在プライベートプレビュー中で、正式公開は近日中の見込み。また、将来的には一部バージョンをオープンソースライセンスで公開する計画も示されているが、具体的な時期は未定とされている。

MetaはMuse Sparkを「スケーリングラダー」の最初の一歩と位置づけており、より強力な後継モデルの開発が計画されている。2026年のAI・データセンターへの設備投資は最大1,350億ドルに達する見込みで、OpenAIやGoogleとの競争に向けた本格的な体制を整えつつある。Meta幹部はAxiosに対し「Muse Sparkは必ずしも最先端を塗り替えるものではないが、マルチモーダル理解や医療情報処理など特定の領域では主要ラボの最新モデルと十分に競合できる」と語っている。