背景:「解放の日」から1年
2025年4月2日、トランプ大統領は主要な貿易相手国のほぼすべてに対して広範な関税を課すと発表し、この日を「解放の日(Liberation Day)」と称した。貿易不均衡の是正を名目に掲げたこの政策は、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づいて発動されたが、2026年2月に米最高裁がIEEPAを根拠とした課税は大統領権限の範囲を超えるとして違憲判断を下し、関税の法的根拠が失われていた。
新たな関税措置の内容
1周年となる2026年4月2日、トランプ大統領は2本の大統領令に署名し、IEEPA関税に代わる新たな枠組みを導入した。
製薬分野では、輸入医薬品に対して最大100%の関税を課す方針を打ち出した。ただし、製薬メーカーが米国向けの価格引き下げや国内生産への移転を行う場合は適用除外となる。金属分野では鉄鋼・アルミニウム・銅の関税を改定し、これら金属の含有率が15%を超える完成品には25%の関税を適用する。また、Section 122に基づく10%の関税も導入されており、半導体・集積回路などは適用除外とされた。当局者は今回の変更が「関税の計算方法を簡素化し、外国輸出業者による価格操作を防ぐ」ものだと説明している。
経済的影響と家計負担
過去1年間の関税政策の影響は製造業と消費者の双方に及んでいる。製造業雇用は1年間で約8万9千人減少しており、実質的なコスト負担は消費者に転嫁されている形だ。民主党の上院議員らは、2025年に約1,700ドルの追加負担が生じたのに加え、2026年だけでさらに約2,500ドルの負担増となると試算している。製造業を営むダグ・シェフェル氏は「関税によってコストが上がり、もともとマージンが薄い業界では価格を上げるしかない選択肢がなかった。2025年は収益が20%落ち込んだ」と語った。
IEEPA関税の還付手続き
最高裁の違憲判断を受けて、税関・国境警備局(CBP)は2026年4月20日までにIEEPA関税の還付申請受付を開始する予定であると発表した。すでに26,600社以上の輸入業者が還付登録を済ませており、対象となる還付総額は約1,200億ドルに上る見込みだ。新関税体制への移行と並行して、過去の関税分の払い戻しが大規模に行われることになる。