Gartner予測:ソブリンクラウドIaaS支出、地政学的緊張を背景に2026年は800億ドル規模へ

概要 調査会社Gartnerは2026年2月に発表したレポートで、世界のソブリンクラウドIaaS(Infrastructure as a Service)支出が2026年に総額804億ドルに達すると予測した。これは2025年比で35.6%の増加に相当し、市場の急拡大を示している。さらに2027年には1,100億ドルへの成長が見込まれており、ソブリンクラウドはクラウド市場のなかでも特に高い成長が続くセグメントとなっている。成長の主な要因として、米中間の地政学的緊張の高まり、各国のデータ主権規制の強化、そして「重要なクラウドサービスを政治的理由で遮断されるリスク」への懸念が挙げられている。 地域別の成長見通し 支出規模では中国が最大の市場として470億ドルを占め、北米が160億ドルで2位につける見込みだが、両地域の成長率は20%台にとどまる。一方で伸び率では中東・アフリカが89%増、成熟アジア太平洋地域が87%増、欧州が83%増と突出して高く、特に欧州の動向が注目される。欧州のソブリンクラウドIaaS支出は2025年の69億ドルから2026年には126億ドルへ拡大し、さらに2027年には231億ドルに達する見通し。2027年には欧州が北米を上回り、世界第2の市場に浮上すると予測されている。欧州では多くの企業が年間売上の一定割合を地域内のITプロバイダーに支出する取り組みを進めており、米国系ハイパースケーラーへの依存度を低下させる動きが加速している。 支出の内訳と市場構造 Gartnerの分析によれば、ソブリンクラウドIaaS支出の80%は既存のクラウドワークロードの移行ではなく、新規デジタルソリューションの開発やオンプレミスからの移行待ちレガシーワークロードに充てられる。残りの20%は既存のハイパースケーラーから地域・国内クラウドプロバイダーへのワークロード移管(ジオパトリエーション)に対応するものだ。この傾向は2029年にかけてさらに強まると予測され、グローバル企業の既存ワークロードの20%がハイパースケーラーから地域プロバイダーへ移行するとされる。 需要を牽引する主体は政府・公共機関であり、次いで金融・医療などの規制業種、エネルギー・電力・通信といった重要インフラ分野が続く。 ハイパースケーラーへの影響と示唆 Gartnerのシニアディレクター兼アナリストであるRene Buest氏は、多くのハイパースケーラーがデジタル主権をコンプライアンス対応の問題としてのみ捉えている点を問題視している。「これは彼らが犯している過ちであり、その結果、市場シェアを失うことになる」とBuest氏は指摘する。ハイパースケーラーがソブリンクラウドの要件に戦略的・本質的に対応しなければ、地域・国内クラウドプロバイダーへの置き換えが進むことを示唆しており、グローバルクラウド市場の競争構造が変化していく可能性がある。

April 17, 2026

GitHub CLIに「gh skill」コマンドが追加、AIエージェント向けスキルの管理が可能に

概要 GitHubは2026年4月16日、GitHub CLIにエージェントスキルを管理する新コマンドgh skillを追加した。このコマンドは、AIエージェントに特定のタスクの実行方法を教える「ポータブルな命令セット・スクリプト・リソース」の集合体であるAgent Skills仕様に準拠したツールを、GitHubリポジトリから発見・インストール・更新・公開するための機能を提供する。本機能はGitHub CLI v2.90.0以降で利用可能で、現在はパブリックプレビュー段階にある。 主な機能 gh skill install OWNER/REPOSITORY SKILLという形式でスキルをインストールでき、タグやコミットSHAを指定したバージョン固定にも対応している。gh skill updateコマンドでは、複数のエージェントホストディレクトリをスキャンして利用可能な更新を一括確認できる。また、スキルの公開にはgh skill publishコマンドを使用し、仕様への準拠性やリポジトリのセキュリティ設定(タグ保護、シークレットスキャンなど)を自動的に検証する。 対応するエージェントホストはGitHub Copilot、Claude Code、Cursor、Codex、Gemini CLI、Antigravityなど複数にわたり、--agentフラグで対象エージェントを指定して使い分けられる。 サプライチェーンの整合性と安全性 本機能では、スキルのエコシステムにパッケージマネージャー相当の保証をもたらすため、サプライチェーン整合性の仕組みが組み込まれている。具体的には、リリース後の改変を防ぐイミュータブルリリース機能、Git tree SHAによる変更検知、SKILL.mdフロントマターへのプロヴェナンスメタデータの埋め込みが採用されている。 一方、スキル自体はGitHubによる検証は行われないため、プロンプトインジェクションや悪意あるスクリプトが含まれる可能性がある。GitHubはインストール前にgh skill previewコマンドでスキルの内容を確認することを推奨している。AIエージェントの活用が広がる中で、スキルのエコシステムに信頼性とトレーサビリティを持たせる取り組みとして注目される。

April 17, 2026

GitHub Copilot CLIのリモートセッション操作機能がパブリックプレビューに、WebブラウザやモバイルからCLIを制御可能に

概要 GitHubは2026年4月13日、GitHub Copilot CLIのセッションをWebブラウザやモバイルデバイスからリアルタイムに監視・操作できる「リモートCLIセッション」機能をパブリックプレビューとして公開した。copilot --remoteコマンドで起動することで、CLIの動作をGitHubにストリーミングし、別デバイスから継続的に制御できるようになる。これまでローカル環境に限定されていたCopilot CLIの操作性が大幅に向上する機能だ。 主な機能と操作方法 リモートセッション機能では以下の操作が可能だ。セッションの開始には最新バージョンへの更新(/update)が必要で、その後copilot --remoteを実行するか、既存セッション内で/remoteコマンドを入力する。また、作業ディレクトリがGitHubリポジトリである必要がある。 リアルタイム監視: CLI上のアクティビティをGitHubインターフェースに同期してストリーミング表示 マルチデバイスアクセス: 共有リンクやQRコードを使って他のデバイスからセッションにアクセス フォローアップ指示の送信: セッション実行中に追加の指示やコマンドを送信 計画の確認・変更: 実装前にCopilotの計画をレビューして修正 動作モードの切り替え: plan(計画)・interactive(対話)・autopilot(自動)の各モードを切り替え 権限管理: リクエストの承認や拒否を遠隔から実施 ask_userツールへの応答: CLIが確認を求めた際にリモートから応答 セッションは「プライベートで開始したユーザーのみが閲覧可能」となっており、CLIとGitHubインターフェース間のアクティビティは一貫して同期される。長時間のタスクには/keep-aliveの利用が推奨されている。 モバイル対応と管理者設定 モバイルからのアクセスは、AndroidではGoogle Playのベータ版、iOSではTestFlightを通じて提供される。Copilot BusinessおよびEnterpriseプランのユーザーがこの機能を利用するには、管理者がリモートコントロールポリシーを事前に有効化する必要がある点に注意が必要だ。 リモートCLIセッション機能により、開発者はデスクトップから離れた状態でも長時間のCopilotタスクを監視・制御できるようになり、より柔軟な開発ワークフローの実現が期待される。

April 17, 2026

GitHubシークレットスキャン強化:CloudflareがパートナーとなりPush Protection対象パターンを大幅拡充

概要 GitHubは2026年4月14日、シークレットスキャン機能の大規模なアップデートを発表した。最大のトピックはCloudflareとの新たなパートナーシップで、cloudflare_account_api_token・cloudflare_global_user_api_key・cloudflare_user_api_tokenの3種類のシークレットタイプが検出対象に加わった。これらはパブリック・プライベートリポジトリの両方でPush Protectionがデフォルト有効となっており、誤ってコミットされるのをプッシュ時点でブロックする。 Push Protectionの対象パターンも大幅に拡充された。新たにデフォルトでコミットをブロックするパターンとして、FigmaやGoogle Cloud Platform(GCP)、Langchain、OpenVSX、PostHogなど9種のシークレットが追加された。これらはOrganizationの管理者が設定でカスタマイズすることも引き続き可能だ。 EMUフォーク継承とAPIの改善 エンタープライズ向けの重要な機能改善として、EMU(Enterprise Managed Users)環境のフォークにおけるPush Protection継承が強化された。これまではフォーク先のリポジトリでシークレット保護が引き継がれないケースがあったが、今回の更新により「ユーザー所有のフォークは、最も近いライセンス済み祖先リポジトリからPush Protectionを継承する」仕組みとなり、フォークを経由した保護のすり抜けが防止される。 APIレベルでも複数の改善が加えられた。カスタムパターンのアラートに対して、PATCH エンドポイントを通じて active・inactive などの有効性ステータスを手動で設定・リセットできるようになった。また、アラート取得APIのレスポンスに provider および provider_slug フィールドが追加され、providers や exclude_providers クエリパラメータを使ったプロバイダー単位のフィルタリングがエンタープライズ・Organization・リポジトリの各エンドポイントで利用できるようになった。 スキャン履歴と管理機能の強化 スキャン履歴APIにも新機能が追加された。AIを活用した汎用シークレットのバックフィルスキャンの結果が、新たな generic_secrets_backfill_scans 配列としてAPIレスポンスに含まれるようになり、どのスキャンが実行されたかを履歴として参照できる。さらに、エンタープライズオーナーおよびセキュリティ管理者が全Organizationにわたるシークレットスキャンの却下リクエストを一覧できる新エンドポイントも追加された。Organization・レビュアー・ステータスによるフィルタリングに対応しており、大規模環境での監査・管理業務を効率化する。シークレットスキャンキャンペーン機能にもチームおよびトピックによるフィルタリングが追加され、コードスキャンキャンペーンと同等の絞り込み機能が利用できるようになった。

April 17, 2026

MCP Dev Summit 2026レポート:ステートレス化、ゲートウェイパターン、エンタープライズ事例が明らかに

概要 Linux FoundationのAgentic AI Foundation(AAIF)が主催するMCP Dev Summit North America 2026が、4月2〜3日にニューヨークのMarriott Marquisで開催された。約1,200名の参加者を集めた本サミットは、MCPが実験的プロトコルからプロダクションレディな技術へと移行していることを示す節目となった。Amazon、Uber、Docker、Kong、Solo.ioなど主要エンタープライズ各社が登壇し、実運用での知見や今後の技術ロードマップが共有された。 2026年技術ロードマップ トランスポート層では、AnthropicのDavid Soria Parraが提案するSEP-1442を通じて、ステートフルなセッションからステートレスなリクエストへの大規模な設計変更が予定されている。これはスケーラビリティと相互運用性の向上を目的としている。 エンタープライズ各社のセッションで際立ったのは、中央ゲートウェイ+レジストリアーキテクチャへの収束だ。ゲートウェイはすべてのエージェントインタラクションのコントロールプレーンとして機能し、認証・認可・ガバナンスを一元管理する構成が共通パターンとして浮かび上がった。Uberは独自のMCP Gatewayを構築しており、社内のThrift、Protobuf、HTTPエンドポイントを自動公開しながら、PII(個人情報)の除去や内部識別子のスクラブも同時に実施している。同社のGo製GenAIゲートウェイは週に数万件のエージェント実行を処理している。 新プリミティブとエコシステムの拡張 2026年1月26日にリリースされたMCP Appsは、サーバーがサンドボックス化されたiframe内でインタラクティブなUIを提供できる仕組みで、双方向のJSON-RPCによる通信を実現する。Claude、ChatGPT、VS Code、Postmanがすでに採用しており、急速に普及しつつある。 実験的な**Tasks Primitive(SEP-1686)**は、サーバーがバックグラウンド処理に対して即座にハンドルを返し、リトライセマンティクスを持つ非同期ワークフローを可能にする。また、コミュニティ主導のワーキンググループがWebhook形式のMCPプッシュ通知(Triggers and Events)の策定を進めており、プロアクティブなデータ更新が可能になる見込みだ。 コンテキストウィンドウの効率化という観点では、Claude Codeがプログレッシブなツール探索を実装し、コンテキスト割り当ての10%を超えるツールを遅延ロードすることでトークン使用量を約85%削減したことが報告された。 組織的な成長と今後の展望 AAIFは2025年12月に設立され、すでに100社以上のメンバーを擁する。MCP本体のほか、BlockのGooseやOpenAIのAGENTS.mdなどの主要プロジェクトをホストしている。また、4月2日にはx402 Foundationが新たに立ち上げられた。 サミット全体を通じて、MCPが単なる実験的APIから、エンタープライズが実際にビジネスクリティカルな処理に使う基盤プロトコルへと成熟してきた様子が鮮明に示された。今後は標準化の加速と、より広範なオブザーバビリティ・セキュリティ機能の整備が優先課題となる。

April 17, 2026

OpenAI、生命科学特化AIモデル「GPT-Rosalind」を発表——創薬・ゲノミクス研究を加速

概要 OpenAIは2026年4月16日、生命科学研究に特化したAIモデル「GPT-Rosalind」を発表した。モデル名はDNAの二重らせん構造の解明に貢献した20世紀の英国人化学者ロザリンド・フランクリンにちなんで命名されている。GPT-Rosalindは生化学・ゲノミクス・タンパク質工学・創薬・トランスレーショナルメディシンといった分野に最適化されており、OpenAIにとって初めての生命科学専用モデルとなる。現在は米国の認定エンタープライズ顧客向けに研究プレビューとして提供が開始されており、Amgen・Moderna・Allen Institute・Thermo Fisher Scientificなどの大手製薬・バイオテク企業や研究機関が初期ユーザーとして参加している。 主な機能と研究支援能力 GPT-Rosalindは、科学者が従来数年単位の専門的な知識の統合を要していた作業を支援することを目的としている。具体的には、文献エビデンスの統合(Evidence Synthesis)、生物学的仮説の生成、実験計画の立案、マルチステップの研究タスクを実行できる。さらに科学データベースへのクエリ、最新の学術論文の参照、新規実験の提案といった機能も備えており、研究の初期フェーズを大幅に加速することが期待されている。 モデルへのアクセスはChatGPT・Codex・APIを通じて提供され、Codex向けには50以上の科学ツールおよびデータソースと連携する「Life Sciences研究プラグイン」がGitHub上で無償公開されている。このプラグインにより、研究者は既存のツール群をそのまま活用しながらGPT-Rosalindの能力を組み合わせることができる。 ベンチマーク性能 GPT-Rosalindは文献取得やプロトコル設計などの研究タスクを評価するベンチマーク「LABBench2」において、GPT-5.4を11タスク中6タスクで上回る性能を示した。Dyno Therapeuticsとの共同評価では、予測タスクにおいて10回の提出のうち最良の結果が人間の専門家の95パーセンタイルを上回り、配列生成タスクでも84パーセンタイルに達した。 エコシステムとセキュリティ OpenAIはGPT-Rosalindを広範なオープンソースリリースではなく「Trusted Access」プログラムの形で限定展開し、エンタープライズグレードのセキュリティコントロールとアクセス管理を提供している。これにより、厳しい規制環境下に置かれる製薬企業や研究機関が求めるデータガバナンス要件を満たすとしている。GPT-Rosalindはモデル単体の提供にとどまらず、科学者が日常的に使用するツールとシームレスに統合できるエコシステムの構築を目指しており、Google DeepMindなどが推進する生命科学AI分野での競争が一層激化している。

April 17, 2026

「危険すぎて一般公開不可」AnthropicのClaude MythosがProject Glasswingで米政府と英国銀行に展開

Claude Mythos Previewとは Anthropicは「Claude Mythos Preview」と名付けた新世代の汎用フロンティアモデルを開発した。このモデルはサイバーセキュリティ分野で突出した能力を持ち、主要なオペレーティングシステムやWebブラウザを横断して数千件ものゼロデイ脆弱性(未知のセキュリティ欠陥)を特定済みだという。英国のAIセキュリティ研究所によるテストでは、単一サイバータスクでは同世代のモデルと同等の性能を持ちながら、複数ステップをチェーンして完全な侵入シナリオへと組み立てる能力では他モデルを上回り、サイバーレンジ演習を端から端まで完走した初のモデルと評価されている。Anthropicはこの強力な能力を理由に、Mythosを一般向けには公開しないと判断している。 米政府への事前ブリーフィング Anthropicの共同創業者Jack Clarkは4月中旬に開かれたSemafor World Economy Summitで、同社がMythosのリリース前にトランプ政権高官に対してモデルの全能力——攻撃・防御双方のサイバー用途を含む——をブリーフィングしたことを認めた。報道によれば、JDバンス副大統領とスコット・ベッセント財務長官は主要テック企業のCEOと面会し、AI安全保障とサイバー攻撃への対応策を議論した。さらに別途、ベッセント財務長官とジェローム・パウエルFRB議長がJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーといった大手銀行のCEOを緊急招集し、Mythosのサイバーセキュリティリスクへの対応とモデルのテストを促したと伝えられている。 一方で、AnthropicはClaudeを連邦政府調達から排除しようとするトランプ政権を訴訟中でもあり、Clark氏はこの複雑な関係について「政府と訴訟を戦いながら、同時にブリーフィングを続けた理由」を説明したという。政府のCISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)の予算削減が進む中、Mythosが提起するリスクへの対応能力が損なわれるとの懸念も広がっている。 Project Glasswingによる英国金融機関への展開 Anthropicはモデルの危険性を考慮して設けた管理下でのアクセスプログラム「Project Glasswing」を通じ、約40〜50の選定された機関にMythos Previewへの限定的なアクセスを提供している。4月16日にはAnthropicが英国の金融機関への提供を今後1週間以内に開始すると発表した。 英国では、イングランド銀行の「Cross Market Operational Resilience Group」が今後2週間以内に予定されている次回会合の議題にMythosを加え、主要銀行・保険会社・取引所の幹部に対してサイバーセキュリティ上の意味合いをブリーフィングする予定だ。英金融行動監視機構(FCA)、英財務省(HM Treasury)、国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)も協調して対応にあたる。英国のAIセキュリティ研究所はすでにモデルを評価済みであり、その結果がブリーフィングの基礎資料となる見込みだ。 強力なサイバー能力を巡る課題 Mythosの登場は、強力なAIが金融システムや重要インフラへの攻撃に悪用されるリスクを改めて浮き彫りにしている。米英両国の政府・規制当局が足並みをそろえて金融機関への周知を急ぐ姿は、AIの能力曲線に対する従来の安全管理の枠組みが追いついていないことを示している。Anthropicが一般公開を見送りながらも政府と金融機関を巻き込んだ管理下での展開を選んだProject Glasswingのアプローチは、今後の高リスクAIモデルのリリース戦略における一つのモデルケースとなる可能性がある。

April 17, 2026

Credo TechnologyがDustPhotonicsを最大13億ドルで買収、AI向け光インターコネクト事業を垂直統合

概要 Credo Technology Group(NASDAQ: CRDO)は2026年4月13日、イスラエルのシリコンフォトニクス新興企業DustPhotonicsを買収することに合意したと発表した。取引総額は最大約13億ドルに上り、内訳はクロージング時に現金7億5,000万ドルと約1億2,300万ドル相当の自社株式、さらに財務目標の達成に応じた最大約3.21百万株の追加株式(条件付き対価)となっている。取引はカレンダー2026年第2四半期中のクロージングを見込んでおり、規制当局の承認など所定の条件が付く。買収発表を受けてCredoの株価は約13%上昇した。 DustPhotonicsの技術と事業 DustPhotonicsは2017年に設立された約70名のエンジニアを擁するファブレス半導体企業で、光トランシーバー向けのシリコンフォトニクス・フォトニック集積回路(SiPho PIC)技術を専門とする。同社の製品ポートフォリオは400G・800G・1.6T対応のSiPho PICで構成され、3.2Tへのロードマップも持つ。SiPho PICは光学機能を1チップに集積することで部品点数の削減・製造歩留まりの向上・コスト低減を実現し、ポート速度が800Gを超える領域でその優位性が際立つ。同社製品はすでに主要ハイパースケーラーのAIクラスターに採用されており、ニアポート・コパッケージドオプティクス向けの開発も進めている。資金調達面ではIntel Capital、Greenfield Partners、Sienna Venture Capitalなどから累計1億ドル以上のベンチャー投資を受けている。 戦略的意義と今後の展望 Credoは今回の買収を通じ、SerDes(シリアライザー/デシリアライザー)・デジタルシグナルプロセッシング(DSP)・シリコンフォトニクス・システムインテグレーションにわたる垂直統合型の接続スタックを確立する。これにより、スケールアウト・スケールアップネットワーク双方において電気的・光学的インターコネクトを包括的にカバーできる体制となり、AIインフラ全体の需要に対応する。同社のWilliam Brennan会長兼CEOは「この買収はAI接続領域全体でリーダーシップを発揮するCredoの戦略における決定的な一歩だ」と述べた。財務面では、DustPhotonicsの合流により、ZeroFlap光トランシーバー・光学DSP・シリコンフォトニクス製品を合わせた光学部門の売上が会計年度2027年に5億ドルを超えると見込んでおり、非GAAPベースのEPSについても同年に買収による増加効果が生じると予想している。

April 17, 2026

Google Chrome安定版に31件の脆弱性、Critical 5件を含む—任意コード実行の危険性で即時更新を推奨

概要 Googleは2026年4月15日、Chrome安定版チャンネルをWindows・macOS向けに147.0.7727.101/102、Linux向けに147.0.7727.101へアップデートし、合計31件のセキュリティ脆弱性を修正した。このうち5件は最高深刻度の「Critical」に分類されており、悪用に成功した攻撃者がターゲットシステム上で任意のコードを実行できる危険性があるとして、Googleはすべてのユーザーに即時更新を強く推奨している。 Critical脆弱性の詳細 今回修正されたCritical評価の脆弱性は、Chromeが内部的に依存する複数のグラフィックス・システムコンポーネントに集中している。 CVE-2026-6296:ANGLEグラフィックスエンジンにおけるヒープバッファオーバーフロー。ANGLEはWebGLなどブラウザのグラフィックス処理を担う重要レイヤーであり、細工されたコンテンツを表示するだけで攻撃が成立する恐れがある。 CVE-2026-6298:Skia 2Dグラフィックスライブラリにおけるヒープバッファオーバーフロー。Skiaは文字や画像のレンダリングに広く使われており、影響範囲が広い。 CVE-2026-6297:Proxyコンポーネントにおけるuse-after-free脆弱性。研究者「heapracer」が2026年3月17日に報告したもので、解放済みメモリへの不正アクセスを通じてコード実行が可能となる。 CVE-2026-6299:Prerender機能におけるuse-after-free脆弱性。Google社内のエンジニアが発見した。 CVE-2026-6358:XR(拡張現実)コンポーネントにおけるuse-after-free脆弱性。ソウル国立大学Compsec LabのJihyeon Jeong氏が発見・報告した。 これらの脆弱性を悪用すると、管理者権限なしに悪意あるプログラムの実行、機密データの窃取、システムの完全制御といった深刻な被害が生じる可能性がある。 対策と更新方法 ユーザーはChromeのメニューから「ヘルプ」→「Google Chromeについて」を開くことで最新バージョンの確認と自動更新を実施できる。更新後はブラウザの再起動が必要となる。企業環境では管理者がグループポリシーまたはChromeエンタープライズ管理ツールを通じて展開を管理することが推奨される。現時点でアクティブな悪用は報告されていないが、Criticalレベルの脆弱性は攻撃者の標的になりやすいため、迅速な適用が重要だ。

April 17, 2026

Jane Streetが総額70億ドルでCoreWeaveと大型契約——AIクラウド60億ドルに加え株式投資10億ドルも

概要 グローバルな定量取引企業Jane Streetは2026年4月15日、AIクラウドプロバイダーのCoreWeaveとの大型契約を発表した。内容はAIクラウドサービスの利用契約として約60億ドル、さらに1株109ドルのCoreWeave Class A普通株への10億ドルの株式投資を含む、合計約70億ドル規模のコミットメントだ。今回の株式取得によりJane StreetはCoreWeaveの上位5株主の一角に名を連ねることになる。 Jane StreetはCoreWeaveとの既存の関係を拡大する形で今回の契約に至った。同社はMeta(約350億ドル)、OpenAI(約120億ドル)、NVIDIA(約63億ドル)に続く大口顧客として位置づけられており、CoreWeaveにとって事業拡大を示す重要な案件となる。 契約の内容と技術的詳細 CoreWeaveが提供するのは、複数のデータセンター施設にわたる次世代コンピュートへのアクセスだ。特にNVIDIAの次世代アーキテクチャ「Vera Rubin」ベースのシステムへのアクセスが含まれており、展開は2026年第2四半期から開始される予定とされている。クラウドサービスにはAIソリューションの展開・スケールに向けた統合ソフトウェアおよびサービス、専用接続、カスタムストレージ構成、技術サポートも含まれる。 Jane Streetのコメントとして「CoreWeaveのAIクラウドプラットフォームへのアクセスにより、研究者たちは競争上要求されるペースで動ける」と述べられている。CoreWeaveの最高収益責任者(SVP of Revenue)であるMax Hjelm氏は「Jane Streetはフロンティアラボのように機能しており、深層学習の分野で絶えず新境地を開き、モデルの規模と複雑さを押し上げている」と評した。 背景と市場への影響 Jane Streetは2000年設立の定量取引企業で、機械学習をコアビジネス全体に適用することで知られる。2024年の純取引収益は約205億ドルに達し、大規模なデータ処理と複雑なモデルトレーニングに継続的に取り組んでいる。今回のAIクラウド投資は、同社が金融分野のフロンティアラボとしてAIインフラを強化する戦略的判断を示すものだ。 一方、CoreWeaveは2025年3月にNasdaqへ上場(IPO価格40ドル)して以来、契約規模を急拡大させており、金融・テクノロジー各社からAIコンピューティング需要が旺盛であることを改めて示している。今回の契約はMetaやAnthropicとの大型契約に続くもので、AIインフラ投資の加速と、特殊用途クラウドプロバイダーへの需要集中という業界トレンドを鮮明にしている。

April 17, 2026