Anthropic、IPO前の投資家説明で第3四半期売上168億ドルを開示も成長鈍化で評価額に慎重論
急成長が続くも鈍化の兆し Anthropicは11月の株式上場(IPO)を控え、サンフランシスコ本社で開催した投資家向け説明会で2026年第3四半期の売上高が168億ドルに達したと伝えたと複数の報道が明らかにした。前四半期(第2四半期、116億ドル)比では45%増、第1四半期(47億ドル)からは3倍超という急成長ぶりだが、成長率そのものは第2四半期の前四半期比140%増から大きく鈍化している。背景には夏場のトークン利用の伸び悩みに加え、OpenAIが9月に投入した競合製品「Astra」の存在、高インフレや借入コストの上昇、AIに対する世間の慎重な見方、業界内の価格競争の激化などが指摘されている。なお2026年7月時点の年間換算売上(ARR)は650億ドルとされ、急拡大のペースは依然として際立っている。 2四半期連続の黒字化とコスト効率 Anthropicは調整後利益とフリーキャッシュフローの両方で2四半期連続の黒字化を達成したと説明した。第3四半期の調整後粗利益率は85%、調整後営業利益率は約11%(年初来累計)に達し、コンピューティング(計算リソース)への支出1ドルに対して1.70ドルの売上を生み出す効率を実現しているという。企業向けAIコーディング製品「Claude Code」は2月時点で年間換算売上が25億ドルを超えており、年間100万ドル以上を支払う顧客も500社を超えるなど、大口顧客基盤の拡大が収益を支えている一方、モデルの知識を他社に提供する「蒸留」収入は全体の5〜7%を占め、対抗策の実施後は縮小が見込まれるとされる。 IPOを巡る評価額への思惑 Anthropicは2026年5月、Altimeter Capital、Dragoneer、Greenoaks、Sequoia Capitalなどが主導するシリーズHで650億ドルを調達し、投資後評価額は9650億ドルに達していた。この勢いを受けて当初はIPOでの評価額が2兆ドルに達するとの観測も一部で浮上していたが、今回開示された売上成長の鈍化や通期見通しの欠如を受け、投資家の間では評価額が1兆5000億ドルを下回る可能性があるとの慎重な見方も出ている。Anthropicは今後10年間でクラウドサービスやインフラへの投資として約5180億ドルの契約を結んでおり、IPOは11月の感謝祭前を目標に準備が進められている。今回の数字は、同社が「AI相場の強気材料」として投資家にアピールする狙いがあったとみられるが、市場の期待値との間にはなお隔たりがある格好だ。