概要

Appleが599ドルから販売する廉価ノートPC「MacBook Neo」が予想を大幅に超える売れ行きを見せており、深刻な供給問題が浮上している。台湾のテックアナリストTim Culpanが報告したところによれば、MacBook Neoに搭載されている「選別落ち(binned)」A18 Proチップの在庫が、需要を満たす前に枯渇する見通しとなった。Appleは当初このチップを最大600万台分確保して製造を打ち切る計画だったが、実際の需要はその見込みを大幅に上回っている。

チップ転用戦略の仕組み

MacBook Neoに搭載されているA18 Proは、iPhone 16 Pro向けに製造された過程で、GPUコアに欠陥が見つかり廃棄予定となっていたチップを転用したものだ。Appleは廃棄する代わりに不良コアを意図的に無効化し、6コアGPUを5コアGPUとして再利用する「ビニング」手法を採用した。この手法は1970年代から半導体業界で用いられており、製造歩留まりを高め、コストを抑える効果がある。廃棄コストをかけずに済む余剰チップをMacBook Neoに充てることで、599ドルという低価格設定が実現していた。しかし、チップ製造元のTSMCはN3Eラインをすでにフル稼働させており、追加生産には相応のコストとリードタイムが伴う。

Appleが直面する選択肢

この供給制約に対し、Appleにはいくつかの対処策が検討されているとされる。第一に、TSMCにプレミアムを支払って新たにA18 Proチップを製造する案がある。ただしこの場合は廉価モデルの低コスト構造が崩れ、価格引き上げが必要になる可能性がある。第二に、当初2027年に予定していたA19 Pro搭載の「MacBook Neo第2世代」の開発を前倒しする案だ。第三に、次世代供給が整うまで入手困難な状態を甘受する案だが、Apple幹部が最も避けたい選択肢とも報じられている。また、599ドルの256GBモデルの販売を終了するという選択肢も取り沙汰されている。

今後の見通し

MacBook Neoは、Appleにとって製造コストの最小化と市場拡大を両立させる巧みな戦略の産物だった。しかしその想定外の大ヒットが逆に供給の壁となり、ビジネス上の「大きなジレンマ」を生み出している。アナリストらは、Appleがどの選択肢を取るかによってMacBook Neoの価格帯・在庫状況・後継モデルの登場時期に大きな影響が及ぶとみており、今後の動向が注目される。