概要
フォックスコン(鴻海精密工業)は2026年第1四半期(1〜3月)の売上高が2.13兆台湾ドル(約666億米ドル)と、前年同期比29.7%増を達成したと発表した。3月単月では8,037億台湾ドルに達し、前年同月比45.6%増で3月として同社史上最高の月間売上高を記録した。NVIDIAのBlackwellアーキテクチャを搭載したAIサーバーの主要製造パートナーとして、クラウド・ネットワーク製品部門が成長を牽引し、AI半導体・インフラへの投資拡大が直接的な追い風となっている。
成長の背景とセグメント別動向
最大の収益ドライバーとなったのはクラウド・ネットワーク製品部門で、AIサーバーラックへの旺盛な需要が収益を押し上げた。スマート消費者電子機器部門も、新型iPhoneの発売サイクルを追い風に堅調な伸びを示した。フォックスコンはNVIDIAにとって最大のAIサーバーメーカーとして位置付けられており、データセンター向けインフラ投資が世界的に拡大するなか、その恩恵を最前線で受け続けている。
経営陣の見通しとリスク認識
劉揚偉(ヤング・リュー)会長は、2026年最大の外部課題として世界経済・地政学的リスクを挙げ、中東地域の紛争に伴う航空宇宙の混乱や物流コスト上昇を懸念材料として指摘した。一方で同社は2026年通期の業績予想に社内で最上位評価に当たる「強力な成長(Strong Growth)」区分を初めて使用し、AIインフラ需要がサイクル的な現象ではなく構造的な変化であるという経営陣の強い確信を示した。第2四半期も前四半期比・前年同期比ともに成長を見込んでおり、詳細な決算発表は2026年5月14日に予定されている。
株価との乖離
好業績が続く一方、フォックスコンの株価(2317.TW)は発表前時点で年初来約16%下落しており、台湾の主要株価指数(加権指数)が同期間に約12%上昇したのと対照的なアンダーパフォーマンスを示していた。地政学リスクや世界的な貿易不確実性が投資家心理を圧迫しているとみられるが、同社のAIサーバー事業の急拡大は中長期的な競争優位の確立に向けた重要な布石となっている。