VS Code Python拡張機能 2026年3月版:Rustベース並列インデクサーで平均10倍高速化、venvシンボル検索も追加

概要 MicrosoftはVS Code向けPython拡張機能の2026年3月版を4月1日にリリースした。今回のリリースでは、コード探索の効率を高める新機能と、実験的なパフォーマンス改善が主なハイライトとなっている。開発者の日常的なワークフローを加速する2つの大きな機能追加に加え、Python Environments拡張機能のいくつかの改善も含まれている。 インストール済みパッケージのシンボル検索 Pylanceがアクティブな仮想環境(venv)内のパッケージシンボルをワークスペース検索(Cmd/Ctrl+T)に含められるようになった。これにより、サードパーティライブラリの関数やクラスをVS Codeを離れることなく素早く探し出せるようになる。 この機能は設定「Python › Analysis: Include Venv In Workspace Symbols」で制御される。デフォルトではオフになっており、パフォーマンスへの影響を考慮してオプトイン方式を採用している。py.typedを持たないライブラリの場合、__init__.pyや__all__でエクスポートされたシンボルのみがインデックスされる。インデックスの深さはパッケージごとに「Python › Analysis: Package Index Depths」設定で細かく調整することも可能だ。 実験的機能:Rustベース並列インデクサー 今回のリリースで最も注目される機能が、実験的なRustベースの並列インデクサーだ。設定「Python › Analysis: Enable Parallel Indexing」を有効にすると、Pylanceのインデクサーがアウトプロセスで動作するRust実装に切り替わる。大規模なPythonプロジェクトでは平均10倍のパフォーマンス向上が期待でき、ワークスペースを開いた直後の補完応答速度やIntelliSenseの反応性が大幅に改善される。プロジェクト規模が大きいほど効果が顕著に現れるため、大型コードベースを扱う開発者には特に有効だ。現在は意図的に実験的ステータスとしてリリースされており、MicrosoftはPylanceのGitHubリポジトリを通じてユーザーフィードバックを募集している。 Python Environments拡張機能の改善 Python Environments拡張機能にもいくつかの改善が加えられた。ワークスペースのインタープリター選択がターミナルでアクティブ化された環境よりも優先されるようになり、より一貫した動作が期待できる。また、環境ファイルの変更通知に「今後表示しない」オプションが追加され、通知の煩わしさを低減できるようになった。さらに、Pixi環境が検出された場合にPixi拡張機能が推奨されるようになった。 これらの機能はVS Codeの拡張機能マーケットプレイス(Ctrl+Shift+X)から最新版に更新することで利用できる。

April 3, 2026

ソニーとTCLがBRAVIA TV事業の合弁会社「BRAVIA Inc.」を設立、TCL51%・ソニー49%で2027年4月に事業開始

概要 ソニー株式会社とTCLエレクトロニクスホールディングス(以下TCL)は2026年3月31日、家庭用エンターテインメント分野における戦略的パートナーシップに関する最終契約を締結したと発表した。これは2026年1月20日に発表した覚書(MOU)に基づき、両社が協議を進めてきたものであり、今回の合意によってソニーのテレビ・音響事業が大きな転換点を迎えることとなった。 新会社「BRAVIA Inc.」はTCLが51%、ソニーが49%を出資する合弁会社として設立され、TCLエレクトロニクスの連結子会社、ソニーの持分法適用会社となる予定だ。本社は東京都品川区大崎のソニーシティ大崎内に置かれる。2027年4月の事業開始を目指しており、代表取締役会長兼CEOにはKazuo KII氏が就任する予定。 承継される事業と財務規模 BRAVIA Inc.が承継するソニーの家庭用エンターテインメント事業は広範囲にわたる。具体的には、コンシューマー向けテレビ(BRAVIA)、B2Bフラットパネルディスプレイ(B2B BRAVIA)、B2B LEDディスプレイ、プロジェクター、そしてホームシアターシステムやオーディオコンポーネントなどのホームオーディオ機器が含まれ、製品開発・設計から製造、販売・物流、カスタマーサービスまでを一体的にグローバルで展開することが想定されている。 財務面では、新会社に移管される事業とマレーシアの製造子会社Sony EMCS (Malaysia) Sdn. Bhd.(SOEM)の企業価値の合計は約1,028億円(約52億香港ドル)とされている。TCLが支払う対価は純負債や運転資本等の調整後、TCLの持分比率に応じて約754億円(約38億香港ドル)と想定されており、最終金額は最終調整を経て確定する。なお上海の製造子会社Shanghai Suoguang Visual Products Co., Ltd.(SSVE)については、ソニー中国子会社が保有する株式全部または一部のTCLへの譲渡について引き続き協議中とされている。 今後の展望 新会社の製品は、世界的に認知されている「Sony」および「BRAVIA」のブランド名を引き続き使用する予定であり、ブランド価値の維持が図られる。ソニーのKenji Tanaka上席副社長(2026年4月1日付で代表取締役社長兼CEOに就任予定)は「TCLというすぐれたパートナーを得て、グローバルな顧客に新たな価値を提供し、家庭用エンターテインメント分野でのさらなる成長を目指す」とコメント。TCLのJuan DU会長は「ブランド力、ディスプレイ技術、販売チャネル、サプライチェーンなど双方の強みを活かし、新会社のグローバル展開とプレミアム化を推進する」と述べた。 本取引の完了は関連する規制当局の承認取得などを条件としており、新会社は2027年4月の事業開始を目指している。ソニーが長年にわたって展開してきたBRAVIAブランドのテレビ事業がTCLとの合弁体制に移行することで、両社の強みを組み合わせた新たな競争力が生まれるかが注目される。

April 3, 2026

Anthropic、バイオ研究特化AIスタートアップCoefficient Bioを4億ドル超の株式取引で買収

概要 Anthropicは2026年4月3日、生物学研究向けAIモデルを開発するステルススタートアップ「Coefficient Bio」を4億ドル超の株式取引で買収したと報じられた。設立からわずか約8ヶ月という異例の短期間での売却であり、Anthropicがヘルスケアおよびライフサイエンス分野における戦略的投資を加速させていることを示す動きとして注目される。Coefficient Bioのチームは、Eric Kauderer-Abramsが率いるAnthropicの医療・ライフサイエンスグループに合流し、バイオテックワークフロー向けAIツールの開発を推進する予定だ。 Coefficient Bioとその使命 Coefficient Bioは「科学のための人工超知能(ASI)」の実現を掲げ、バイオファーマ(製薬・バイオテクノロジー)業界のワークフロー刷新を目指していたスタートアップだ。共同創業者のSamuel Stantonは買収前に「私たちはバイオファーマをインテリジェンス時代へと導いている。業界の学び方と意思決定のすべてを変えるだろう」と語っており、創薬プロセスや医薬品開発における意思決定をAIで根本から変革するビジョンを持っていた。Aris Theologisも同社の主要人物として名前が挙がっている。 VC「Dimension」の驚異的なリターン 今回の買収において特筆すべきは、Coefficient Bioの株式の50%を保有していたVC企業「Dimension」のリターンだ。Dimensionは投資家向けレターで**38,513%のIRR(内部収益率)**という驚異的な数字を報告している。Dimensionは2022年にLux CapitalのパートナーたちがObvious Venturesのパートナーと共同設立したVCファームで、今回の短期間・高リターン案件はAIバイオテック分野の投資機会の大きさを改めて示す事例となった。Dimensionも今回の件についてコメントを拒否している。 AnthropicのサイエンスフォワードなM&A戦略 同日、OpenAIがトークショー制作会社のメディア買収を発表したこととは対照的に、AnthropicはバイオサイエンスへのAI応用という科学的文脈でのM&Aを選択しており、両社のアプローチの違いが浮き彫りになった。AnthropicはこれまでにもJavaScriptランタイムの「Bun」や「Vercept」など、技術的な買収を実施してきた。今回のCoefficient Bio買収は、Claudeを科学的ワークフローや創薬加速に活用するというAnthropicの野心を具現化するものであり、医療・ライフサイエンス分野における同社のプレゼンス強化につながると見られる。

April 3, 2026

Chrome WebGPU実装「Dawn」のuse-after-freeゼロデイCVE-2026-5281、野外悪用を確認しGoogleが緊急パッチ

概要 Googleは2026年4月1日、Google ChromeのWebGPU標準実装ライブラリ「Dawn」におけるuse-after-free(UAF)バグ(CVE-2026-5281、深刻度:高)を修正する緊急セキュリティアップデートをリリースした。Googleは「CVE-2026-5281に対するエクスプロイトが野外で実在することを確認している」と公式声明を出しており、実際の攻撃への悪用が把握されている。同日、米国土安全保障省サイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)は本脆弱性を既知悪用脆弱性(KEV)カタログに追加し、連邦政府機関に対して2026年4月15日までの修正適用を義務付けた。 技術的な詳細 CVE-2026-5281はChromeのDawnコンポーネントに存在するuse-after-freeバグで、レンダラープロセスをすでに侵害した状態のリモート攻撃者が、細工したHTMLページを通じて任意のコードを実行できる可能性がある。Dawnはブラウザのグラフィックス処理に使われるWebGPU標準のクロスプラットフォーム実装であり、最新のGPUアクセラレーションAPIとして広く利用されている。 修正済みバージョンはWindows・macOS向けが146.0.7680.177および146.0.7680.178、Linux向けが146.0.7680.177。ChromiumベースのブラウザであるMicrosoft Edge、Brave、Opera、Vivaldも同様の影響を受けるため、各ベンダーのアップデートも追って提供される見込みだ。Googleは多数のユーザーへのアップデート適用が完了するまで、技術的詳細と攻撃手法の具体的情報を非公開とする方針を取っている。 2026年のChromeゼロデイ連続攻撃という背景 今回のCVE-2026-5281は、2026年に入ってから4件目のアクティブ悪用Chromeゼロデイとなる。2月にはCSSコンポーネントのuse-after-free(CVE-2026-2441)、3月にはSkia 2DグラフィックスライブラリのCVSS 8.8の欠陥(CVE-2026-3909)およびV8 JavaScriptエンジンの同スコア欠陥(CVE-2026-3910)と、高危険度の脆弱性が連続して実際の攻撃に悪用されている。ブラウザを標的とした脅威アクターによる継続的な攻撃活動が際立っており、迅速なパッチ適用の重要性が改めて浮き彫りになっている。 推奨対応 ユーザーはChromeをバージョン146.0.7680.177以上(Linuxの場合)または146.0.7680.178以上(Windows・macOSの場合)に速やかにアップデートすることが強く推奨される。Chromeはメニュー→「ヘルプ」→「Google Chromeについて」から更新を確認・適用できる。連邦政府機関はCISAの指令に基づき、2026年4月15日が修正期限となっている。

April 3, 2026

CVSS 10.0のNext.js脆弱性CVE-2025-55182が大規模悪用、766ホストで認証情報が大量窃取される

概要 Cisco Talosの調査により、脅威クラスター「UAT-10608」がCVSS 10.0(最大値)の評価を受けるNext.js脆弱性CVE-2025-55182を悪用した大規模な認証情報窃取キャンペーンを展開していることが明らかになった。攻撃者は少なくとも766ホストへの侵入に成功しており、クラウド環境・Kubernetes・Dockerなど幅広いインフラを標的としている。CVE-2025-55182はNext.jsのReact Server ComponentsおよびApp Routerに存在するリモートコード実行(RCE)の脆弱性で、公開されたNext.jsデプロイメントに対して初期侵入の糸口として悪用された。 攻撃手法:「NEXUS Listener」フレームワーク 侵入後、攻撃者は「NEXUS Listener」(現在バージョン3)と呼ばれる独自のデータ収集フレームワークを展開し、被害ホストから体系的に情報を抜き取る。窃取対象はSSH秘密鍵・シェルコマンド履歴・Kubernetes サービスアカウントトークン・Dockerコンテナ情報(イメージ・ポート・設定・マウントポイント)のほか、AWS・Google Cloud・AzureのAPIキーやIAMロール認証情報、さらにTelegramボットトークン・Webhookシークレット・データベース接続文字列・GitHub/GitLabトークンまで多岐にわたる。 研究者が認証なしでアクセス可能なNEXUS Listenerインスタンスを調査したところ、Stripe・OpenAI・Anthropic・NVIDIA・SendGridなどの著名サービスに紐づく認証情報が格納されていることも確認されている。攻撃者はShodan・Censysあるいはカスタムスキャナーでインターネット上の脆弱なNext.jsインスタンスを自動検出し、このフレームワークで被害者インフラの詳細マップを構築して、さらなる攻撃への足がかりとしていると見られる。 推奨される対策 Cisco Talosは以下の緩和策を推奨している。インフラへの最小権限の原則を徹底し、リポジトリ全体でシークレットスキャンを有効化すること、SSHキーペアの使い回しを避けること、AWS EC2ではIMDSv2を強制適用すること、そして侵害が疑われる場合は速やかに認証情報をローテーションすることが求められる。Next.jsを本番環境で運用している組織は、脆弱性のあるバージョンを使用していないか早急に確認し、パッチ適用済みバージョンへの移行を優先すべきだ。

April 3, 2026

Google、オープンモデル「Gemma 4」を Apache 2.0 ライセンスで公開——31B Dense から超軽量 E2B まで4バリアント展開

概要 GoogleはGemini 3をベースに構築したオープンモデルファミリー「Gemma 4」を発表した。今回のリリースは「Gemmaverse」として知られるエコシステム初の Apache 2.0 ライセンス採用となり、開発者に完全な自由と法的明確性を提供する点が大きな特徴だ。Gemmaファミリーはこれまでに累計 4億回以上ダウンロードされ、コミュニティによる派生モデルは 10万種以上に達している。今回の Gemma 4 はその勢いをさらに加速させる位置づけとなる。 モデルラインナップと性能 Gemma 4 は用途に応じた4つのバリアントで構成される。 モデル 規模 特徴 31B Dense 310億パラメータ オープンモデルの業界標準ランキング (Arena AI) で 世界3位 26B MoE 260億パラメータ (Mixture of Experts) 同ランキング 世界6位 E4B 実効4B (Effective 4B) エッジデバイス向け最適化 E2B 実効2B (Effective 2B) 超軽量・スマートフォン想定 Googleは「自身の20倍のサイズのモデルを凌駕する」と主張しており、特に小型モデルにおいて効率性と性能のバランスに注力したことがうかがえる。 技術的な詳細 Gemma 4 はテキスト・画像・音声・動画を扱うマルチモーダル処理に対応しており、OCRや図表の理解も可能だ。エッジ向けの E4B・E2B には音声入力による音声認識機能もネイティブで組み込まれている。 コンテキストウィンドウはエッジモデルが 128K、大規模モデルが 256K と広大で、長文ドキュメントを一度に処理できる。対応言語は 140言語以上にのぼり、多言語環境での活用を想定している。また、ネイティブの関数呼び出し (function calling)・構造化 JSON 出力・システム命令サポートにより、自律エージェント構築のための基盤としても機能する。 ハードウェア面では Qualcomm および MediaTek と協力し、スマートフォン・Raspberry Pi・Jetson Nano などのエッジデバイスで「ほぼゼロのレイテンシ」での動作を実現したという。 展開方法と実際のユースケース モデルの重みは Hugging Face・Kaggle・Ollama 経由で取得できる。Apache 2.0 ライセンスにより、クラウドに依存しないローカル実行や商用利用を含む幅広い活用が可能となった。 ...

April 3, 2026

IntelがApolloからアイルランドFab 34の49%株式を142億ドルで買い戻し、製造拠点の完全支配を回復

概要 Intelは2026年4月1日、アイルランドのFab 34に関する合弁事業においてApolloが保有する49%の株式を142億ドルで買い戻す契約を締結したと発表した。この買い戻しはIntelの手元資金と約65億ドルの新規債務発行によって賄われる予定であり、完了後にIntelはFab 34の完全な支配権を回復する。この発表を受け、Intelの株価は8.8%急騰した。 Fab 34はIntelのアイルランド・キャンパスの中核をなす製造拠点であり、Intel 4およびIntel 3プロセス技術を採用して最先端の半導体を生産している。同施設ではCore UltraおよびXeon 6プロセッサーが製造されており、Intelの製造戦略において極めて重要な位置を占める。 取引の背景 2024年、Apolloが運用するファンドはFab 34の49%株式取得に112億ドルを投資した。この合弁構造はIntelにとってバランスシートを維持しながら製造加速に向けた資金的柔軟性を確保するためのものであり、エクイティに近い性格の資本調達手段として機能していた。Intel CFOのDavid Zinsnerは「2024年の合意は当時の状況において適切な構造であり、Intelに大きな柔軟性をもたらした」とコメントしている。Apollo側もパートナーのJamshid Ehsaniが「クライアント主導かつ長期的なパートナーシップを重視する我々の運営スタイルを体現した取引だ」と述べており、良好な関係のもとで完了した取引であることを強調した。 財務的な影響と今後の見通し 今回の株式買い戻しは、2027年以降の継続的な1株当たり利益(EPS)に対して増益効果をもたらすとともに、Intelの信用プロファイル強化にも寄与すると見込まれている。Intelは2026年および2027年に満期を迎える既存債務を予定通り償還する方針を維持しており、財務規律を保ちながら製造能力の拡大投資を継続する姿勢を示している。アイルランドのキャンパスに対する継続的な投資により、同国での製造基盤をさらに拡充させる計画だ。

April 3, 2026

MetaがAI内蔵の処方箋対応Ray-Banスマートグラス2モデルを発表、4月14日から499ドルで販売

概要 Metaは2026年3月31日、視力矯正が必要なユーザー向けに設計された初のAIスマートグラス2モデル——「Ray-Ban Meta Blayzer Optics (Gen 2)」と「Ray-Ban Meta Scriber Optics (Gen 2)」を発表した。価格は499ドル(税別)からで、同日よりプレオーダーを受け付け、4月14日に米国および一部の海外市場で販売を開始する。世界中で「数十億人」が視力矯正を必要としているとされており、MetaはこれまでのRay-Ban Metaシリーズが取り込めていなかった大規模な市場への本格参入を図る。 Blayzer Opticsは長方形フレームでStandardとLargeの2サイズを展開し、Scriber Opticsは丸みを帯びたデザインを採用。どちらも「ほぼすべての処方箋」に対応しており、Metaは「これまでで最も快適なスマートグラス」と位置付けている。 技術的な詳細 処方箋対応にあたり、長時間の装着を想定した設計が施されている。オーバーエクステンションヒンジにより側頭部への圧力を軽減し、交換可能なノーズパッドや眼科医による調整が可能なテンプルチップを備え、個々の顔の形状に合わせたフィット感を実現する。 スマート機能は従来世代から継承・強化されており、12MPカメラによる写真・動画撮影、内蔵スピーカーによる通話・音楽再生、Meta AIとのハンズフリー音声連携に加え、新たにWi-Fi 6 UNII-4バンドに対応した。ソフトウェア面でも新機能が追加されており、音声またはカメラで食事を記録して栄養情報をAIが提供する栄養追跡機能、端末内処理とエンドツーエンド暗号化を組み合わせたWhatsAppメッセージ音声確認機能、iMessageなどに対応するNeural Handwriting機能なども搭載される。歩行者向けナビゲーション機能は2026年5月に全国展開予定だ。 販売戦略と今後の展望 販売チャンネルの拡充も今回の特徴の一つで、Meta.comやRay-Ban.comに加え、LensCrafters・Sunglass Hut・Salmoiraghi & Viganòなどの光学小売店でも購入できる。眼科・メガネ専門店を通じた販売経路を整備することで、処方箋ユーザーが眼科医の診察に合わせてスマートグラスを購入・調整できる体制を整える狙いがある。 今回の処方箋対応モデルの投入により、Metaはスマートグラスを一部のガジェット愛好家向け製品から、日常的に眼鏡を使用する一般消費者層へと普及させる重要な一歩を踏み出した。視力矯正が必要な数十億人規模の潜在市場を取り込むことができれば、Ray-Banとのパートナーシップを通じたウェアラブルAI事業の本格的な成長につながる可能性がある。

April 3, 2026

MetaがイタリアのスパイウェアベンダーAsigintに法的措置——偽WhatsApp iOSアプリで約200人が被害

概要 Metaは2026年4月初旬、偽のWhatsApp iOSアプリをインストールしてしまった約200人のユーザーに警告を送付した。被害者の大多数はイタリア在住で、イタリアのメディア(La RepubblicaおよびANSA)がその詳細を報じた。問題の偽アプリは、スパイウェアベンダーSIOのイタリア子会社であるAsigintが作成したとされており、Metaは同社に対して法的措置を開始している。 感染が判明した全ユーザーはWhatsAppアカウントから強制ログアウトされ、不正アプリのアンインストールと公式アプリの再インストールが推奨された。Metaは標的となったユーザーの詳細な属性については公表していない。 技術的な詳細 今回のiOSキャンペーンで使用されたスパイウェアのファミリー名は記事中では明示されていない。なお、AsigintはSIOのイタリア子会社であり、SIOは2025年12月にAndroid向け攻撃でSpyrtacusと呼ばれるスパイウェアファミリーを使用したことが別途確認されている。攻撃手法はソーシャルエンジニアリングを用いており、正規のWhatsAppアプリを精巧に模倣した偽アプリをインストールさせることで端末内の個人データを窃取する設計となっている。 Asigintは自社製品を「法執行機関・政府機関・警察・諜報機関向けの監視ソリューション」として販売しており、合法的な顧客向けのツールとして位置付けている。しかし今回の事件は、こうした商業スパイウェアが一般市民へも転用・悪用される可能性を改めて示すものとなった。 背景と業界動向 イタリアはスパイウェアベンダーが集中する欧州有数の「スパイウェアハブ」として知られており、Cy4Gate、eSurv、GR Sistemi、Negg、Raxir、RCS Labなど複数の監視ソフトウェア企業が国内に拠点を置く。商業監視ツール(いわゆるコマーシャル・スパイウェア)を巡っては、NSO GroupのPegasusをはじめとした過去の事例が国際的な批判を集めており、各国政府や大手テック企業による規制・法的対抗措置が相次いでいる。 Metaが今回Asigintに対して法的措置を取ったことは、プラットフォーム側がスパイウェアベンダーに対して積極的に責任を問う姿勢を鮮明にした動きとして注目される。今後の対応の展開次第では、商業スパイウェア産業全体に対する抑止力となる可能性がある。

April 3, 2026

NASAアルテミスII、1972年以来初の有人月周回ミッションが打ち上げ成功

概要 NASAは2026年4月1日午後6時35分(EDT)、フロリダ州ケネディ宇宙センターの第39B発射台からスペース・ローンチ・システム(SLS)ロケットとオリオン宇宙船を打ち上げた。搭乗するのはリード・ワイズマン船長(NASA)、ビクター・グローバー操縦士(NASA)、クリスティナ・コック・ミッション・スペシャリスト(NASA)、およびジェレミー・ハンセン・ミッション・スペシャリスト(カナダ宇宙庁)の4名で、約10日間の月周回ミッションに出発した。1972年のアポロ17号以来、実に54年ぶりとなる有人月軌道外飛行であり、人類の深宇宙探査における歴史的な再出発を飾るマイルストーンとなった。 歴史的な意義とクルー このミッションは複数の「初」を達成する歴史的な飛行だ。ビクター・グローバーは有色人種として初めて深宇宙を飛行する宇宙飛行士となり、クリスティナ・コックは女性として初めて月圏に向かう宇宙飛行士となった。またジェレミー・ハンセンはカナダ人として初の深宇宙飛行士となる。ミッション中、アポロ13号が記録した地球からの最遠到達距離である約40万1,000km(約24万8,655マイル)を超えることも見込まれており、人類の到達した最遠記録の更新が期待されている。 打ち上げの技術的詳細 SLSロケットは打ち上げ時に合計880万ポンド(約3,990トン)の推力を発生させた。2基の固体ロケットブースター(各高さ約177フィート・54メートル)はそれぞれ360万ポンド以上の推力を担い、全推力の75%超を供給した。打ち上げから約2分後に固体ロケットブースターが分離し、約8分後にコアステージのメインエンジンカットオフを完了。その後オリオン宇宙船のソーラーアレイウィング(SAW)4枚が展開され、各ウィングに1万5,000枚のソーラーセルを搭載した総翼幅約63フィート(約19メートル)のシステムが宇宙船に電力を供給する態勢が整った。なお宇宙船は「Integrity(誠実)」と命名されている。 打ち上げ当日の経過と今後の展望 当日は午後5時ごろに飛行終了システムの通信に不具合が発生したが、エンジニアが15分以内に解決し、天候も90%「発射可」の判定となった。発射ディレクターのチャーリー・ブラックウェル=トンプソン氏が実施した最終ゴー/ノーゴー確認では全チームが「ゴー」で一致した。今後、クルーは月へのフリーリターン軌道を飛行し、月面着陸を伴わずに月を周回して地球へ帰還する予定だ。アルテミス計画では将来的に月面着陸(アルテミスIII以降)を目指しており、今回のIIは月着陸船を含む本格的な月面探査に向けた重要な有人飛行実証となる。

April 3, 2026