AnthropicがSpaceXのColossus 1全キャパシティを確保、22万GPU・300MW超の計算基盤でClaudeを強化

概要 AnthropicとSpaceXは2026年5月6日、Colossus 1データセンターの全コンピューティング資源をAnthropicが利用する契約を締結したと発表した。テネシー州メンフィスに位置するColossus 1は、22万基以上のNvidia GPU(H100、H200、次世代GB200アクセラレーターを含む)と300MWを超える電力容量を備える大規模AIインフラだ。Anthropicは契約締結から1ヶ月以内にこの計算リソースへのアクセスを取得する見込みであり、急増するClaude AIサービスへの需要に対応する。 SpaceXの傘下であるxAIがColossus 1のトレーニング業務をColossus 2へ移行させたことで、Colossus 1が空き状態となり、この大型契約が実現した。SpaceXのElon Musk CEOは本契約について「(面談したAnthropicのメンバーは)非常に有能で、責任あるAI開発への真摯なコミットメントを示していた」と肯定的にコメントし、「誰も悪意センサーを作動させなかった」と述べた。 Claudeサービスへの即時的な影響 今回の契約は、サービスの具体的な改善という形でClaude利用者にも直接的な恩恵をもたらしている。Anthropicは発表と同時に以下のようなレート制限の引き上げを実施した。 Claude Code:Pro・Max・Team・Enterpriseの全有料プランでレート制限を2倍に拡大 ピーク時間帯の制限:Pro・Max向けのピークアワー制限を撤廃 Claude Opus APIレート:APIレートを大幅に引き上げ また、ヘルスケアや金融サービスなど規制の厳しい国際市場向けの提供能力も拡充するとしている。 軌道上コンピュートへの展望 今回の地上データセンター契約に加え、両社はギガワット規模の軌道上AIコンピュートインフラの共同開発についても関心を表明している。SpaceXが保有するロケット打ち上げ能力と衛星インフラを活用した宇宙ベースのAI計算基盤という構想は、AI産業における次世代のインフラ争奪戦を象徴するものだ。具体的なタイムラインや技術仕様はまだ明かされていないが、複数ギガワット規模という目標は地上データセンターをはるかに凌ぐスケールを目指すものであることを示唆している。 大規模インフラ調達戦略の一環 Colossus 1との契約は、Anthropicが近年進める大規模インフラ調達戦略の最新事例だ。同社はすでにAmazonおよびGoogleとそれぞれ5GW規模の契約を締結しており、Microsoft・NvidiaとはAzureキャパシティで300億ドル規模の合意を結んでいる。さらにFluidstackを通じた500億ドルの国内インフラ投資計画も進行中だ。SpaceXとの今回の合意はこうした多角的なコンピュート調達戦略の一端を担うものであり、特定のクラウドベンダーへの依存を避けつつ計算資源を多様化するAnthropicの姿勢を示している。なお、AnthropicとSpaceXはともに2026年後半のIPOを計画しているとも伝えられており、両社にとって今回のパートナーシップは事業成長のアピール材料にもなる。

May 10, 2026

Apache mod_http2のdouble-free脆弱性CVE-2026-23918、CVSS 8.8でDoS・RCEのリスク——即時パッチ適用を推奨

概要 Apache HTTP Server 2.4.66 の mod_http2 モジュールに、深刻なメモリ管理の欠陥(CVE-2026-23918)が発見された。CVSSスコアは 8.8(重大)と評価されており、認証不要でサービス拒否(DoS)攻撃を引き起こせるほか、条件次第ではリモートコード実行(RCE)につながる可能性もある。Apacheプロジェクトは2026年5月4日に修正済みバージョン 2.4.67 をリリースしており、影響を受けるシステムへの即時アップデートが強く推奨されている。脆弱性の発見者は Striga.ai 共同創設者の Bartlomiej Dmitruk 氏と ISEC.pl の研究者 Stanislaw Strzalkowski 氏。 技術的詳細 本脆弱性の根本原因は、mod_http2 の h2_mplx.c に存在するストリームクリーンアップパスの実装ミスにある。攻撃者が HEADERS フレームの直後に RST_STREAM(非ゼロエラーコード付き)を送信すると、同一ストリーム上で on_frame_recv_cb と on_stream_close_cb という 2 つの nghttp2 コールバックが順に発火する。両コールバックがいずれも h2_mplx_c1_client_rst → m_stream_cleanup を呼び出すことで、同一の h2_stream ポインタが内部クリーンアップ配列へ 2 度プッシュされる。その後、c1_purge_streams が配列を反復処理して h2_stream_destroy を呼び出すと、2 度目の呼び出し時に既解放のメモリ領域へアクセスするdouble-freeが発生する。 DoS 攻撃は「1 本の TCP 接続と 2 フレームのみ、認証・特殊ヘッダー・特殊 URL 一切不要」という極めてシンプルな条件で引き起こせる。ワーカープロセスがクラッシュすると Apache は自動再起動するが、クラッシュしたワーカーへのリクエストは破棄されるためサービス断が生じる。 RCE については、Apache Portable Runtime(APR)が mmap アロケータを使用するシステム——Debian 系ディストリビューションや公式 httpd Docker イメージがこれに該当——でのみ成立する。実証実験では、解放済みメモリアドレスへ偽の h2_stream 構造体を配置し、プールクリーンアップ関数を system() にポイントさせることで、数分以内にコード実行に成功している。ASLR が有効な環境でも Apache スコアボードが固定アドレスに配置されることを悪用した点が技術的な肝となっている。 ...

May 10, 2026

Go 1.26.3・1.25.10リリース:11件の脆弱性修正を含むセキュリティパッチ

概要 Goチームは2026年5月7日、Go 1.26.3およびGo 1.25.10のパッチリリースを公開した。両バージョンはともに11件のセキュリティ脆弱性を修正するほか、コンパイラ・リンカ・ランタイムなど複数コンポーネントのバグ修正も含む。現行の本番環境で稼働しているユーザーには速やかなアップデートが推奨されている。セキュリティ修正はGoの標準ライブラリおよびツールチェーン全体に広く及んでいる。 セキュリティ修正の詳細 今回のリリースで修正された脆弱性はカテゴリ別に以下のとおりまとめられる。 XSS(クロスサイトスクリプティング)関連 html/templateパッケージで2件のXSS脆弱性が修正された。CVE-2026-39826は<script>タグに空のtype属性または空白を含むtype属性を使用した場合に発生するエスケープ処理の不備、CVE-2026-39823はメタタグのcontent属性内でURLが正しくエスケープされない問題をそれぞれ修正する。いずれも信頼済みテンプレート作成者の記述を利用して攻撃者が悪意あるスクリプトを実行できる可能性があった。 DoS(サービス拒否)関連 net/httpパッケージのCVE-2026-33814は、HTTP/2のSETTINGS_MAX_FRAME_SIZEに不正な値を送信することで無限ループを引き起こしDoS攻撃を可能にする脆弱性。net/mailパッケージではCVE-2026-39820とCVE-2026-42499の2件が修正されており、どちらも文字列の二次的連結処理に起因するCPU過消費・メモリ過消費問題で、メールアドレスのパース関数(ParseAddress・ParseAddressList・ParseDate)を悪用される恐れがあった。 パストラバーサル・ファイルシステム関連 go tool packのCVE-2026-39817は、出力ファイル名をサニタイズしないまま展開することで任意のファイルシステム位置への書き込みを可能にする脆弱性。修正としてディレクトリ成分を含むファイルの展開が拒否されるようになった。CVE-2026-39819はgo bugコマンドが予測可能な一時ファイル名のシンボリックリンクを追うことで、攻撃者がリンク先を上書きできる問題を修正する。 その他 CVE-2026-42501はモジュールプロキシがチェックサム検証をバイパスできる脆弱性、CVE-2026-33811はcgo DNSリゾルバの長いCNAMEレスポンス処理時のダブルフリーによるクラッシュ、CVE-2026-39825はnet/http/httputilのリバースプロキシがクエリパラメータ数制限を考慮しない問題、CVE-2026-39836はnetパッケージのDialおよびLookupPort関数がWindows環境でNULバイトを含む入力を受け取った際にパニックを起こす問題がそれぞれ修正されている。 バグ修正と対象コンポーネント セキュリティ修正に加え、両バージョンには以下のバグ修正が含まれる。 goコマンドおよびgo fixコマンド(Go 1.26.3のみ) コンパイラおよびリンカ ランタイム crypto/fips140・crypto/tlsパッケージ go/typesパッケージ osパッケージ Go 1.26.3ではGo 1.25.10に含まれないいくつかの追加修正(go fix・crypto/tlsなど)も取り込まれている。 アップデートの推奨 Goの公式サイトから最新バージョンをダウンロードできる。GoチームはWebサーバーやCLIツールなど本番環境で動作しているアプリケーションに対し、特にHTTPサーバーやメールパース機能を利用している場合は早急なバージョンアップを呼びかけている。今回修正されたXSS・DoS・パストラバーサル系の脆弱性は外部からの入力を介して悪用される可能性があるため、インターネット公開サービスでは優先度を高めた対応が求められる。

May 10, 2026

Google、Gemini 3.1 Flash-Liteを正式リリース——業界最低水準のコストとサブ秒レイテンシを両立

概要 Googleは2026年5月7日、Gemini 3シリーズの最速・最低コストモデル「Gemini 3.1 Flash-Lite」の一般提供(GA)を開始した。入力トークンあたり$0.25/100万トークン、出力トークンあたり$1.50/100万トークンという業界最低水準の価格を実現しつつ、前世代のGemini 2.5 Flashと比べてTime to First Answer Tokenを2.5倍高速化し、出力速度も45%向上させている。大量推論・エージェント型ワークロードにおけるコスト効率を最優先に設計されたモデルだ。 Google AI StudioおよびVertex AI(Gemini Enterprise Agent Platform)経由で利用可能で、テキストと画像に対応するマルチモーダル機能も備える。開発者向けには推論の深さを調整できる「Thinkingレベル」が提供されており、タスクに応じて応答品質とレイテンシのバランスを柔軟にチューニングできる。 性能ベンチマーク 各種標準ベンチマークでも高い評価を得ている。Arena.aiリーダーボードのEloスコアは1432を記録し、GPQA Diamond(高度な科学的推論)では86.9%、MMMU Pro(マルチモーダル理解)では76.8%を達成した。これは過去世代のより大型なGeminiモデルを複数の指標で上回る結果であり、コスト効率重視のモデルとしては異例のインテリジェンスを持つ。 実運用では顧客サービスプラットフォーム「Gladly」が先行採用事例として紹介されている。SMS・WhatsApp・Instagram経由のチャット対応に活用した結果、シンキング層モデル比で約60%のコスト削減を達成。完全な返信生成のp95レイテンシは1.8秒、分類器やツール呼び出しでは1秒未満を実現し、高負荷な並行処理下でも成功率約99.6%を維持している。 主要ユースケースと採用事例 Gemini 3.1 Flash-Liteは特にエージェント型パイプラインや高ボリューム処理での活用が目立つ。JetBrainsはIDE向けAIアシスタントおよびJunieエージェントへ統合し、リアルタイムコード補完に活用している。ゲーム生成プラットフォームのAstrocadeは自然言語によるゲーム生成要求のほか、マルチモーダル安全性チェックやコメント自動翻訳にも適用した。クリエイティブプラットフォームのkrea.aiは「価格帯に対して異常な創造性を発揮する」と評価し、プロンプト拡張ツールに採用している。 金融分野でも導入が進んでいる。投資銀行向けAIエージェント「Archie」を開発するOffDealはZoomコール中のリアルタイム財務リサーチに、Rampは高ボリューム・低レイテンシの金融ワークフローのコアコンポーネントとして採用。Rampはコスト・レイテンシ・インテリジェンスの三軸でパレートフロントを達成したと評価している。 今後の展望 Gemini 3.1 Flash-LiteはGemini Pro・Flash・Flash-Liteという三層構成の最下層に位置付けられ、大量推論を必要とする場面での「エントリーポイント」としての役割が期待される。Googleはエージェント型AIの普及に伴い、高頻度かつ低コストな推論需要が急増すると見込んでおり、本モデルはその需要を担う主力モデルとして位置づけられている。今後は更なるマルチモーダル対応強化やエージェントオーケストレーション機能の拡充が予想される。

May 10, 2026

OpenAI、GPT-5.5 InstantをChatGPTの新デフォルトモデルとして公開——ハルシネーションを52.5%削減

概要 OpenAIは2026年5月5日、ChatGPTの新しいデフォルトモデルとしてGPT-5.5 Instantを正式にリリースした。従来のGPT-5.3 Instantを置き換える形で導入されたこのモデルは、高速なレスポンス時間を維持しながらも、ハルシネーション(事実と異なる情報の生成)を52.5%削減したことが最大の特長だ。法律・医療・金融といったミスが許されない専門分野での精度が特に向上しており、実用性の高いAIアシスタントとしての信頼性を強化している。 性能指標 ベンチマーク結果では、GPT-5.5 Instantは複数の分野で前モデルを大きく上回った。数学的推論の指標であるAIME 2025では81.2点を記録し、GPT-5.3 Instantの65.4点から大幅に向上。マルチモーダル推論を測るMMMU-Proベンチマークでも76点(前モデル69.2点)を達成した。これらの数値は、単純な応答速度の改善にとどまらず、複雑な問題への対応能力が実質的に高まったことを示している。 コンテキスト管理とメモリ機能 GPT-5.5 Instantでは、過去の会話・ファイル・Gmailを横断的に検索してパーソナライズされた回答を提供する新しいコンテキスト管理機能が導入された。回答の出典元を明示する機能も追加され、ユーザーは古い情報の削除や修正を自分で行えるようになった(共有チャットではメモリソースは非表示)。この機能はまずPlus・Proプランのウェブユーザーへ先行展開され、その後Free・Go Business・エンタープライズアカウントへも順次提供される予定だ。 API提供と旧モデルの扱い 開発者向けには、GPT-5.5 InstantがAPIで**「chat-latest」**として利用可能になった。一方、GPT-5.3 Instantは有料ユーザー向けに今後3か月間は引き続き使用できる移行期間が設けられている。OpenAIは2026年2月にGPT-4oを廃止した際にユーザーから強い反発を受けた経緯があり、今回は段階的な移行措置を講じた形だ。 今後の展望 ハルシネーション削減と推論性能の両立は、AI言語モデルが実業務に組み込まれるうえでの大きな障壁の一つだった。GPT-5.5 Instantの登場は、OpenAIがその課題に対して具体的な数値で成果を示した点で注目される。今後はメモリ・コンテキスト機能の全ユーザーへの展開と、APIを通じた企業システムへの統合がさらに進む見通しだ。

May 10, 2026

Pixel 10の5月アップデートがアンチロールバック保護を強化、旧Androidへのダウングレードが不可能に

概要 Googleは2026年5月のPixel 10シリーズ向けアップデートにおいて、ブートローダーのアンチロールバックバージョンをインクリメントする変更を行った。この更新により、デバイスは以前のAndroidバージョンへのダウングレードが不可能となる。Googleは公式に「May 2026 update contains a bootloader update that increments the anti-roll back version」と説明しており、古いブートローダーへの切り替えを防止することがセキュリティ強化の主目的とされている。なお、同様の仕組みはPixel 6およびPixel 8シリーズでも既に実装されている。 技術的な仕組みと影響範囲 Pixelデバイスが採用するシームレスアップデートの仕組みでは、ストレージに2つのスロット(アクティブ/非アクティブ)が存在する。アップデート適用後も古いAndroidビルドは非アクティブスロットに残るが、アンチロールバックバージョンが更新されたことで、その古いブートローダーはセキュリティバージョンの検証を通過できず、ブートに失敗する状態となる。 一般ユーザーへの実質的な影響はほぼない。通常の利用において同一メジャーバージョン内でのダウングレードを行う場面は少ないためだ。一方、開発者にとっては懸念材料となる。新しいビルドに深刻なバグが発見された場合でも以前の安定版に戻すことができず、デバイスがリカバリーモードで使用不能に陥るリスクが生じる。記事の著者は、こうしたケースに対応するためのリカバリーツールが少なくとも開発者向けに公開されることが望ましいと指摘している。

May 10, 2026

SnapのSpecs社とQualcommが複数年提携、Snapdragon XR搭載ARグラスを2026年内に消費者向け発売へ

概要 SnapのAR眼鏡子会社Specs Inc.とQualcommは2026年4月、Qualcomm Snapdragon XRシステム・オン・チップ(SoC)を次世代スマートグラスに採用する複数年の戦略的提携を締結したと発表した。両社はオンデバイスAI、高度なグラフィックス、マルチユーザーデジタル体験の実現に向けて共同で開発を加速させる。消費者向け第6世代Specsは2026年内の発売が予定されており、2024年から開発者向けに提供されてきた第5世代に続く製品となる。 製品・技術の詳細 Specsは透過型ディスプレイを搭載したスタンドアロン型ARグラスで、デジタルコンテンツを現実空間に重ね合わせて表示・操作できる。次世代モデルではさらなる小型・軽量化が図られるほか、見通しの良いARオプティクス、Snapdragon XRチップセットによるエッジコンピューティング、プライバシーを重視したオンデバイスAIパーソナライゼーション機能が搭載される見込みだ。Qualcomm CEOのクリスティアーノ・アモン氏は「次世代Specsの開発を通じ、エージェント体験を提供する省電力のインタラクティブARデバイスを実現する」と述べ、Snap共同創業者兼CEOのエヴァン・シュピーゲル氏は「Qualcommとの連携はSpecsの将来に強固な基盤をもたらし、開発者と消費者に先進的な技術を届ける」とコメントした。 歴史的背景と独立子会社化 両社の協力関係は5年以上の実績があり、Snapdragonプラットフォームは複数世代のSpectacles(旧称)に搭載されてきた。Snapは2019年に消費者向けARグラスを展開したが、その後しばらく市場投入を停止していた。2026年にSpecsを独立した子会社(Specs Inc.)としてスピンオフさせ、製品化体制を強化した一方、2026年2月には主要幹部のスコット・マイヤーズ氏が内部対立を背景に退任するなど、組織面での課題も生じている。 競合環境と今後の展望 Specsが参入を目指すスマートグラス市場にはMeta、Samsung、Google、Appleといった大手が競合する。Qualcommとの提携により、Snapdragonエコシステムのパートナーや開発者コミュニティとの連携が深まり、ARアプリ開発の拡大が期待される。定期的な製品リリースサイクルを確立することで高度なデジタル体験の実現を目指す両社は、ARグラスの本格的な消費者普及に向けた重要な転換点に立っている。

May 10, 2026

IRENがNVIDIAと34億ドル・5年間の管理型AIクラウド契約を締結、フルスタックプロバイダーへ転換

概要 AIインフラ企業のIREN Limited(NASDAQ: IREN)は2026年5月7日、NVIDIAと5年間の大型AIクラウドサービス契約を締結したと発表した。契約総額は約34億ドルに上り、IRENはNVIDIAの社内AI・研究ワークロード向けに管理型GPUクラウドサービスを提供する。この契約は、IRENが単なるGPUデータセンター事業者から、ソフトウェアスタックを含むフルスタックAIクラウドプロバイダーへと転換を本格化させる重要なマイルストーンとなる。 契約の技術的詳細 本契約に基づくサービスは、テキサス州チルドレスキャンパス内の既存データセンターに展開される。主要な技術仕様は以下のとおりだ。 プラットフォーム:エアクール式NVIDIAブラックウェル(Blackwell)システム 展開規模:約60MWの電力容量 ソフトウェア統合:Mirantisと連携したオーケストレーションおよびクラスター管理ソフトウェア IREN共同創設者兼共同CEOのDaniel Roberts氏は「この契約は、ベアメタルの提供にとどまらず、包括的なマネージドクラウドソリューションを提供できる能力を実証するものだ」とコメントしており、ソフトウェア層を含むサービスの高度化を強調した。 フルスタックAIクラウドへの転換 今回の契約発表は、IRENが直前に実施したMirantisの買収(6億2,500万ドル)と合わせて理解する必要がある。Mirantisはオーケストレーションやクラスター管理に強みを持つソフトウェア企業であり、その買収によってIRENはGPUハードウェアの提供だけでなく、AIワークロードの運用管理に必要なソフトウェアレイヤーも自社で賄えるようになった。NVIDIAとの本契約では、このMirantisの技術が実際に活用されており、買収の戦略的合理性を裏付ける形となっている。 今後の展望 IRENは北米・ヨーロッパ・アジア太平洋地域にわたる大規模データセンターと電力インフラを保有し、再生可能エネルギーが豊富な地域での展開を強みとしている。世界最大のGPUサプライヤーであるNVIDIA自身が顧客となったことは、IRENのインフラおよびサービス品質に対する強力なお墨付きとなり、今後の顧客獲得にも追い風となりそうだ。34億ドルという契約規模はAIクラウド業界においても際立っており、IRENが本格的な競合プロバイダーとしての地位を確立しつつあることを示している。

May 9, 2026

IvantiのEPMM、RCEゼロデイ脆弱性CVE-2026-6973が悪用中—12.8.0.0以前の全ユーザーに緊急パッチ適用を呼びかけ

概要 Ivantiは2026年5月7日、Endpoint Manager Mobile(EPMM)に存在するリモートコード実行(RCE)の脆弱性CVE-2026-6973がゼロデイ攻撃として実際に悪用されていると警告した。この脆弱性は不適切な入力検証に起因するもので、管理者権限を持つリモート攻撃者がシステム上で任意のコードを実行できる。IvantiはEPMMバージョン12.8.0.0以前のすべてのユーザーに対し、直ちにパッチの適用を促している。修正済みバージョンは12.6.1.1、12.7.0.1、12.8.0.1。米国サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁(CISA)はこれまでにIvanti製品の脆弱性33件を実際の攻撃で悪用されたものとして記録しており、政府機関への影響も懸念される。 脆弱性の技術的詳細 CVE-2026-6973は重大度「高(High)」に分類されるRCE脆弱性で、攻撃には管理者レベルの認証情報が必要とされる。悪用が確認されているものの、開示時点では「非常に限定的な悪用」にとどまっているとされる。今回のセキュリティアップデートでは、CVE-2026-6973のほかに4件の高深刻度の脆弱性も同時に修正されている:CVE-2026-5786・CVE-2026-5787・CVE-2026-5788・CVE-2026-7821。これらは権限昇格、証明書スプーフィング、不正アクセスを可能にするものだが、現時点での野外悪用は確認されていない。Ivantiはパッチ適用に加えて、管理者アカウントの確認と認証情報のローテーションも推奨している。 インターネット上の露出状況 セキュリティ企業Shadowserverの調査によると、インターネットに公開されているEPMMインスタンスが850件以上確認されており、地理的にはヨーロッパに508件、北米に182件が集中している。これらの露出したインスタンスが攻撃者にとっての標的となる可能性が高く、パッチ未適用の組織にとって早急な対応が求められる状況だ。 Ivanti製品の脆弱性問題と今後の対応 今回のCVE-2026-6973は、Ivanti製品が抱える継続的な脆弱性問題の最新事例に過ぎない。CISAの記録によれば、これまでにIvantiの製品に関する脆弱性33件が実際の攻撃での悪用が確認されており、そのうち12件はランサムウェア攻撃に利用されている。2026年1月にIvantiは2件のコード注入ゼロデイ(CVE-2026-1281・CVE-2026-1340)を開示しており、4月にはCISAがCVE-2026-1340について連邦政府機関へ4日以内のパッチ適用を義務付けていた。EPMMを利用している組織は最新のパッチを直ちに適用するとともに、管理者アカウントの認証情報ローテーションを実施し、不審なアクセスログを精査することが強く推奨される。

May 9, 2026

Kotlin 2.4.0 Beta2 — コンテキストパラメータ等がStable化、Wasm向けインクリメンタルコンパイルもデフォルト有効に

概要 JetBrainsは2026年4月22日、Kotlin 2.4.0のEarly Access Preview第2弾(Beta2)をリリースした。安定版のリリースは2026年6〜7月を予定しており、今回のBeta2では言語機能・標準ライブラリ・各プラットフォーム(JVM、Native、Wasm、JS)にわたる広範な改善が盛り込まれている。最大のポイントは、Experimentalステータスだった複数の機能がStableに昇格したことと、Kotlin/Wasmのインクリメンタルコンパイルがデフォルト有効化されたことだ。 言語機能の安定化と新機能 今回のリリースで最も注目されるのは、コンテキストパラメータ(Context Parameters) のStable昇格だ(呼び出し可能参照を除く)。コンテキストパラメータは関数シグネチャに暗黙的なコンテキストを宣言できる機能で、依存性の受け渡しを明示的に書くことなく表現できる。合わせて、明示的バッキングフィールド(Explicit Backing Fields) と @all メタターゲット for properties もStableとなった。 新たにExperimentalで追加された機能として、明示的コンテキスト引数 が挙げられる。同名の関数が複数のコンテキスト型に対してオーバーロードされている場合に曖昧さを解消するための構文で、sendNotification(emailSender = defaultEmailSender) のように名前付きで指定できる。また、コレクションリテラル(-Xcollection-literals フラグ)も新たに導入され、val fruit = ["apple", "banana", "cherry"] のような簡潔な構文でリストを生成できるようになった。さらに、コンパイル時定数の改善(-XXLanguage:+IntrinsicConstEvaluation)として、文字列関数(.lowercase()・.uppercase()・.trim())や符号なし型演算、enumの .name プロパティがコンパイル時に評価されるようになった。 標準ライブラリの変更 kotlin.uuid.Uuid APIがStableに昇格した(V4/V7生成関数を除く)。また、コレクションのソート順序を検証する新しい拡張関数群(isSorted()・isSortedBy()・isSortedDescending()・isSortedWith() など)が追加された。JVM向けには、符号なし整数(ULong、UInt)から BigInteger への変換関数も追加されている。 プラットフォーム別の改善 Kotlin/JVM では Java 26 のバイトコード生成に対応し、Kotlinメタデータに保存されたアノテーションへのアクセスがデフォルトで有効化された。 Kotlin/Native では2つの大きな進展がある。GradleのビルドスクリプトからSwift Package Manager(SwiftPM)の依存関係を宣言できる Swiftパッケージインポート がExperimentalで追加された。また、ガベージコレクタのデフォルトがCMS(Concurrent Mark Sweep)に変更 され、GCによる一時停止時間が短縮されてCompose Multiplatformなどのアプリでのレスポンスが向上する。さらに、Swift Exportで kotlinx.coroutines.Flow をSwiftの AsyncSequence としてエクスポート できるようになった。 Kotlin/Wasm では、インクリメンタルコンパイルがStableに昇格しデフォルト有効化された。大規模プロジェクトではビルド時間の大幅な短縮が見込まれる。また、WebAssembly Component Model への対応により、言語非依存なコンポーネント構成やFaaS(サーバーレス)アプリケーションでの活用が可能になった。 Kotlin/JS では、インライン value class をTypeScriptにエクスポートできるようになったほか、js() 関数内でアロー関数・ESクラス・テンプレート文字列・スプレッド演算子など主要なES2015構文が使用可能になった。 ...

May 9, 2026