OpenAI、生命科学特化AIモデル「GPT-Rosalind」を発表——創薬・ゲノミクス研究を加速

概要 OpenAIは2026年4月16日、生命科学研究に特化したAIモデル「GPT-Rosalind」を発表した。モデル名はDNAの二重らせん構造の解明に貢献した20世紀の英国人化学者ロザリンド・フランクリンにちなんで命名されている。GPT-Rosalindは生化学・ゲノミクス・タンパク質工学・創薬・トランスレーショナルメディシンといった分野に最適化されており、OpenAIにとって初めての生命科学専用モデルとなる。現在は米国の認定エンタープライズ顧客向けに研究プレビューとして提供が開始されており、Amgen・Moderna・Allen Institute・Thermo Fisher Scientificなどの大手製薬・バイオテク企業や研究機関が初期ユーザーとして参加している。 主な機能と研究支援能力 GPT-Rosalindは、科学者が従来数年単位の専門的な知識の統合を要していた作業を支援することを目的としている。具体的には、文献エビデンスの統合(Evidence Synthesis)、生物学的仮説の生成、実験計画の立案、マルチステップの研究タスクを実行できる。さらに科学データベースへのクエリ、最新の学術論文の参照、新規実験の提案といった機能も備えており、研究の初期フェーズを大幅に加速することが期待されている。 モデルへのアクセスはChatGPT・Codex・APIを通じて提供され、Codex向けには50以上の科学ツールおよびデータソースと連携する「Life Sciences研究プラグイン」がGitHub上で無償公開されている。このプラグインにより、研究者は既存のツール群をそのまま活用しながらGPT-Rosalindの能力を組み合わせることができる。 ベンチマーク性能 GPT-Rosalindは文献取得やプロトコル設計などの研究タスクを評価するベンチマーク「LABBench2」において、GPT-5.4を11タスク中6タスクで上回る性能を示した。Dyno Therapeuticsとの共同評価では、予測タスクにおいて10回の提出のうち最良の結果が人間の専門家の95パーセンタイルを上回り、配列生成タスクでも84パーセンタイルに達した。 エコシステムとセキュリティ OpenAIはGPT-Rosalindを広範なオープンソースリリースではなく「Trusted Access」プログラムの形で限定展開し、エンタープライズグレードのセキュリティコントロールとアクセス管理を提供している。これにより、厳しい規制環境下に置かれる製薬企業や研究機関が求めるデータガバナンス要件を満たすとしている。GPT-Rosalindはモデル単体の提供にとどまらず、科学者が日常的に使用するツールとシームレスに統合できるエコシステムの構築を目指しており、Google DeepMindなどが推進する生命科学AI分野での競争が一層激化している。

April 17, 2026

「危険すぎて一般公開不可」AnthropicのClaude MythosがProject Glasswingで米政府と英国銀行に展開

Claude Mythos Previewとは Anthropicは「Claude Mythos Preview」と名付けた新世代の汎用フロンティアモデルを開発した。このモデルはサイバーセキュリティ分野で突出した能力を持ち、主要なオペレーティングシステムやWebブラウザを横断して数千件ものゼロデイ脆弱性(未知のセキュリティ欠陥)を特定済みだという。英国のAIセキュリティ研究所によるテストでは、単一サイバータスクでは同世代のモデルと同等の性能を持ちながら、複数ステップをチェーンして完全な侵入シナリオへと組み立てる能力では他モデルを上回り、サイバーレンジ演習を端から端まで完走した初のモデルと評価されている。Anthropicはこの強力な能力を理由に、Mythosを一般向けには公開しないと判断している。 米政府への事前ブリーフィング Anthropicの共同創業者Jack Clarkは4月中旬に開かれたSemafor World Economy Summitで、同社がMythosのリリース前にトランプ政権高官に対してモデルの全能力——攻撃・防御双方のサイバー用途を含む——をブリーフィングしたことを認めた。報道によれば、JDバンス副大統領とスコット・ベッセント財務長官は主要テック企業のCEOと面会し、AI安全保障とサイバー攻撃への対応策を議論した。さらに別途、ベッセント財務長官とジェローム・パウエルFRB議長がJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、モルガン・スタンレーといった大手銀行のCEOを緊急招集し、Mythosのサイバーセキュリティリスクへの対応とモデルのテストを促したと伝えられている。 一方で、AnthropicはClaudeを連邦政府調達から排除しようとするトランプ政権を訴訟中でもあり、Clark氏はこの複雑な関係について「政府と訴訟を戦いながら、同時にブリーフィングを続けた理由」を説明したという。政府のCISA(サイバーセキュリティ・インフラセキュリティ庁)の予算削減が進む中、Mythosが提起するリスクへの対応能力が損なわれるとの懸念も広がっている。 Project Glasswingによる英国金融機関への展開 Anthropicはモデルの危険性を考慮して設けた管理下でのアクセスプログラム「Project Glasswing」を通じ、約40〜50の選定された機関にMythos Previewへの限定的なアクセスを提供している。4月16日にはAnthropicが英国の金融機関への提供を今後1週間以内に開始すると発表した。 英国では、イングランド銀行の「Cross Market Operational Resilience Group」が今後2週間以内に予定されている次回会合の議題にMythosを加え、主要銀行・保険会社・取引所の幹部に対してサイバーセキュリティ上の意味合いをブリーフィングする予定だ。英金融行動監視機構(FCA)、英財務省(HM Treasury)、国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)も協調して対応にあたる。英国のAIセキュリティ研究所はすでにモデルを評価済みであり、その結果がブリーフィングの基礎資料となる見込みだ。 強力なサイバー能力を巡る課題 Mythosの登場は、強力なAIが金融システムや重要インフラへの攻撃に悪用されるリスクを改めて浮き彫りにしている。米英両国の政府・規制当局が足並みをそろえて金融機関への周知を急ぐ姿は、AIの能力曲線に対する従来の安全管理の枠組みが追いついていないことを示している。Anthropicが一般公開を見送りながらも政府と金融機関を巻き込んだ管理下での展開を選んだProject Glasswingのアプローチは、今後の高リスクAIモデルのリリース戦略における一つのモデルケースとなる可能性がある。

April 17, 2026

Credo TechnologyがDustPhotonicsを最大13億ドルで買収、AI向け光インターコネクト事業を垂直統合

概要 Credo Technology Group(NASDAQ: CRDO)は2026年4月13日、イスラエルのシリコンフォトニクス新興企業DustPhotonicsを買収することに合意したと発表した。取引総額は最大約13億ドルに上り、内訳はクロージング時に現金7億5,000万ドルと約1億2,300万ドル相当の自社株式、さらに財務目標の達成に応じた最大約3.21百万株の追加株式(条件付き対価)となっている。取引はカレンダー2026年第2四半期中のクロージングを見込んでおり、規制当局の承認など所定の条件が付く。買収発表を受けてCredoの株価は約13%上昇した。 DustPhotonicsの技術と事業 DustPhotonicsは2017年に設立された約70名のエンジニアを擁するファブレス半導体企業で、光トランシーバー向けのシリコンフォトニクス・フォトニック集積回路(SiPho PIC)技術を専門とする。同社の製品ポートフォリオは400G・800G・1.6T対応のSiPho PICで構成され、3.2Tへのロードマップも持つ。SiPho PICは光学機能を1チップに集積することで部品点数の削減・製造歩留まりの向上・コスト低減を実現し、ポート速度が800Gを超える領域でその優位性が際立つ。同社製品はすでに主要ハイパースケーラーのAIクラスターに採用されており、ニアポート・コパッケージドオプティクス向けの開発も進めている。資金調達面ではIntel Capital、Greenfield Partners、Sienna Venture Capitalなどから累計1億ドル以上のベンチャー投資を受けている。 戦略的意義と今後の展望 Credoは今回の買収を通じ、SerDes(シリアライザー/デシリアライザー)・デジタルシグナルプロセッシング(DSP)・シリコンフォトニクス・システムインテグレーションにわたる垂直統合型の接続スタックを確立する。これにより、スケールアウト・スケールアップネットワーク双方において電気的・光学的インターコネクトを包括的にカバーできる体制となり、AIインフラ全体の需要に対応する。同社のWilliam Brennan会長兼CEOは「この買収はAI接続領域全体でリーダーシップを発揮するCredoの戦略における決定的な一歩だ」と述べた。財務面では、DustPhotonicsの合流により、ZeroFlap光トランシーバー・光学DSP・シリコンフォトニクス製品を合わせた光学部門の売上が会計年度2027年に5億ドルを超えると見込んでおり、非GAAPベースのEPSについても同年に買収による増加効果が生じると予想している。

April 17, 2026

Google Chrome安定版に31件の脆弱性、Critical 5件を含む—任意コード実行の危険性で即時更新を推奨

概要 Googleは2026年4月15日、Chrome安定版チャンネルをWindows・macOS向けに147.0.7727.101/102、Linux向けに147.0.7727.101へアップデートし、合計31件のセキュリティ脆弱性を修正した。このうち5件は最高深刻度の「Critical」に分類されており、悪用に成功した攻撃者がターゲットシステム上で任意のコードを実行できる危険性があるとして、Googleはすべてのユーザーに即時更新を強く推奨している。 Critical脆弱性の詳細 今回修正されたCritical評価の脆弱性は、Chromeが内部的に依存する複数のグラフィックス・システムコンポーネントに集中している。 CVE-2026-6296:ANGLEグラフィックスエンジンにおけるヒープバッファオーバーフロー。ANGLEはWebGLなどブラウザのグラフィックス処理を担う重要レイヤーであり、細工されたコンテンツを表示するだけで攻撃が成立する恐れがある。 CVE-2026-6298:Skia 2Dグラフィックスライブラリにおけるヒープバッファオーバーフロー。Skiaは文字や画像のレンダリングに広く使われており、影響範囲が広い。 CVE-2026-6297:Proxyコンポーネントにおけるuse-after-free脆弱性。研究者「heapracer」が2026年3月17日に報告したもので、解放済みメモリへの不正アクセスを通じてコード実行が可能となる。 CVE-2026-6299:Prerender機能におけるuse-after-free脆弱性。Google社内のエンジニアが発見した。 CVE-2026-6358:XR(拡張現実)コンポーネントにおけるuse-after-free脆弱性。ソウル国立大学Compsec LabのJihyeon Jeong氏が発見・報告した。 これらの脆弱性を悪用すると、管理者権限なしに悪意あるプログラムの実行、機密データの窃取、システムの完全制御といった深刻な被害が生じる可能性がある。 対策と更新方法 ユーザーはChromeのメニューから「ヘルプ」→「Google Chromeについて」を開くことで最新バージョンの確認と自動更新を実施できる。更新後はブラウザの再起動が必要となる。企業環境では管理者がグループポリシーまたはChromeエンタープライズ管理ツールを通じて展開を管理することが推奨される。現時点でアクティブな悪用は報告されていないが、Criticalレベルの脆弱性は攻撃者の標的になりやすいため、迅速な適用が重要だ。

April 17, 2026

Jane Streetが総額70億ドルでCoreWeaveと大型契約——AIクラウド60億ドルに加え株式投資10億ドルも

概要 グローバルな定量取引企業Jane Streetは2026年4月15日、AIクラウドプロバイダーのCoreWeaveとの大型契約を発表した。内容はAIクラウドサービスの利用契約として約60億ドル、さらに1株109ドルのCoreWeave Class A普通株への10億ドルの株式投資を含む、合計約70億ドル規模のコミットメントだ。今回の株式取得によりJane StreetはCoreWeaveの上位5株主の一角に名を連ねることになる。 Jane StreetはCoreWeaveとの既存の関係を拡大する形で今回の契約に至った。同社はMeta(約350億ドル)、OpenAI(約120億ドル)、NVIDIA(約63億ドル)に続く大口顧客として位置づけられており、CoreWeaveにとって事業拡大を示す重要な案件となる。 契約の内容と技術的詳細 CoreWeaveが提供するのは、複数のデータセンター施設にわたる次世代コンピュートへのアクセスだ。特にNVIDIAの次世代アーキテクチャ「Vera Rubin」ベースのシステムへのアクセスが含まれており、展開は2026年第2四半期から開始される予定とされている。クラウドサービスにはAIソリューションの展開・スケールに向けた統合ソフトウェアおよびサービス、専用接続、カスタムストレージ構成、技術サポートも含まれる。 Jane Streetのコメントとして「CoreWeaveのAIクラウドプラットフォームへのアクセスにより、研究者たちは競争上要求されるペースで動ける」と述べられている。CoreWeaveの最高収益責任者(SVP of Revenue)であるMax Hjelm氏は「Jane Streetはフロンティアラボのように機能しており、深層学習の分野で絶えず新境地を開き、モデルの規模と複雑さを押し上げている」と評した。 背景と市場への影響 Jane Streetは2000年設立の定量取引企業で、機械学習をコアビジネス全体に適用することで知られる。2024年の純取引収益は約205億ドルに達し、大規模なデータ処理と複雑なモデルトレーニングに継続的に取り組んでいる。今回のAIクラウド投資は、同社が金融分野のフロンティアラボとしてAIインフラを強化する戦略的判断を示すものだ。 一方、CoreWeaveは2025年3月にNasdaqへ上場(IPO価格40ドル)して以来、契約規模を急拡大させており、金融・テクノロジー各社からAIコンピューティング需要が旺盛であることを改めて示している。今回の契約はMetaやAnthropicとの大型契約に続くもので、AIインフラ投資の加速と、特殊用途クラウドプロバイダーへの需要集中という業界トレンドを鮮明にしている。

April 17, 2026

NVIDIAが量子コンピュータ向けオープンAIモデル「Ising」を発表——キャリブレーションとエラー訂正を大幅強化

概要 NVIDIAは2026年4月14日、量子コンピューティング向けとしては世界初のオープンAIモデルファミリー「NVIDIA Ising」を発表した。量子コンピュータの実用化における主要な障壁である「キャリブレーション」と「量子エラー訂正(QEC)」の2領域をAIで解決することを目指したモデル群で、研究機関や企業が自社のハードウェアに合わせてカスタマイズできるオープンアーキテクチャで提供される。CEOのジェンセン・ファン氏は「AIは量子コンピューティングを実用化するために不可欠であり、AIが量子マシンの制御プレーンになる」と述べ、AIと量子の融合を同社の重要戦略と位置づけた。 2つのモデルの技術仕様 Isingファミリーは用途の異なる2種類のモデルで構成される。Ising Calibrationは350億パラメータのビジョン言語モデル(VLM)で、超伝導量子ビット・量子ドット・イオントラップなど複数の量子ビット方式から生成されたデータで学習されている。量子プロセッサのキャリブレーション作業を自動化し、従来は数日を要していた調整時間を数時間に短縮することが可能だ。Ising Decodingは量子エラー訂正デコーディング専用の3D畳み込みニューラルネットワーク(CNN)で、処理速度を優先した91万2,000パラメータの「Fast版」と、精度を優先した179万パラメータの「Accurate版」の2バリアントが用意されている。 性能ベンチマークと導入状況 Ising Decodingの性能評価では、量子エラー訂正の標準的なオープンソースデコーダ「PyMatching」と比較して最大2.5倍の高速化と3倍の精度向上を達成した。具体的にはd=13・p=0.003の条件でPyMatchingより2.25倍高速、論理エラー率で1.53倍の改善が確認されている。Ising Calibrationは独自の量子キャリブレーション評価指標「QCalEval」において既存の大規模言語モデルを上回る結果を示した。すでにAcademia Sinica、フェルミ国立加速器研究所、ハーバード大学、Infleqtion、IQM Quantum Computersといった学術機関や量子スタートアップが採用を表明している。 展開環境と今後の展望 モデルのデプロイには、TensorRT、CUDA-Q QEC、PyTorchベースのトレーニングフレームワークを組み合わせたレシピが提供される。NVIDIAのCUDA-Qプラットフォームおよび量子GPU相互接続技術「NVQLink」との統合も予定されており、量子GPUスーパーコンピュータへのスケーリングを見据えたロードマップが示されている。オープンアーキテクチャを採用しているため、各組織は固有のハードウェア特性に合わせてモデルをファインチューニングでき、独自データをオンサイトで管理できる点も研究機関にとってのメリットとなっている。量子コンピューティング市場は2030年に110億ドルを超えると予測されており、NVIDIAはAIとの融合によって同市場の主要プレイヤーとしての地位を確立しようとしている。

April 17, 2026

Rust 1.95.0リリース——cfg_select!マクロとif-letガードが安定化

概要 Rustチームは2026年4月16日、Rust 1.95.0を正式にリリースした。今回のリリースでは、コンパイル時の設定条件に基づいてコードを分岐できる新マクロcfg_select!の安定化、match式内でif-letガードを使えるようにする改善、そして多数のAPIの安定化が行われた。アップデートはrustup update stableコマンドで適用できる。 cfg_select!マクロとif-letガードの安定化 最大の目玉となるcfg_select!マクロは、コンパイル時に設定条件に基づいてコードパスを分岐する機能を提供する。従来のエコシステムでは「cfg-if」クレートが同様の目的で広く使われていたが、cfg_select!は異なる構文で標準ライブラリに組み込まれ、Unix環境やターゲットポインタ幅、プラットフォーム別など複数の条件分岐に対応する。 もう一つの重要な改善がmatch式でのif-letガード対応だ。これはRust 1.88で導入された「let chains」機能をmatch式に拡張したもので、パターンマッチに基づく条件判定が可能になり、マッチした値と条件結果の両方に同時にアクセスできるようになった。コードの表現力が向上し、ネストを減らしてより直感的なパターンマッチが書けるようになる。 安定化されたAPI群 今回のリリースでは多数のAPIが安定化された。メモリ操作関連では、MaybeUninitと配列間の相互変換メソッド群やCell型の参照変換機能が追加された。アトミック操作では、AtomicPtr・AtomicBool・AtomicIsize・AtomicUsizeにupdateおよびtry_updateメソッドが追加され、compare-and-swapループをより簡潔に書けるようになった。 コレクション操作では、Vec::push_mut・Vec::insert_mutなどミュータブル参照を返す新メソッドが追加されたほか、VecDequeやLinkedListにも同等のメソッドが用意された。またbool型への整数からの変換や、ポインタの安全でない参照変換メソッド、レイアウト計算の拡張機能なども安定化されている。 注目の破壊的変更 今回のリリースでは、カスタムJSONターゲット仕様をrustcに渡す機能が安定版ツールチェーンから削除された点も注目される。これはカスタムターゲット仕様ファイルを使って独自プラットフォーム向けのビルドを行っていたユーザーに影響する可能性がある。ただし、nightlyツールチェーンを使用するユーザーや完全に標準ターゲットのみを使うユーザーには影響しない。Rustチームはトラッキングイシューでカスタムターゲットのユースケースを収集しており、何らかの形での将来的な安定化を検討している。

April 17, 2026

RustブラウザエンジンServo、v0.1.0をcrates.ioに初公開―組み込みAPIとLTSも提供開始

概要 Rustで開発されたブラウザエンジン「Servo」が2026年4月13日、初めてcrates.ioへのリリースとなるv0.1.0を公開した。これにより開発者はcargo add servoの1コマンドでServoをRustアプリケーションに組み込めるようになった。なお今回のリリースは「0.1.0」であり、1.0の定義については引き続きチーム内で検討が続けられている。 2025年10月にGitHubで最初のリリースが行われて以降、計5回のリリースを重ねてリリースプロセスが成熟してきた。現在の開発上のボトルネックは技術面ではなく、月次ブログ記事の手動作成に移っているとチームは述べており、プロジェクトの安定化が着実に進んでいることを示している。 主な変更点と新機能 今回のリリースで注目されるのは、Servoの**埋め込みAPI(Embedding API)**への信頼度が高まり、より幅広いユースケースへの対応が宣言された点だ。開発者は自前のアプリケーションにWebレンダリング機能を組み込む際に、Servoをクレートとして利用できる。一方、デモ用ブラウザ「servoshell」はcrates.ioへの公開が予定されておらず、あくまでServo本体がライブラリとして提供される形となっている。 またLTS(長期サポート)版の提供も開始された。半年ごとのメジャーアップグレードを想定したサイクルで、セキュリティアップデートが提供されるほか、マイグレーションガイドの整備も目指されている。定期的なアップグレードを伴う本番利用を検討するプロジェクトにとって、安定した運用基盤を得られる選択肢となる。 背景と今後の展望 Servoはもともとモジラが開発を開始し、後にLinux Foundationに移管されたRust製のWebエンジンだ。ChromiumやWebKitとは独立したレンダリングエンジンとして、アプリケーションへのWebテクノロジーの組み込み利用に特化した軽量・高パフォーマンスな設計が特徴となっている。crates.ioへの公開はエコシステムへの本格統合を意味し、Rustコミュニティがより手軽にWebレンダリング機能を扱える環境が整いつつある。1.0リリースに向けたロードマップは現在も策定中であり、今後の進展が注目される。

April 17, 2026

Visual Studio 2026 v18.5.0リリース — Copilot Agent強化とJSON Schema最新仕様対応

概要 Microsoftは2026年4月14日、Visual Studio 2026の最新安定版となる**v18.5.0(April Update)**をリリースした。今回のアップデートは、GitHub Copilotのエージェント機能を中心に大幅な強化が行われており、AI支援による開発体験の向上が主眼となっている。加えて、JSON SchemaのDraft 2019-09/2020-12対応やC++コード編集ツールの正式GA化など、IDEとしての基盤機能も着実に進化している。 GitHub Copilotのエージェント機能強化 今回の目玉機能の一つがAgent Skills(エージェントスキル)の自動検出だ。Copilotエージェントが、リポジトリ内の .github/skills/、.claude/skills/、.agents/skills/ といったディレクトリや、ユーザーホームディレクトリ以下の個人スキルフォルダを自動的にスキャンし、SKILL.md ファイルとして定義された再利用可能な命令セットを自動的に読み込むようになった。これにより、プロジェクト固有の作業ルールやワークフローをCopilotに覚え込ませる仕組みが大幅に整備された。 また、クラウドエージェント連携機能も新たに追加された。Chatウィンドウからクラウドエージェントセッションを直接起動でき、エージェントがリポジトリへのIssue作成やPull Requestの生成を非同期で行う間も、開発者は手元の作業を継続できる。さらに、.github/agents/ ディレクトリ配下に .agent.md ファイルを配置することで、コードレビューや特定ドメインに特化したカスタムエージェントを定義することも可能になった。 そのほか、CopilotとIntelliSenseの競合問題に対処するため、IntelliSenseが補完候補の表示で優先されるようになり、一度に一つの候補のみが表示される仕様となった。また、過去のCopilotチャット履歴をタイトルやメッセージプレビューとともに閲覧できる新しいChat Historyパネルも追加された。 デバッグ・診断とその他の改善 デバッグ機能では、テキストビジュアライザへのAuto-Decoding機能が追加された。Copilotが変数の値のエンコード形式(Base64、GZipなど)を自動検出してワンクリックで復号・フォーマット表示できるようになった。またDebugger Agentという新たなワークフローも導入され、バグのIssueからソースコードの該当箇所の特定、バグの自動再現、トレースポイントの挿入、修正の検証までを自律的に実行できる。 IDE全体の改善としては、JSONエディタがJSON Schema Draft 2019-09/2020-12に対応し、$defs や $anchor といったモダンな機能が利用可能になった。C++開発においては、クラスの継承階層をたどったり関数呼び出しチェーンを追跡したりするC++コード編集ツールがエージェントモードでデフォルト有効(GA)となった。 セキュリティ面では、前バージョン(v18.4.4)で対処された複数のCVE(.NETのDoS・なりすまし脆弱性、SQLiteのメモリ破壊、Node.jsのTLS DoS、Visual StudioからInfo Disclosureなど)が今バージョンにも統合されている。

April 17, 2026

VS Code 1.116リリース、GitHub Copilot Chatが拡張機能なしで標準搭載

概要 Visual Studio Code 1.116が2026年4月15日にリリースされた。今回の最大のハイライトはGitHub Copilot Chatのビルトイン統合で、新規ユーザーは拡張機能を別途インストールすることなく、標準インストール時点からチャット・インライン提案・エージェント機能を利用できるようになった。既存ユーザーの利用環境に変更はなく、AI機能を利用したくない場合は chat.disableAIFeatures 設定で無効化することも可能だ。 エージェントデバッグログとターミナル強化 AI支援開発の信頼性と操作性を高める機能も複数追加されている。エージェントデバッグログパネルでは、エージェントとのインタラクションが時系列のイベントログとして記録され、ディスクに永続化される。セッション終了後も過去のやり取りをレビュー・デバッグできるため、エージェントの動作トレースや問題の切り分けが容易になった。 ターミナル機能においては、send_to_terminal と get_terminal_output がバックグラウンド端末に限定されていた制約が撤廃され、REPLが実行中のフォアグラウンドターミナルからの入出力にも対応した。また入力検出にLLMベースの処理を用いていた部分が直接的なターミナル制御へ移行されたことで、動作の確実性が向上している。バックグラウンドコマンドの完了通知もデフォルトで有効化された。 その他の改善点 Chat Customizationウェルカムページが追加され、自然言語によるエージェントカスタマイズの作成が可能になった。チャット画面ではコード差分が会話内に直接レンダリングされるようになり、可読性とパフォーマンスが改善されている。Agents appにはキーボードナビゲーションとスクリーンリーダーのサポートが追加され、アクセシビリティ対応が強化された。今回のリリースはAI機能をVS Codeのコア体験に深く統合する方向性をさらに明確にするものであり、エディタとしての進化の方向性を示している。

April 17, 2026