概要
AIビデオ生成スタートアップのRunwayは、AI・メディア・世界シミュレーション分野の初期段階スタートアップを対象とした1000万ドルのベンチャーファンドを設立した。既存投資家や近しいパートナーから資金を調達したこのファンドは、プレシードおよびシードステージのスタートアップに対して最大50万ドルの出資を行う。投資対象は、(1)AIのフロンティアを開拓し新たなアーキテクチャを構築する技術チーム、(2)ファンデーションモデルの上にアプリケーション層を構築し新たなユースケースを開拓するビルダー、(3)新しい形態のメディア制作・ストーリーテリング・配信を実験する企業の3分野に絞られている。
過去1年半にわたり、RunwayはAIアプリケーション向けデータベースを手がけるLanceDBや、AIを活用して創薬向けタンパク質を設計するTamarind Bioなど、少数の初期スタートアップへ静かに投資を続けてきた。リアルタイム音声生成を手がけるCartesiaのように、Runway自身のプロダクトと補完関係にある企業も含まれている。
Buildersプログラムと「Characters」API
ベンチャーファンドと併せて、RunwayはシードからシリーズCのスタートアップを対象とした「Buildersプログラム」も開始した。採択された企業には50万APIクレジットが無償で提供され、さらに同社が2025年12月に発表した「ジェネラルワールドモデル」を基盤とするリアルタイム動画エージェントAPI「Characters」へのアクセス権も付与される。Charactersは、ユーザーが生成AIエージェントとリアルタイムで対話できる機能を持ち、エージェントにはカートゥーン調からフォトリアルまで幅広い顔と声が与えられる。すでに創設コーホートとしてCartesia、MSCHF、Oasys Health、Spara、Subject、Supersonikの6社が参加している。
戦略的背景とAI業界のトレンド
Runwayの共同創業者Alejandro Matamala-Ortiz氏は「我々のような企業は、新しいアプリケーションや新たなタイプの企業を生み出す基盤的技術に多大な投資をしている。しかし150人規模の会社では、すべてに注力することはできない」と語っており、スタートアップエコシステムへの投資を通じて自社では追求しきれないユースケースを探索する意図が伺える。RunwayはこれまでにNvidiaやカタール投資庁などから約8億6000万ドルを調達し、評価額は約53億ドルに達している。
このような動きはRunwayに限らず、OpenAIのStartup Fund、Perplexityの5000万ドルファンド、CoreWeave Venturesなど、大手AIスタートアップが次世代のエコシステム形成に乗り出すトレンドと軌を一にしており、AIプラットフォーム企業が投資家としての役割も担い始めていることを示している。