概要
クイニピアック大学が2026年3月19〜23日に実施した調査(対象:米国成人1,397人)によると、AIツールを一度も使ったことがないと答えた人の割合は2025年4月の33%から27%に減少し、普及は着実に進んでいる。特にAIを「トピックのリサーチに使った」と答えた人は37%から51%へと14ポイント増加した。ところが信頼の数値は変わっていない——76%がAI生成情報を「ほとんど信頼しない」または「たまにしか信頼しない」と回答し、「ほぼ常に・たまに信頼する」は21%にとどまった。クイニピアック大学コンピュータサイエンス学科のChetan Jaiswal教授は「アメリカ人はAIを採用しているが、深い信頼ではなく深い躊躇とともに採用している」と述べた。
雇用不安と世代間の温度差
雇用への影響に対する懸念も急拡大している。AIの進歩によって就職機会が減ると「思う」と答えた人は前年の56%から70%に跳ね上がり、就労者の中でも30%が「AIによって自分の仕事が不要になるかもしれない」と心配している(前年21%)。世代別で見ると、Gen ZはAIツールへの親しみが最も高い一方、労働市場については最も悲観的で、81%が「AIが雇用機会を縮小させる」と回答した。同大ビジネス分析・情報システム学科のTamilla Triantoro教授は「若い世代はツールを最もよく知っているが、労働市場への楽観度は最も低い」と指摘している。
規制・透明性への強い要求
AIの利益よりも害が大きいと考える人は55%に上り、教育分野では64%が「害の方が大きい」と回答した。さらに、AIの利用について企業が十分な透明性を示していないと感じる人は76%、政府の規制が不十分だと感じる人は74%に達した。AIプログラムが直属の上司となる仕事に就くことを容認できる人はわずか15%にすぎず、社会全体でのAI統治への需要が高まっていることが示されている。
今後の展望
今回の調査が示すのは、「使っているが信じていない」という矛盾した状態がすでに広く定着しつつあるという現実だ。利便性からAIを活用しながらも、その出力の正確性や雇用・社会への影響に対して根強い不安を抱えるユーザーが多数を占める。企業と政府の双方に対し、透明性の確保と実効ある規制整備を求める声は圧倒的であり、信頼を技術の普及に追いつかせるための取り組みが急務となっている。