Adobe Commerce/Magentoの深刻な脆弱性CVE-2026-71362、パッチ公開直後から実攻撃で悪用開始

概要 Adobe CommerceおよびMagento Open Sourceに存在する深刻な脆弱性CVE-2026-71362(CVSSスコア9.1)が、Adobeによるパッチ公開からわずか数日で実際の攻撃に悪用され始めていることが明らかになった。この脆弱性は、攻撃者が既存アカウントや管理者権限、ユーザー操作を一切必要とせずに、顧客セッションを別の顧客アカウントへ不正に切り替えられるというもので、被害者のアカウントと個人データに無断でアクセスされる恐れがある。セキュリティ企業Sansecが悪用の兆候を検知し、自社のWAF製品「Sansec Shield」が既に攻撃試行をブロックしていると報告している。 技術的な詳細 脆弱性の根本原因は、Magentoにおける顧客アイデンティティ、すなわちカスタマーセッションの処理方法の不備にある。不適切なセッション処理により、攻撃者は認証情報を持たない状態でも他人のセッションへの切り替えが可能になっていた。Adobeは8月11日付のセキュリティ情報APSB26-92で本脆弱性を含む計7件の脆弱性を修正しており、うち5件がCriticalレベルとされる。CVE-2026-71362以外にも、保存型クロスサイトスクリプティング(XSS)や認可に関する脆弱性が同時に修正されている。影響を受けるのはAdobe Commerce、Commerce B2B、Magento Open Sourceで、2026年7月までのパッチを適用した環境も含めて脆弱な状態にあったという。今回のパッチは独立したパッチファイルとして緊急配布されており、正式なセキュリティリリースへの統合は後日予定されている。 悪用状況と対応 Adobeによる公開後、間を置かずに実環境での悪用試行が観測された。今回の悪用の速さは、深刻な脆弱性が公開されると攻撃側が短時間で武器化するという、近年のECプラットフォーム攻撃に共通する傾向を改めて示す事例といえる。Adobeは、現在サポート対象となっているCommerce、Commerce B2B、Magentoの各リリースラインを利用する管理者に対し、2026年8月のセキュリティ更新をできるだけ早期に適用するよう強く勧告している。なお、パッチ適用にあたっては事前に最新の-pリリース(パッチレベル)を確認する必要がある点にも注意が必要だ。ECサイト運営事業者は、顧客アカウントの不正利用や個人情報漏えいのリスクを避けるため、速やかな対応が求められる。

August 14, 2026

Dynatrace、AI幻覚検出のArizeを9億1500万ドルで買収へ 観測性とAI評価を統合

概要 Dynatraceは8月13日、AI観測・評価プラットフォームを手がけるArizeを買収する最終契約を締結したと発表した。買収額は約9億1500万ドルで、うち約8億1500万ドルを現金で、残りをArize従業員向けの株式報酬として支払う。資金は手元資金と既存のクレジット・ファシリティで賄う予定で、規制当局の承認などの手続きを経て、今四半期末からDynatraceの2027会計年度第3四半期初頭(2026年10月頃)にかけての完了を見込んでいる。 サンフランシスコに本社を置くArizeは、機械学習および生成AIアプリケーション向けの観測・評価プラットフォームを提供する企業で、AIモデルやエージェントの出力における幻覚(ハルシネーション)の検出や品質評価に強みを持つ。オープンソースコミュニティで強いブランド力を築いており、フォーチュン500企業からAIネイティブの開発者まで幅広い顧客基盤を有している。 買収の狙いと統合計画 Dynatrace CEOのRick McConnellは、「AIは驚異的な速度で本番環境へと移行しつつある」と述べ、今回の買収がAI観測分野におけるリーダーシップを強化し、ロードマップを加速させるものだと説明した。Arize CEOのJason Lopateckiも、この統合によって「AI評価とソフトウェア観測性を一つの統合システムにまとめられる」とコメントしている。 両社が掲げる狙いは、AI開発ライフサイクル全体を切れ目なくカバーすることにある。従来、AIアプリケーションの評価・検証は開発段階のツールと、本番運用後の監視ツールとで分断されがちだったが、両社の技術を統合することで、リリース前の評価から本番環境での挙動監視、継続的なパフォーマンス改善までを一気通貫で扱えるようにする。Dynatrace側のエクサバイト規模のデータ分析基盤に、ArizeのAI特化評価機能を組み込むことで、AIの挙動とビジネス成果を統一的に把握できる体制を構築する狙いだ。 経営体制と財務への影響 買収完了後、Arizeの共同創業者であるJason LopateckiとAparna Dhinakaranは共にDynatraceに参画する。Lopateckiは引き続きArizeチームを率い、McConnell CEOに直属する形となる。買収アドバイザーにはJ.P. Morgan SecuritiesとGoodwin Procterが起用されている。 財務面では、Dynatraceは本買収が年間経常収益(ARR)成長率に対して約200ベーシスポイントのプラス効果をもたらす一方、2027会計年度の非GAAP営業利益率には175ベーシスポイントのマイナス影響を見込むと説明している。ただし2028年度以降は利益率の改善が見込まれるとしている。AI観測市場は2030年までに100億ドル規模を超えると予測されており、企業がAIモデルの精度や想定外の出力、データの変化などを監視し、リソース利用を最適化する需要が急速に高まっている背景がある。

August 14, 2026

Kotlin 2.4.20-RC公開、コルーチン例外のスタックトレース復元やWasmtime対応など多数の改善

概要 JetBrainsは2026年8月12日、Kotlin 2.4.20のリリース候補版(RC)を公開した。今回のRCでは、標準ライブラリへのコルーチン例外のスタックトレース復元機能やコレクションの要素チェック関数の追加に加え、Kotlin/NativeにおけるSwift Exportの強化、Kotlin/Wasmでの新たなランタイム対応、Kotlin/JSのブラウザテスト刷新など、プラットフォーム横断で多数の改善が盛り込まれている。正式版へ向けた最終確認段階の位置づけで、IntelliJ IDEAやAndroid Studioを最新版に更新した上で、ビルドスクリプトのKotlinバージョンを2.4.20-RCに変更することで試用できる。 標準ライブラリの改善 コルーチンのデバッグ性向上を目的として、新たにStackTraceRecoverableインターフェースが導入された。これは、コルーチンが例外をスローして再送出する際に、例外に紐づくスタックトレースの復元方法をカスタマイズできるようにするもので、copyForStackTraceRecovery()メソッドを実装することで、例外の再構築ロジックを定義できる。利用には@OptIn(ExperimentalStdlibCoroutineSupportApi::class)によるオプトインが必要で、全ターゲットで利用可能だが、JVM上のkotlinx.coroutinesではすでに活用されている。 また、コレクション要素の性質を検証する実験的な関数として、allDistinct()(全要素が一意かを確認)、allDistinctBy()(指定したプロパティが一意かを確認)、allEqual()(全要素が同一かを確認)、allEqualBy()(指定したプロパティが全て同一かを確認)の4関数が新たに追加された。こちらも@OptIn(ExperimentalStdlibApi::class)が必要な実験的APIとなっている。 Kotlin/Native・Wasm・JSの強化 Kotlin/NativeのSwift Exportでは、Kotlinのsealedクラス階層をSwiftのenumにマッピングし、Swift側で網羅的なswitch文を書けるようになったほか、Swift側で実装したKotlinインターフェースをKotlin関数に渡す「逆方向インポート」パターンもサポートされ、プラットフォーム固有実装の受け渡しが容易になった。さらにassembleSharedXCFrameworkタスクがSwiftPM依存関係向けのPackage.swiftを自動生成するようになり、XCFrameworkの配布が簡素化される。 Kotlin/Wasmでは、Node.jsに加えて選択できる新たなスタンドアロンWebAssemblyランタイムとして、wasmWasiターゲット向けにWasmtime対応が追加された。加えて、@JsFun宣言内でのトップレベルrequire()はコンパイルエラーとなり、@JsModuleアノテーションやimport()式への移行が求められるほか、コンパニオンオブジェクトの初期化順序がJVMと同様にスーパークラス優先へと変更され、プラットフォーム間の一貫性が向上した。Kotlin/JSでは非推奨となったKarmaに代わり、Mocha・Webpack・Playwrightを組み合わせた新しいブラウザテストDSLが実験的機能として導入され、Chromium・Firefox・WebKitでのテストに対応する。 その他の変更点 Build Tools API(BTA)の対応範囲がKotlin/JS、Kotlin/Wasm、Kotlinメタデータにも拡大され、gradle.propertiesでのオプトインを経てKotlin 2.5.0でのデフォルト化が予定されている。また、標準のkotlincより高速な起動とパフォーマンスを実現する、ネイティブコンパイライメージの初の実験的リリースも行われた。Serialization、Compose、All-openなど主要なコンパイラプラグインをバンドルしており、GitHub Releasesから入手できる。今回のRCは正式リリースに向けた最終検証段階であり、フィードバックを踏まえて安定版への反映が進められる見込みだ。

August 14, 2026

OpenAI出資のThrive Holdings、評価額120億ドルで20億ドル調達、伝統企業を買収してAIで再構築する「ロールアップ」戦略を拡大

概要 Josh Kushner氏が率いるThrive Holdingsが、評価額120億ドルで20億ドルの新規資金調達を実施した。SoftBank Group、D1 Capital Partners、Altimeter Capitalが主導投資家として参加し、同社にとって創業以来初めての外部資本の受け入れとなる。Thrive Holdingsはこれまで、母体であるThrive Capitalの機関投資家から集めた約10億ドルで運営してきたが、今回の調達を含め累計調達額は30億ドルに達した。同社はOpenAIの出資も受けており、単なるAIソフトウェアの販売ではなく、会計やITといった伝統的な業種の企業を丸ごと買収し、自社エンジニアを送り込んで業務プロセスをAIで再構築する「AIロールアップ」というユニークな戦略を掲げている。現在、プラットフォーム全体で70社以上を傘下に持つ。 事業モデルと実績 Thrive Holdingsの中核事業は2つの部門で構成される。会計分野を担う「Current」は50社以上、2,000人以上の専門家を抱え、独自の税務AIエージェント「TaxAI」が7,000件以上の税務申告を98%の精度で処理し、申告準備にかかる時間を30%以上削減したという。IT分野を担う「Shield」には約20社が参加しており、ヘルプデスクの解決時間を36倍高速化したほか、カスタムAIエージェントの配置数はこの1カ月で倍増した。同社は買収した企業に対してAIエージェントを直接組み込み、業務プロセスそのものを刷新する点で、既存のソフトウェア販売型のAI企業とは一線を画している。 新規事業:規制・許認可分野への展開 今回の調達を受けて、Thrive Holdingsは新たに規制関連サービスに焦点を当てたプラットフォームの立ち上げを進めている。具体的には、データセンター、製造、医療、電力、水道、交通インフラなどにおける許認可取得、検査、技術文書作成、コンプライアンス追跡を対象とする。この事業の創業メンバーであるAnuj Mehndiratta氏は「米国はより多くの重要インフラを構築・近代化する必要があるが、地域的・技術的・規制の複雑性がその制約になっている」と述べた。また共同創業者のKareem Zaki氏は、AIが実務担当者と協働することで「安全基準を維持しながら規制のボトルネックを圧縮し、負担を軽減できる」との見方を示している。 背景と競合構図 Thrive Holdingsは2025年12月にOpenAIから出資を受け、OpenAIのスタッフを傘下のポートフォリオ企業に派遣してAI導入を加速させる関係を築いている。母体のThrive CapitalはOpenAIの主要出資者の一つでもあり、両社の資本関係は複雑に絡み合っている。同様の「AI企業買収」モデルとしては、OpenAI・TPG・Bain Capitalが共同で立ち上げた評価額100億ドル規模の「DeployCo」や、AnthropicとBlackstoneが手掛ける「Ode」が存在するが、これらはクライアント企業向けにサービスを提供する形態であるのに対し、Thrive Holdingsは買収先企業を完全所有することで得られる収益性の高さを差別化要因としている。現時点で戦略の対象は米国市場に限定されており、欧州展開については言及されていない。数百の専門企業を買収・運営するには相応の資金規模と実行力が求められるため、今後は第三者による実績の検証や、新設する許認可プラットフォームが実際に機能するかが注目される。

August 14, 2026

Zed Industries、開発者とAIエージェントが共作する新環境「Delta」を発表 CRDTベースのDeltaDBでコードと会話を同期

概要 Zed Industriesは8月12日、開発者とAIエージェントが同じ場所でコードを書き、レビューできるマルチプレイヤー開発環境「Delta」を発表した。創業者のNathan Sobo氏は「Delta keeps code and conversations connected」と述べ、コード変更がどのような経緯で生まれたのかという文脈を失わないことを設計の核に据えたと説明している。従来のコミットベースの開発フローでは、AIエージェントとのやり取りの過程がコミット履歴から切り離されがちだったが、Deltaはコードの進化に伴う会話の全履歴を保持し、コメントを特定のコード行に紐付けたまま自動的に追従させる。現時点ではプライベートベータの段階で、初期ユーザーへの招待が始まっており、今後数週間かけて対象を広げていく予定だ。 技術的な詳細 Deltaの中核を支えるのが、新設計のデータベース「DeltaDB」だ。DeltaDBはCRDT(Conflict-free Replicated Data Type)をベースとしており、複数の参加者が同時にコードや会話を編集しても自動的に内容を調和させる。「DeltaDBは会話とワークツリーを一体として、リアルタイムに複製する」設計になっており、既存のGitリポジトリとも互換性を保ちながら、コミットとコミットの間に発生したすべての編集と会話のやり取りを記録できる点が特徴だ。 利用方法も複数用意されている。macOS・Linux向けのデスクトップアプリでローカル実行できる(Windows対応は近日公開予定)ほか、RustアプリケーションをWebAssemblyとWebGLでビルドしたブラウザ版により、インストールなしでほぼ同等の体験を提供する。さらにターミナル経由でClaude Codeなど外部のAIエージェントとも連携できる設計になっており、単一のエディタに閉じない柔軟な使い方を想定している。インターフェース面では、AIエージェントとの会話を単に受動的に眺めるログとしてではなく、人間が直接編集できるドキュメントとして扱う点も特徴で、スレッド内の任意の位置にカーソルを置いてコメントを付けられるため、エージェント側もユーザーの意図をより正確に把握できるという。 チーム利用も考慮されており、スレッドに他のメンバーを招待すると、全員がリアルタイムで同期されたワークツリーにアクセスできる。処理をクラウドランナーに移行することも可能で、エージェントがバックグラウンドで作業を続けている間に、開発者は別のタスクへ移れる仕組みになっている。 今後の展開 Zedは、DeltaDBを将来的には既存のZedエディタ本体にも統合する方針を示しているが、現時点では新環境Deltaの開発が優先事項だという。既存のZedユーザーへの影響を最小限に抑えつつ、Deltaで新しいプリミティブを段階的に検証・改善していく考えを示している。AIエージェントとの協働を前提としたコーディング環境が各社から相次いで登場する中、Zedは「コードと会話の文脈を切り離さない」という切り口で独自のポジションを打ち出した形だ。

August 14, 2026

AIコーディングのCognition、評価額400億ドルでの新規調達交渉へ ARRは約3か月で倍増

概要 AIコーディングエージェント「Devin」を開発するCognitionが、企業評価額400億ドルでの新たな資金調達交渉を投資家と進めていると、Bloombergなど複数の情報筋が報じた。同社は2026年5月にも評価額260億ドルで10億ドルを調達したばかりで、わずか3か月ほどで評価額が大幅に上昇する見通しとなる。新ラウンドでも調達額は10億ドルを超える規模になると見られている。 急成長する収益とエンタープライズ需要 今回の評価額上昇の背景にあるのが、年間経常収益(ARR)の急拡大だ。前回の資金調達時点からARRはおよそ倍増し、10億ドル規模に迫っているという。創業者のスコット・ウー氏が3か月前に明らかにしたところでは、当時のARRは4億9,200万ドルで、過去6か月にわたりエンタープライズ顧客の利用が月間50%のペースで成長していたという。主要顧客にはメルセデス・ベンツ、ゴールドマン・サックス、シティ、NASA、さらに米陸軍や米海軍といった政府機関も名を連ねる。 資金調達の背景 Cognitionの資金調達はここ1年で急速に規模を拡大してきた。過去には4億ドル規模のラウンドを実施しており、直近の2026年5月には10億ドルを調達し評価額は260億ドルに達していた。それからわずか数か月で評価額が400億ドル規模に跳ね上がる可能性が浮上した形で、AIコーディング分野への投資家の期待の高さがうかがえる。 Devinは、開発者の人員削減を目的としたツールではなく、レガシーなソフトウェアの更新やプラットフォーム移行といった、いわば「業務的な単純作業」を代行するエージェントとして企業に浸透しているとされる。AIコーディング分野は現在、大手テック企業による関連分野の買収・提携が相次ぐなど競争が激化しており、Cognitionの評価額急上昇もこうした市場全体の過熱を反映した動きといえる。

August 14, 2026

CoreWeave、第2四半期売上高が前年比112%増の25.8億ドル 受注残高1040億ドルで通期見通しも上方修正

概要 AIクラウドインフラ企業のCoreWeave(CRWV)は8月11日、2026年第2四半期決算を発表した。売上高は前年同期の12.1億ドルから倍増以上となる25.8億ドルに達し、ウォール街予想の25.6億ドルをわずかに上回った。1株当たり損失は1.14ドルとなり、アナリスト予想の1.41ドルの損失より小幅にとどまった。決算発表を受けて株価は時間外・プレマーケット取引で一時20%近く急伸するなど、市場は好感を示した。CEOのMichael Intrator氏は「事業規模の拡大が営業レバレッジの拡大につながる、重要な転換点を迎えた」とコメントし、利益率改善への自信を示している。 業績の内訳 売上高が大きく伸びる一方、純損失は6.26億ドルとなり、前年同期の2.90億ドルから倍以上に拡大した。主因は金利費用の急増で、純金利費用は前年の2.67億ドルから6.40億ドルへとほぼ倍増した。同社は第2四半期中に無担保債・転換社債で100億ドル以上、シニアローンで31億ドル、さらに Jane Street からの戦略的投資として10億ドルを調達しており、急拡大するデータセンター投資を賄うための資金調達コストが損益を圧迫した形だ。技術・インフラ関連費用も6.70億ドルから15.1億ドルへと大きく増加している。 一方で収益性を示す指標は改善している。調整後EBITDAは15.1億ドル(利益率59%、前年は62%)、調整後営業利益は1.28億ドルとなり、アナリスト予想の6,600万ドルを大きく上回った。発電容量はこの四半期でおよそ500メガワット拡大し、合計1.5ギガワットに達している。 受注残高と通期見通し 6月30日時点の収益バックログ(受注残高)は1040億ドルに達し、前年同期比246%増という急拡大を見せた。第3四半期に入ってからも新規顧客からの契約獲得は続いており、250億ドル以上の新規コミットメントをすでに獲得している。これを受けて同社は2026年通期の売上高見通しを124億〜132億ドルに引き上げ、調整後営業利益についても9.6億〜11.5億ドルとするガイダンスを示した。第3四半期の売上高見通しは34.5億〜36億ドルとしている。 今後の展望 CoreWeaveの決算は、AI需要を背景にした急成長と、それを支えるための巨額の先行投資・借入負担という、AIインフラ企業に共通する構図を改めて浮き彫りにした。受注残高の急拡大と通期見通しの上方修正は投資家に成長の持続性への期待を抱かせた一方、金利費用の増加による純損失の拡大は、同社が積み上げる負債規模の大きさを物語っている。Intrator CEOが強調する「利益率改善」がデータセンター投資の回収と両立できるかどうかは、今後の四半期決算でも焦点となりそうだ。

August 14, 2026

IntelとAMD、月例パッチで合計80件超の脆弱性を修正 特権昇格や秘密鍵漏洩のリスクに対応

概要 Intelは8月12日、42件のセキュリティアドバイザリを新たに公開し、合計72件の脆弱性を修正した。AMDも同日、5件のセキュリティ通知を発行し、12件の脆弱性に対処している。両社を合わせると、今回のチップメーカー版Patch Tuesdayで修正された脆弱性は80件を超える規模となった。 Intelの修正内容 Intelが公表した脆弱性の多くは高(High)または中(Medium)深刻度に分類される。高深刻度の欠陥は複数の製品カテゴリにまたがっており、PROSet/Wireless WiFiソフトウェアでは特権昇格・サービス拒否・ローカルコード実行につながる問題が見つかった。このほか、Xeonプロセッサでの特権昇格、Data Center Attestation Primitivesでの情報漏洩、Xeon向けAlias Checking Trusted Moduleでの特権昇格、TDXでの特権昇格、Active Management Technologyでのサービス拒否、CSMEおよびSPSでの特権昇格など、幅広い製品群で深刻な脆弱性が修正されている。 中・低深刻度の脆弱性は、PyTorch拡張機能やLLM-on-Ray、Gaudiランタイムといった AI/ML 関連ツール群やインフラ製品にも及んだ。また、Slim Bootloaderでは低深刻度の脆弱性が1件修正されている。 AMDの修正内容 AMDが発行した5件のセキュリティ通知では、秘密鍵漏洩、特権昇格、任意コード実行につながりうる脆弱性が対処された。開発環境のVitisでは高深刻度の脆弱性が5件見つかったほか、Ryzen Master Utility、SEV-SNP、Power Design Managerでもコード実行につながる脆弱性が修正されている。AMDは以前、SEV実装に影響するサイドチャネル攻撃「PowerHooK」を公表しており、今回の修正はそれに続くセキュリティ対応の一環となる。 今後の対応 企業やエンドユーザーは、影響を受ける製品のファームウェアやドライバーを速やかに最新版へ更新することが推奨される。特にサーバー用途で広く使われるXeonプロセッサやSEV-SNP関連の脆弱性は、データセンター環境における機密性や可用性に直結するため、優先的なパッチ適用が望まれる。

August 14, 2026

IREN、MicrosoftへAIデータセンター「Horizon 1」を引き渡しNVIDIA最高評価を取得

概要 データセンター企業IRENは8月13日、米テキサス州チルドレスのキャンパスに建設したAIクラウド施設「Horizon 1」をMicrosoftに引き渡し、顧客側での受け入れが完了したと発表した。同時に、NVIDIAによるGB300 NVL72導入のテスト結果を受けて、最高評価となる「Exemplar Cloud」認定を取得したことも明らかにした。この認定は、高負荷なAIワークロードを性能・信頼性・スケールの面で支えられる能力を持つ事業者であることを示すものだ。 Horizon 1は、2025年11月に発表されたMicrosoftとの97億ドル規模・5年間のクラウドサービス契約に基づき、チルドレスキャンパスに順次構築される4棟の直接液冷式AIクラウド施設のうち最初の1棟にあたる。各施設はIT負荷ベースで50MWの規模を持ち、2026年中にすべてMicrosoftへ引き渡される計画となっている。 技術的な詳細 Horizon 1はチップへの直接液冷方式を採用した50MW(IT負荷)規模のAIクラウド施設で、NVIDIAのGB300 NVL72を導入している。NVIDIAはこの導入環境を検証した上で、IRENに「Exemplar Cloud」のステータスを付与した。これは大規模GPUクラスタを安定的かつ高性能に運用できる事業者に対してNVIDIAが与える評価であり、IRENの垂直統合型の運営モデルの実効性を裏付ける形となった。IREN共同創業者・共同CEOのDaniel Roberts氏は、「Horizon 1の引き渡しは、当社の垂直統合モデルの強みを証明するものだ」と述べ、3,000人を超える現地サイトチームの貢献を称えた。 背景と今後の展望 IRENとMicrosoftの契約は2025年11月に発表され、チルドレスキャンパスにおいて2026年中に4棟の50MW施設(Horizon 1〜4)を段階的に引き渡す計画となっている。今回のHorizon 1の完了はその第一弾であり、IRENは残るHorizon 2〜4についても2026年内の引き渡しを目指すとしている。同社は2026年中にAIクラウドの総容量(グロス)を480MWまで、2027年には1.2GWまで拡大する目標を掲げており、Horizon 1の完成とNVIDIAからの高評価は、この拡大戦略を後押しする材料となりそうだ。

August 14, 2026

PostgreSQL、28件のセキュリティ脆弱性を修正する定期アップデートを一斉リリース、19 Beta 3も公開

概要 PostgreSQLプロジェクトは8月13日、サポート対象となっている全バージョン(18.6、17.11、16.15、15.19、14.24)に対する定期アップデートを公開した。今回のリリースでは28件のセキュリティ脆弱性と110件以上のバグが修正されており、あわせて次期メジャーバージョンとなるPostgreSQL 19のベータ3も公開された。マイナーバージョンアップデートのため、既存環境ではpg_dumpの再実行やデータのリロードは不要で、PostgreSQLを停止してバイナリを更新後に再起動するだけで適用できる。 セキュリティ脆弱性の詳細 修正された28件の脆弱性のうち、特に深刻度の高いものが多数含まれている点が今回のリリースの特徴だ。CVSSスコア8.8の脆弱性としては、tsvector/tsqueryの整数オーバーフロー、正規表現処理におけるヒープバッファオーバーフロー、to_char関数のヒープバッファオーバーフロー、plperlのtiedオブジェクトに起因するヒープバッファオーバーフロー、pg_stat_statementsのヒープバッファオーバーフローなどが挙げられ、いずれも悪用された場合は任意コード実行につながる恐れがある。このほか、EXTRACT関数の引数を通じたSQLインジェクションや、pg_restore_attribute_stats()・カーソルのCLOSEとDECLAREの組み合わせにおける型混同、pg_dumpのヒープバッファオーバーフローなども同スコアで報告されている。psqlクライアント側の脆弱性としては、COPY FROM STDINの早期終了によりデータ行がpsqlコマンドとして処理されてしまう問題(CVSS 8.1)や、\unrestrictコマンドを通じた任意コード実行(CVSS 8.8)も修正された。中程度の深刻度では、ロジカルデコーディングを悪用した任意ファイルのdlopenや、pgcryptoにおける平文暗号化の脆弱性なども対象に含まれる。 主なバグ修正 セキュリティ修正に加え、データの整合性に関わる重要なバグ修正も多数含まれる。並列GINインデックスビルドでは、並列ワーカーが初期化されていない行数を報告することでreltuplesが無限大やNaNになる問題が修正されており、該当するインデックスを持つテーブルではANALYZEの再実行が推奨されている。btree_gistでは、float4/float8のNaN処理やbit/bit varying型のソート順に問題があり、影響を受けるインデックスの再構築が必要となる。また、14,653個以上のラベルを含むltree値の比較が不正確になり、B-treeインデックスが破損する可能性がある問題も修正されたため、該当するインデックスの再構築が推奨される。このほか、RANGEパーティションのデフォルトパーティション処理、外部テーブルにおけるランタイムパーティション剪定、RETURNING句のOLD/NEW処理、ハッシュジョインのパフォーマンス、jsonpathの@?・@@演算子のエラー処理、VACUUMのラップアラウンド失敗時セーフモードなど、幅広い領域で修正が行われている。 19 Beta 3とサポート終了について 同時にリリースされたPostgreSQL 19 Beta 3では、Beta 1で導入されていたGROUP BY ALL機能が撤回されたことが大きな変更点となる。このほか、FOR PORTION OFテンポラルテーブル構文やロジカルレプリケーションのシーケンス同期機能、REFRESH SEQUENCESのレース条件、postgres_fdwにおける配列比較のプッシュダウンなど、複数の不具合が修正されている。プロジェクトは本番相当のワークロードでのベータ版テストを呼びかけており、フィードバックはPostgreSQL公式のバグ報告フォームから受け付けている。なお、PostgreSQL 14は2026年11月12日にサポート終了が予定されており、同バージョンを本番環境で運用しているユーザーには早めのアップグレード計画の策定が推奨される。

August 14, 2026