CISA、Linuxカーネルの実悪用脆弱性3件をKEVカタログに追加 連邦機関に9月21日までのフォレンジック調査を義務付け

概要 米CISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)は9月18日、実際に悪用が確認されているLinuxカーネルの脆弱性3件を既知の悪用脆弱性(KEV)カタログに追加した。対象はCVE-2025-39682(CVSS 9.8)、CVE-2026-53266(CVSS 8.8)、CVE-2025-39964(CVSS 7.8)で、いずれもLinuxカーネルの広範な利用状況を踏まえると影響範囲は大きいとみられる。BOD 26-04に基づき、連邦民間行政機関(FCEB)は2026年9月21日までにパッチ適用だけでなく、侵害の痕跡を調べる「フォレンジックトリアージ」の実施も義務付けられており、単なる更新作業を超えた対応が求められている。 3件の脆弱性の技術的詳細 最も深刻なCVE-2025-39682は、カーネルTLS(kTLS)の受信パスにおける不適切な条件処理に起因する。ゼロ長のレコードがrx_listから取得される際にrecvmsg()のレコード型処理がバイパスされ、後続のTLSレコードが誤ったゼロコピー・キューイングの前提で処理されてしまう。kTLSが有効な状態でTCPソケットに接続しているインターネット公開サービスは特にリスクが高く、認証済みローカルユーザーによる機密メモリの露出やサービス妨害(DoS)につながる可能性がある。 CVE-2026-53266は、netfilterのブリッジ機能であるebtablesのSNATターゲットに存在する境界外書き込みの脆弱性だ。ARP送信元ハードウェアアドレスの書き換え処理中に、skb_store_bits()が書き込み先範囲の妥当性を確認せずに呼び出されることが原因で、ローカル攻撃者によるメモリ破損、DoS、権限昇格を招く恐れがある。CVE-2025-39964はAF_ALG暗号インターフェースのレース条件で、同一ソケットへの並行書き込みが予測不可能な形でインターリーブされることで、システムクラッシュや暗号処理結果の破損を引き起こす可能性がある。Red Hatは9月19日時点で、これらの脆弱性を悪用する公開エクスプロイトの存在を確認している。 対応と背景 CISAが求める対応は、ベンダー提供のカーネルアップデート適用、再起動、パッチ適用後の検証にとどまらない。BOD 26-04では侵害の証拠がないか影響を受けた資産を調査するフォレンジックトリアージも必須とされている。緊急の緩和策としては、未使用のkTLS機能の無効化や、af_algモジュールの読み込み防止といった対策が推奨されている。なお、野生における具体的な悪用手法や攻撃チェーン内での使われ方については、現時点で詳細は公表されていない。 これらの脆弱性の顕在化は、研究者Asim Manizada氏が別途公表した4件のLinux権限昇格脆弱性(DirtyAH6、TUNderflow、PPPoEject、DiagSpill)の開示とも時期が重なっており、Linuxカーネルのセキュリティに対する注目が高まっている局面といえる。連邦機関以外の組織についても、KEVカタログを確認し、自組織のインフラにおける該当脆弱性への対処が強く推奨される。

September 21, 2026

iPhone 18 Pro・Apple Watch・AirPods 5が世界で発売、ニューヨーク5番街店に幹部が出迎え

世界同時発売、旗艦店に幹部も Appleは9月18日(金)、iPhone 18 Pro・iPhone 18 Pro Max、Apple Watch Series 12、Apple Watch Ultra 4、AirPods 5の新ラインナップを世界のApple Storeで一斉に発売した。ニューヨーク5番街の旗艦店では、CEOのJohn Ternus氏、リテール担当上級副社長のDeirdre O’Brien氏、マーケティング担当上級副社長のGreg Joswiak氏ら幹部が来店客を出迎え、発売日の到着を祝った。店舗スタッフは製品のハンズオンデモンストレーションや個別の購入サポート、製品説明を一日を通じて提供したという。上海(静安)、ロンドン(コヴェントガーデン)、ムンバイ(BKC)、クアラルンプール(The Exchange TRX)の各店舗でも同様の発売日の様子が伝えられており、Appleは新ラインナップの世界同時展開を強調している。 新ラインナップの特徴 今回発売されたiPhone 18 Pro/Pro Maxには新型のA20 Proチップが搭載され、可変絞り機構を備えたカメラシステムなどハードウェア面での強化が図られているほか、Apple Intelligence関連機能も統合されている。Apple Watch Series 12・Ultra 4、AirPods 5もあわせて刷新され、Appleの主要製品群が足並みを揃えて新世代へ移行した形だ。 購入方法とサポート体制 顧客は店舗での購入に加え、apple.comやApple Storeアプリからのオンライン購入など複数の方法で新製品を入手できる。店舗のApple Specialistは、下取りプログラムのApple Trade In、Apple Cardによる分割払い、年間アップグレードプログラムのApple Upgrade、通信キャリアとの契約プラン、購入後のPersonal Setupサービスなど、幅広い購入・設定支援を提供するとしている。

September 21, 2026

OpenAI、評価額1.5兆ドルでの新規資金調達を検討、投資家提示の1.2兆ドルを上回る主張

概要 OpenAIが新たな資金調達ラウンドで、評価額1.2兆〜1.5兆ドルを目指していると複数メディアが報じた。前回ラウンドの評価額7300億ドルからほぼ倍増となる水準で、投資家側は1.2兆ドルを提示したのに対し、OpenAIはそれを上回る1.5兆ドルが妥当と主張しているとされる。今回の調達は、来年に予定するIPOを見据えた動きとの見方もある。 評価額引き上げの根拠 OpenAIが高い評価額を主張する背景には、コーディングツール「Codex」の顧客採用拡大と、新型モデル「GPT-6 Astra」「GPT-5.6 Sol」への引き合いの強さがあるという。同社の年換算売上高は直近で400億ドルを超え、これは前年末時点からほぼ倍増した水準だ。OpenAIは2015年の設立以来、これまでに1800億ドル超を調達しており、直近ラウンドでは評価額7300億ドルに対し過去最大級となる1220億ドルを調達した実績がある。サム・アルトマンCEOは、2027年より前の株式公開は時期尚早との考えを改めて示している。 競合との比較 同時期、ライバルのAnthropicも秋のIPOに向けて準備を進めており、評価額2兆ドルで1000億ドル超を調達する可能性があると伝えられている。Anthropicの年換算売上高は約650億ドルとされ、OpenAIの直近の伸びを上回る水準にある。両社の評価額競争は、生成AI市場全体の期待値の高さを映すと同時に、収益性や資金調達構造への注目も一段と高めている。 規制上の論点と今後の見通し OpenAIは2026年6月にIPOに向けた目論見書草案を米証券取引委員会(SEC)に非公開で提出しており、今後は証券法上の要件を慎重に見極めながら手続きを進める必要があるとみられる。評価額を巡る投資家との交渉の行方や、AstraやSolといった新モデルの市場での実績が、最終的な資金調達条件やIPO時期の判断に影響を与えそうだ。

September 21, 2026

セキュリティ研究者、Claude Opus 5でOpenAI従業員アカウントを72時間以内に侵害

概要 セキュリティ企業Hacktron AIの研究者3人(Harsh Jaiswal氏、Mohan Pedhapati氏、Rahul Maini氏)が、AnthropicのClaude Opus 5を使ってOpenAIのバグバウンティプログラムに参加し、複数の脆弱性を連鎖させることでOpenAI従業員のChatGPT/Codexアカウントを乗っ取り、内部のGitHubリポジトリへのアクセス経路を72時間以内に確立し、実際に無害な変更を加えたプルリクエストを作成して実証した。ホワイトハットとしての正規の報告であり実害は生じていないが、最新の生成AIが脆弱性の発見からエクスプロイト開発までのハードルを劇的に下げつつある実例として、セキュリティ業界で大きな注目を集めている。 脆弱性チェーンの詳細 侵入の起点はOpenAIのコミュニティフォーラムで使われているDiscourse上のHEIC/HEIF画像アップロード機能だった。画像処理を担うImageMagickが内部で呼び出すlibheifライブラリにヒープバッファオーバーフロー(CVSS 8.8)が存在し、特別に細工した画像ファイルをアップロードするだけでリモートコード実行(RCE)が可能だった。これによりフォーラムサーバーを侵害した研究チームは、続いてOpenAIのシングルサインオン(SSO)実装の欠陥を突き、フォーラムの認証情報から従業員のChatGPT/Codexアカウントを乗っ取ることに成功。理論上はGitHub、Slack、メールなど、乗っ取ったアカウントに接続された社内サービス全般へアクセスできる状態だったという。 AIモデルの進化がもたらした変化 このエクスプロイト開発における最大のポイントは、使用したAIモデルによって結果が大きく変わった点だ。研究チームは当初、旧モデルのClaude Opus 4.8でエクスプロイトの構築を試みたが失敗。ところが7月24日にリリースされたClaude Opus 5に切り替えたところ、わずか数時間で成功に至った。Hacktronの創業者Mohan Pedhapati氏は「AIはエクスプロイト開発に必要とされる希少な専門知識のハードルを下げており、かつて数ヶ月を要した作業が数日で完了するようになりつつある」と指摘する。Gray SwanのCEOも「月額200ドルのツールで誰もがOpenAI級の企業を攻撃できる時代になった」と警鐘を鳴らしている。 対応と今後の見通し 研究チームは7月25日にBugcrowd経由でOpenAIに脆弱性を報告し、OpenAIは報告から約14時間で対応、Discourse側も7月27〜28日にパッチを公開してサンドボックス対策を追加した。報奨金は6,500ドルだった。OpenAIは声明で、コミュニティ認証トークンの権限を制限し、影響を受けたトークンとセッションを失効させたと説明している。研究チームは「セキュリティ対策の前提を攻撃者の能力の進化に追いつかせる必要がある」と指摘する。一連の経緯は、企業に対して信頼できないファイル処理パイプラインの隔離、低レベル依存ライブラリへの迅速なパッチ適用、そしてAIエージェントの認証情報を特権アカウントと同等に厳格管理することの重要性を突きつけた。Claude Opus 5をめぐっては現時点で利用規制の議論が本格化しておらず、オープンウェイトモデルの能力向上とも相まって、国家規模の脅威アクターへの懸念も高まっている。

September 21, 2026

中国系ハッカー集団Red Heron、Gitea RCEを悪用し6カ国13組織に侵入 国防・エネルギー分野の機密情報を窃取

概要 中国系とされる脅威アクター「Red Heron」が、セルフホスト型GitサービスGiteaの重大な脆弱性CVE-2026-60004を悪用し、台湾・米国・カナダ・アルゼンチン・カタール・スリランカの6カ国13組織に侵入していたことが、Acronis Threat Research Unitの調査で明らかになった。標的には国防、航空宇宙、再生可能エネルギー、クオンツ取引、AI教育プラットフォームなど機密性の高い分野が含まれており、ソースコードや認証情報、内部システムの窃取が確認されている。同ユニットは「簡体字による標的分類ラベル」や台湾を中国の一部として扱う一貫した記述などを根拠に、中程度の確度でRed Heronを中国系の脅威アクターと帰属している。 攻撃の手口とタイムライン CVE-2026-60004は2026年7月に公開されたGiteaのリモートコード実行(RCE)を可能にする重大な脆弱性である。Red Heronは公開されたばかりの概念実証(PoC)コードを、わずか数日のうちに自動化されたPythonフレームワーク「exp_enhanced.py」へと改良し、7月29日から悪用を開始した。研究者のSubhajeet Singha氏は「このキャンペーンは、セルフホスト型の開発プラットフォームに存在するNデイ脆弱性が、いかに迅速にソースコード・認証情報・シークレットの露出につながり得るかを示している」と指摘する。なお、Acronisの分析では攻撃フレームワークにAIが関与した痕跡は見られず、あくまで公開PoCを人力で改良したものだと結論づけられている。 Red Heronはまず7カ国にまたがる1,386台のGiteaインスタンスをスキャンし、台湾拠点のシステム477台については別データセットとして管理するなど、周到な事前調査を行っていた。攻撃はソースコード窃取から認証情報収集、持続的アクセスの確立、そしてrootレベルでのクラスタへの侵入を伴う横展開へと段階的に進行した。実際、台湾のある被害環境では、脆弱なGiteaサーバーから3ノード構成のProxmoxクラスタ全体のroot権限奪取にまで至っている。さらに同一の攻撃インフラは、Gitea悪用に先立って10カ国18件のJoomlaベースのWebサイトを標的にした攻撃にも再利用されていたことが判明している。 被害組織と窃取データ 侵害を受けた13組織の内訳は、台湾4件(産業オートメーション・SCADA/HMI関連企業を含む)、米国4件(選挙関連システムや自治体プラットフォームなどを含む)、カナダ2件(再生可能エネルギー企業と教育プラットフォームを含む)、アルゼンチン1件(クオンツ取引)、カタール1件(AI・学習プラットフォーム)、スリランカ1件となっており、対象分野は国防、選挙、エネルギー、航空宇宙、通信、政府機関、公共安全、研究機関と多岐にわたる。台湾の産業企業からはSCADAツール、IoT連携システム、ネットワークスニファ、監視製品を含む数百件のリポジトリが窃取され、カタールの標的からは学習管理プラットフォームやAIチャットボット、WordPressプラグインが、カナダのエネルギー企業からは設定シークレットやSSHホスト鍵、内部アプリケーションが流出したとみられる。 マルウェアと持続的アクセスの手口 Red Heronは持続的アクセスの確立に、C++で書かれたLinux向けインプラント「JITTERLY」を使用した。シェル実行、ファイル転送、プロセス終了、ネットワークトンネリング、横展開など30種類以上のポストエクスプロイテーション用コマンドをサポートする高機能なツールである。さらに、これまで報告例のなかったLD_PRELOADベースのルートキット「SIXZUT」も確認された。SIXZUTは15個のLinux関数をパッチしてファイル・プロセス・ネットワーク接続を隠蔽するとともに、マルウェア自体の強制終了を防ぐ機能を備えており、検知や対応を著しく困難にする。 今後の見通しと対策 本キャンペーンは、OSSインフラを標的にした中国系とみられる攻撃者集団がNデイ脆弱性を数日単位で兵器化する速度を改めて示すものであり、自組織で開発基盤をホストする企業にとって深刻な警鐘となる。Acronisは、Giteaを最新バージョンへ直ちにパッチ適用すること、アカウント登録の異常やリポジトリアクセスパターンの監視、開発インフラへのアクセスを制限するネットワークセグメンテーションの実施、そしてLinuxのLD_PRELOAD悪用を検知するランタイムプロセス監視の導入を推奨している。国防・エネルギー・重要インフラに関連する組織は、自社の開発環境が同様の手口に晒されていないか早急に点検する必要がある。

September 21, 2026

Azure AI Foundryに未認証で権限昇格可能なCVSS10.0の脆弱性、Microsoftが既に修正済み

概要 Microsoftの企業向けAI開発プラットフォーム「Azure AI Foundry」(現Microsoft Foundry)に、CVSS基本値で最大深刻度となる10.0を記録する脆弱性CVE-2026-85889が発見された。根本原因は「重要な機能における認証の欠如」(CWE-306)で、有効な認証情報を持たない攻撃者がネットワーク経由でバックエンドの特定機能に到達し、悪用できる状態にあった。攻撃には特別な権限やユーザーの操作が不要で、複雑度も低いとされ、悪用に成功すれば権限昇格につながる恐れがあった。発見・報告したのはセキュリティ研究者のRémy Marot氏(@R_Marot)で、2026年9月17日に情報が公開された。 影響範囲と深刻さ Azure AI Foundryは、企業が生成AIアプリケーションやAIエージェントを構築・デプロイ・管理するためのプラットフォームであり、モデルのホスティングやトレーニングデータ、各種システムとの統合機能を提供している。今回の脆弱性が悪用された場合、こうした企業のAIモデルや学習データ、連携する周辺システムへの不正アクセスにつながりかねない性質のものだった。CVSS10.0という評価は、攻撃元がネットワークであること、攻撃条件の複雑さが低いこと、事前の権限やユーザー操作が不要であることなど、悪用のハードルの低さを反映している。 対応状況 Microsoftはこの脆弱性についてサーバー側(バックエンドインフラ)で修正を既に完了しており、Azure AI Foundryはクラウドベースのサービスであるため、顧客側での追加のパッチ適用や設定変更といった対応は不要としている。現時点で野生での悪用の証拠や、悪用を実証するPoC(概念実証)コードの存在は確認されていない。もっとも、CVSS10.0という評価が示す通り、認証不要で権限昇格が可能な脆弱性がクラウドAI基盤に存在していたこと自体は、企業が利用するマネージドAIサービスであっても深刻な設計・実装上の不備が起こり得ることを改めて示す事例といえる。今後同種のサービスを利用する企業は、ベンダー側の修正が完了した後も、自社の統合設定やアクセス権限の棚卸しを行うことが望ましいだろう。

September 20, 2026

Gyazoに不正アクセス、2362万件のユーザー情報と4.9億件の画像メタデータが流出

概要 京都のHelpfeel社が運営する画像・スクリーンショット共有サービス「Gyazo」で大規模な情報漏えいが発生した。攻撃者はGyazoの画像アップロードサーバーに存在した脆弱性を悪用してシステムへの不正アクセスに成功し、任意のコマンドを実行してデータベースにアクセス、約2362万件のユーザーレコードと約4.9億件の画像メタデータを窃取した。窃取されたユーザーレコードには、氏名・ニックネーム、メールアドレス、パスワードハッシュ、ユーザーIDおよびデバイスID、ログインセッションID、X(旧Twitter)連携トークン、Google SSOのメールアドレス、プロフィール情報、言語設定、登録・ログイン日時、サブスクリプションプランや請求ステータスなどが含まれる。クレジットカード情報は流出していないとされる。画像メタデータには、画像ID、アップロード元IPアドレス、User-Agent、EXIF位置情報、OCRで抽出されたテキスト、画像タイトル、ソースURL、非公開画像用のハッシュ化されたパスフレーズなどが含まれ、大半は2019年1月以前のデータだった。加えて、特定の抽出条件により約240万件分の画像メタデータも別途取得されたという。 発生の経緯と対応 不審なアクティビティは日本時間9月11日夜に検知され、Helpfeelは翌12日未明にアクセス経路を遮断し、同日中に脆弱性を修正した。9月14日にデータ流出の事実を確認、9月15日には個人情報保護委員会に報告し、9月16日に公式に事案を公表した。この間、Gyazoは一時的にメンテナンス状態となり、流出した画像へのアクセスも一時的に無効化された。Helpfeelは外部のフォレンジック調査会社と連携して調査を進めており、影響を受けたユーザーには個別にメールで通知するとしている。同社は「第三者がGyazoのデータベースおよびユーザー情報にアクセスし、メタデータが不正に開示された」と説明する一方、流出した2362万件のレコードには匿名アカウントが含まれるとし、「個人情報が不正開示された実際の対象者数については引き続き特定を進めている」と述べている。同社は全ユーザーに対してパスワードの変更と、不審な挙動の監視を呼びかけている。 影響とリスク 今回の漏えいで特に懸念されるのは、画像IDの流出がGyazoのセキュリティモデルそのものを揺るがす点だ。Gyazoは推測困難なURLによって非公開画像を保護する設計を採っているが、画像IDが流出したことで、2019年以前にアップロードされた古い画像については、IDを知る第三者が閲覧できてしまう状態にある。また、パスワードハッシュやX連携トークン、Google SSOのメールアドレスといった認証関連情報の流出は、同じ認証情報を使い回しているユーザーにとってアカウント乗っ取りのリスクを高める。Helpfeelは決済カード情報や他のHelpfeel関連サービス、削除済みデータへの影響は確認されていないとしているが、ユーザーには同一パスワードを使用している他サービスでも変更を行うよう推奨している。今回の事案は、画像共有サービスが扱うメタデータ(位置情報やOCRテキストなど)がユーザーの想定以上にプライバシーリスクを伴うことを改めて浮き彫りにした。

September 20, 2026

PlanetScale、PostgreSQLを自動シャーディングする新DB「Neki」をプレビュー公開、1億1800万QPSを達成

概要 PlanetScaleは、PostgreSQL向けにシャーディングを自動化する新しいデータベースサービス「Neki」のプレビュー版を公開した。YouTubeが開発した分散データベースミドルウェア「Vitess」に着想を得た設計で、PostgreSQLを大規模にスケールさせる際の複雑さを大幅に軽減することを狙っている。公開されたベンチマークでは、約1.4ペタバイト規模のデータを512シャードに分割した構成で、最大118,538,803クエリ/秒(QPS)という性能を記録したとしている。 アーキテクチャの特徴 Nekiの中核を担うのが「Nekiルーター」だ。Postgresのクエリパーサーを備え、受け取ったSQLを解析して分散クエリプランを作成し、複数シャードにまたがるクエリをバッファリングしたうえで各シャードからの結果を集約する役割を果たす。各シャードはPostgreSQL自体で構成され、プライマリ1台とレプリカ2台以上を異なるアベイラビリティゾーンに配置することで可用性を確保する。ベンチマークではこのシャード数を増やすにつれてほぼリニアにスループットが向上したとされ、水平スケーラビリティの高さを示す結果となった。 既存資産との互換性と導入のしやすさ Nekiは標準的なPostgresプロトコルで接続でき、既存のPostgreSQL用ドライバーやツールをそのまま利用できる点も特徴だ。これにより、アプリケーション側の大きな変更なしに移行できることを想定している。運用面では、最初は単一構成の通常のPostgreSQLとして始め、負荷が増大した段階でシャーディング構成へ段階的に移行できる設計になっており、小規模な利用から大規模運用まで同じサービス上で継続的にスケールさせられる点が、Vitessの思想を踏襲した狙いだと言える。 今後の展望 PostgreSQLは単一ノードでの運用を前提とした設計が根強く、大規模なシャーディングは従来アプリケーション側での実装や専用ミドルウェアの導入が必要とされてきた。Nekiはこの部分をマネージドサービスとして提供することで、MySQL向けのVitessが切り開いたような「透過的シャーディング」の恩恵をPostgreSQLエコシステムにもたらそうとする試みであり、プレビュー公開後の実運用での性能や信頼性の検証が今後の焦点になりそうだ。

September 20, 2026

SalesforceがNvidia基盤の企業向け推論モデル「Koa」発表、Anthropicとの新提携「Claudeforce」も始動

概要 Salesforceは年次イベント「Dreamforce」で、Nvidiaのオープンウェイトモデル「Nemotron 3 Super」をベースに独自の合成データで追加学習した企業向け推論モデル「Koa」を発表した。Salesforceが構築した評価指標「CRM Bench」では、主要なフロンティアモデルと同等以上の性能を、エラー率3分の1という水準で達成したとしている。同時にAnthropicとの新たなパートナーシップ「Claudeforce」も発表され、営業・マーケティング・カスタマーサポート領域でのAIエージェント活用を両輪で加速させる構えだ。 技術的な詳細 Koaの最大の特徴は、実際の顧客データを一切使わずに学習された点にある。SalesforceのAI担当EVPであるJayesh Govindarajan氏によれば、同社は「顧客対応担当者のペルソナを設定した顧客サービス環境をシミュレートした」といい、製造・金融・ヘルスケア・旅行など14以上の業界にまたがる合成シナリオを構築。各シナリオにはペルソナ、アクションの順序、必要なツール呼び出しが組み込まれている。学習には27年分にわたるSalesforce独自のCRM知見が反映されており、NvidiaのNeMo RL、NeMo Gym、NeMo AutoModelを用いた教師あり微調整と強化学習による事後学習を、Salesforceの「信頼の境界」内で実施した。Govindarajan氏は「推論についてはこれまでフロンティアモデルの提供元に頼ってきたが、それも今までの話だ」と述べ、自社インフラ内でモデルの重みを制御できる体制への転換を強調している。Nemotronを基盤に選んだ理由として、米国内で開発された透明性の高いオープンモデルであること、最先端の性能を持つこと、データの出所が明確であることの3点を挙げた。 パイロット展開とロードマップ Koaはすでに1-800Accountant、Baxter Credit Union、Engine、Formula 1、UChicago Medicine、Xeroなど複数企業でパイロット導入が進んでおり、リード獲得の見極め、営業機会の適格化、サービスケースの解決といった実務のCRM業務を主な対象としている。10月にはMissionforce向けのNemotronベースモデルが展開されるほか、パイロット規模の拡大も見込まれており、Agentforceでの一般提供は2026年下半期に米国から開始される予定だ。 Anthropicとの提携「Claudeforce」の位置付け NvidiaのCEOであるJensen Huang氏はDreamforceの基調講演で、AIがインフラストラクチャ層になれば「あらゆることを知り、あらゆることができるようになる」と述べ、安全性についても「エンジニアリング上の課題であり、革新と両立できる」と強調した。もっとも今回の発表でNvidia側がAnthropicとの関係に直接言及した形跡はなく、Claudeforceはあくまでもう一方のパートナーであるSalesforceが主導する枠組みと位置付けられる。TechCrunchが指摘するように、SalesforceはKoaのような特化型モデルをコスト・トークン効率・データ保護の観点で使い分けつつ、複雑なタスクではClaudeなどのフロンティアモデルへのルーティングも継続する方針とみられ、自社開発モデルとフロンティアモデル提供元との提携を並存させるハイブリッド戦略を志向していることがうかがえる。

September 20, 2026

SBIホールディングス、ライブドアを75億円で買収へ NTTデータも資本参加し金融データで協業

概要 SBIホールディングスが、ミンカブ・ジ・インフォノイド傘下のライブドアの全株式を75億円で取得し、完全子会社化する方針を固めたことが明らかになった。日本経済新聞の報道を受け、親会社のミンカブは「当社が発表したものではない」と前置きしつつも、ライブドアをSBIグループへ譲渡すること、NTTデータがミンカブへ出資すること、そして3社で協業計画を進めることについて「概ね報道のとおり」とコメントし、内容を事実上認めた形だ。 買収の背景と狙い SBIとミンカブは2026年5月、資本業務提携に向けた協議を開始すると発表しており、今回の買収はその延長線上にある動きとみられる。ライブドアは月間利用者数が約1億人、SNSの合計フォロワー数が3000万人以上に上る主要メディアサービスであり、SBIは自社の「ネオメディア事業」とライブドアが運営するニュースサイトなどを連携させることで、IP(知的財産)価値の最大化とマネタイズポイントの拡大を狙うとされる。あわせてNTTデータもミンカブへの出資を検討しており、SBI・ミンカブ・NTTデータの3社体制で金融データ分野における協業を進める構想が浮上している。 今後の見通し その後、SBIとミンカブは正式にライブドアの完全子会社化を発表し、株式譲渡契約を2026年11月中旬に締結したうえで、ミンカブの臨時株主総会の承認を経て12月下旬に譲渡を実行する計画であることが明らかになった。金融情報とメディア・ニュース配信の両輪を持つグループが誕生することで、金融データを軸にしたコンテンツ展開やIPのマネタイズが今後どのように具体化していくか注目される。

September 20, 2026