OracleとAWSが専用プライベート接続で協業、マルチクラウドネットワークが本格化

概要 OracleとAWSは2026年4月16日、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)とAWS間でパブリックインターネットを経由しない高速プライベート接続を確立する計画を発表した。「Oracle Interconnect」と「AWS Interconnect–multicloud」を相互接続する形で実現し、まずAWS米国東部(バージニア北部、us-east-1)リージョンで2026年内の提供開始を目指す。両社は長年にわたりクラウド市場での競合関係にあったが、エンタープライズ顧客のマルチクラウド需要の高まりを受けて協業に踏み切った形だ。 OCI側のプロダクト管理SVPであるNathan Thomas氏は「当社のクロスクラウドインターコネクトとAWS Interconnect–multicloudの間に接続を確立し、クロスクラウド接続機能をAWSへ拡張する。顧客のアプリケーション近代化、データ統合、そして新たな生成AIの機会開拓を支援する」と述べた。 技術的な詳細 今回の接続は最大100 Gbpsの帯域幅を提供するフルマネージドのエンタープライズグレード接続で、自動冗長化とロードバランシング、協調サポートモデルを備える。アーキテクチャ上はフルスタックとスプリットスタックの両形態のマルチクラウド展開に対応しており、アプリケーションとデータを異なるクラウドに分散配置するケースにも利用できる。 AWS側では2026年4月14日に「AWS Interconnect–multicloud」が一般提供(GA)に移行しており、AWS Transit GatewayやAWS Cloud WANとの統合により複数のVPCやリージョンへの迅速なスケーリングが可能だ。クラウドプロバイダーはGitHub上で公開されているオープン仕様のAPIを通じて参加できる。料金体系はOCI側では出力・帯域費用は発生せず、ポートおよび仮想回線の速度に応じた費用のみとなる。AWS側は帯域域幅と地理的範囲に基づく一律料金で、2026年5月からは1リージョンあたり500 Mbpsの無料枠も提供される。なお、超低レイテンシが求められるトランザクション系ワークロードには適していないと明示されている。 背景とマルチクラウド戦略の潮流 今回の発表は2025年に開始した「Oracle AI Database@AWS」(OracleのデータベースワークロードをAWS内で実行するサービス)をベースにした取り組みの延長線上に位置づけられる。OracleはすでにGoogle CloudおよびMicrosoft Azureとのインターコネクトを確立しており、AWSとの接続によって主要クラウド3社すべてとのプライベート接続網が完成する見込みだ。AWS側でもGoogle Cloud(2025年12月)に続く接続パートナー追加となり、Microsoftとのパートナーシップも2026年中に予定されている。 theCUBE ResearchのアナリストRob Strechay氏は「2つの最大規模のクラウドドメイン間のネットワーク複雑性を排除することで、企業のクロスクラウドレジリエンスとAIアーキテクチャの実現可能性が大幅に向上する。AIの未来はデータが一方のクラウドに存在し、モデルが別のクラウドで動作し、ネットワークが妨げにならない世界にある」と評価する。一方で、接続が容易になってもデータエグレス費用は依然として発生するため、実際のコスト試算には注意が必要だと指摘する声もある。 今後の展望 本接続の提供開始によって、AIワークロード、大容量データ転送、ディザスターリカバリーといったユースケースでのマルチクラウド活用が現実的な選択肢になる。Constellation ResearchのHolger Mueller氏は「OCIとAWSのクラウド間でデータ交換を容易かつ効率的にセットアップできる手段として、多様なユースケースを支える基盤となる」と述べており、エンタープライズ向けのマルチクラウド戦略が新たな段階に入りつつあることを示している。

April 18, 2026

BISのスタッフ不足でNvidia・AMD対中AIチップ輸出ライセンス審査が数カ月規模で停滞

概要 米商務省の輸出管理局(Bureau of Industry and Security、BIS)がライセンス審査担当職員の約20%を失い、NvidiaおよびAMDの先端AIチップに対する対中国輸出ライセンスの審査が深刻な停滞に陥っている。人員不足が行政上のボトルネックを生み出し、半導体企業の輸出申請が数カ月単位で滞留する事態となっている。状況の深刻さは、BISのジェフリー・ケスラー次官が自ら個々のライセンス申請に署名対応しなければならないほどに達しており、機関全体の運営上の負担が顕在化している。 事業への影響と輸出管理の脆弱性 審査の遅延は、先端AIチップの対中輸出を求める半導体メーカーに直接的な打撃を与えている。NvidiaやAMDといった米国の主要チップメーカーは中国市場への合法的な輸出機会を待つ形となり、グローバル競争における米国企業の事業計画に支障をきたす恐れがある。また、この停滞はサプライチェーン全体にも波及し、輸出管理体制の人的リソース依存という構造的脆弱性を浮き彫りにした。現在のような上級幹部が個別対応を担う運用は持続可能な解決策とはなりえず、追加の人員確保や業務プロセスの改善なしには審査遅延が長期化する懸念が強い。 背景:対中半導体輸出規制の強化路線 BISの輸出管理体制は、先端コンピューティング技術の中国への流出を防ぐという米国政府の安全保障上の方針を担う重要な機能を果たしてきた。近年、米中間の技術覇権争いが激化する中で対中半導体輸出規制は段階的に厳格化されており、審査件数も増加傾向にある。こうした規制強化の流れの中でスタッフの大幅な離職が重なったことで、安全保障上の目的と商業的な合理性を両立させる行政能力そのものが問われる事態となっている。政府機関として必要な審査能力をいかに維持するかが、今後の課題として浮上している。

April 17, 2026

GoogleがADKのTypeScript版を公開――コードファーストでAIエージェントを構築

概要 Googleは2025年12月、AIエージェントおよびマルチエージェントシステムを構築するためのオープンソースフレームワーク「Agent Development Kit(ADK)」のTypeScript版を正式公開した。ADKはもともとPython・Java・Go版が提供されていたが、今回のTypeScript対応により、フロントエンドからバックエンドまで幅広く利用されているJavaScript/TypeScriptエコシステムの開発者もAIエージェント開発に参入しやすくなった。 ADKが掲げるのは「コードファースト」のアプローチだ。エージェントのロジック・ツール・オーケストレーションをTypeScriptで直接定義できるため、複雑なプロンプトエンジニアリングをAgents・Instructions・Toolsといったモジュラーでテスト可能なコンポーネントに置き換えることができる。数行のコードで強力なエージェントを定義できる点が特徴とされており、既存のソフトウェア開発プラクティスをAI開発に自然に持ち込める設計となっている。 技術的な詳細 ADK TypeScript版の主な特徴は以下の通りだ。 エンドツーエンドの型安全性: TypeScriptの静的型付けを活かし、エージェント定義からツール呼び出しまで型チェックが効く設計 TypeScript/JavaScriptエコシステムとの統合: npmパッケージとして提供され、既存プロジェクトへの導入が容易 モジュラー設計: エージェントやツールを独立したコンポーネントとして定義し、再利用・テストがしやすい構造 デプロイメント非依存: ローカル環境・コンテナ・サーバーレスなど様々な実行環境に対応 対応モデルはGemini 2.5 Flash、Gemini 3 Pro、Gemini 3 Flashをサポートするほか、モデルに依存しない設計のため他社AIモデルとの互換性も維持されている。また、データベースアクセスを容易にする「MCP Toolbox for Databases」とのネイティブ統合も提供され、エンタープライズ用途への適用範囲が広がっている。 背景と意義 ADKはGoogleが進めるAI開発の民主化戦略の一環であり、従来のソフトウェア開発プラクティスとAIエージェント開発の融合を目指している。Python版ADKは先行して公開されており、Googleのエコシステム内外で採用が広がっていた。TypeScript版の追加によって、Web開発者を中心とした大規模なコミュニティがマルチエージェントシステム構築に参入できる基盤が整ったことになる。開発者はGitHubリポジトリ・公式ドキュメント・サンプルコードを通じて即座に利用を開始できる。

April 17, 2026

Grafana v13.0正式リリース——Dynamic DashboardsとGit SyncがGA、クエリエディタも刷新

概要 Grafanaチームは2026年4月、Grafana v13.0を正式にリリースした。今回のリリースは「blinking cursorの問題解決」をコンセプトに掲げており、チームがデータから素早くインサイトを得られるようにすることに主眼を置いている。長らくベータ提供されていた次世代ダッシュボード機能「Dynamic Dashboards」と、GitOps連携を実現する「Git Sync」がともに一般提供(GA)となったほか、ビジュアライゼーションやAI支援機能など多岐にわたる強化が行われた。 Dynamic DashboardsとGit SyncのGA Dynamic Dashboardsは、より柔軟で適応性の高いダッシュボード体験を提供する次世代ダッシュボード機能で、v13.0よりすべてのGrafana Cloudユーザーとセルフマネージドインスタンスでデフォルト有効化される。既存のダッシュボードは自動的に新スキーマへ移行され、「統一されたソース・オブ・トゥルース」の構築を支援する設計となっている。 Git Syncは双方向のGitOps機能であり、Grafanaリソースの大規模かつ信頼性の高い管理を可能にする。ただし、v12.xからv13.0.0へアップグレードする際はダッシュボード喪失のリスクがあるため、公式のマイグレーション手順を確認することが強く推奨されている。 ビジュアライゼーションとダッシュボードの強化 ビジュアライゼーション面では、リニューアルされたGaugeビジュアライゼーションがGAとなった。また、新しいパネルスタイル機能により、Time Series・Gauge・Bar Gauge・Stat・Bar Chartの各パネルをキュレーションされた設定群で素早く更新できるようになった。さらに、Graphviz DOT言語でインタラクティブなダイアグラムを定義し、任意のデータソースからライブデータをマッピングできる新パネルGraphvizもプライベートプレビューとして追加された。 ダッシュボード操作面では、クイックフィルター・グループ化機能の改善によるデータ探索の高速化、サポートチケット不要でダッシュボードを復元できる「Recently deleted」ビュー、APIゲートウェイやデータベースを含む複雑なダッシュボードで別々のサービスに異なる変数を適用できるグループレベル変数機能なども追加された。クエリエディタもリニューアルされ(プライベートプレビュー)、クエリ・式・変換・関連アラートを統一ビューで扱えるようになり、複雑なパネル構築が容易になった。 AI・データソース・運用機能の拡張 AI機能ではGrafana Assistantとの統合が強化され、ダッシュボードテンプレートのカスタマイズ支援やSQLエクスプレッション生成支援(Grafana CloudではGA、OSS/Enterpriseではパブリックプレビュー)が利用可能になった。データソース面ではElasticsearchのDSLとES|QL両言語サポート、そしてエンタープライズデータベースのIBM DB2への対応が追加された。 運用支援機能としてはGrafana AdvisorがGAとなり、失敗したデータソース・古いプラグイン・SSO設定の誤構成を検出するヘルスチェック機能が週1回の自動実行(手動トリガーも可能)で利用できる。 主な破壊的変更と今後の展望 今回のリリースにはいくつかの破壊的変更も含まれる。Grafana Image Rendererのサポートが削除され、スクリーンショット・レポート生成が非対応となった。React 19への移行に伴いIoT TwinMaker SceneViewerパネルが非対応化されたほか、JWTベースの認証がレンダリング認証のデフォルトに変更され、HTTP圧縮(gzip)がデフォルト有効化された。複数のgo_sql_statsおよびgrafana_database_connメトリクスも廃止され、新しいgo_sqlメトリクスに置き換えられた。config.appsおよびconfig.panelsは2026年下半期リリース予定のGrafana 13.2.0で削除予定となっており、早期の対応が求められる。

April 17, 2026

Intel、18Aプロセス採用のCore Series 3プロセッサを正式発売——エントリーノートPC・エッジ市場へ70以上の製品展開

概要 Intelは2026年4月16日、最新の18Aプロセスノードを採用したエントリーレベル向けモバイルプロセッサ「Core Series 3」を正式に発売した。このシリーズは主にエントリークラスのノートPCおよびエッジシステム向けに設計されており、Acer、ASUS、HP、Lenovoといった主要OEMパートナーが70を超える製品デザインを展開する予定であることが明らかになっている。これにより、Intelはコンシューマー向け薄型軽量ノートPCから産業・商業向けエッジデバイスまで、幅広いセグメントへのリーチ拡大を図る。 18Aプロセスノードの採用 Intel Core Series 3における最大の特徴は、同社の最先端製造プロセス「Intel 18A」の採用である。18Aはトランジスタ密度と電力効率を大幅に改善した世界最高水準のプロセスノードのひとつであり、エントリークラスの製品ラインナップにもこれを適用することで、前世代に比べてパフォーマンスと消費電力のバランスが向上していると見られる。エッジシステム向けには特に省電力動作が重視されており、組み込みや小型フォームファクタ機器への展開も見込まれる。 OEMパートナーと市場展開 Intelはコアパートナー各社と連携し、70以上の製品デザインを市場投入する計画を発表した。Acer、ASUS、HP、Lenovoといった業界大手が対応機器を揃えることで、エントリー価格帯のノートPC市場における存在感を強化する狙いがある。エッジシステム分野においても採用が見込まれており、小売・物流・製造業などの現場で利用される組み込み機器への組み込みが期待される。Intelはエントリー市場においても競争力のある製品を提供することで、AMDやQualcommとの競合に対抗していく姿勢を示している。

April 17, 2026

MicrosoftがOpenAI撤退後のノルウェーStargateデータセンターを引き継ぎ、Vera Rubin GPU 3万基を展開

概要 Microsoftは2026年4月、ノルウェー北極圏の都市Narvikにあるクラウドプロバイダー・Nscaleのデータセンターキャンパスで、Nvidia Vera Rubin GPUを3万基以上追加展開する契約を締結した。このサイトはもともとOpenAIの「Stargate Norway」プロジェクトとして発表されていたもので、OpenAIが契約締結に至らなかった後、Microsoftが引き継いだ形となる。今回の合意は、同サイトに対してMicrosoftがすでに行っていた62億ドル規模のコミットメントをさらに拡大するものだ。 OpenAIの撤退経緯 OpenAIは昨年、NarvikのNscaleキャンパスをStargate構想の欧州拠点として「Stargate Norway」と銘打ち公表していた。しかし、エネルギーコストや規制コストの高さを理由に英国のStargateプロジェクトを一時停止するなど、欧州でのインフラ展開に慎重姿勢を強めていた。結果としてNscaleとの直接契約は成立せず、OpenAIは独自に容量を確保する代わりにMicrosoftのAzureを通じて同サイトへのアクセスを確保する形に変更した。IPOに向けた支出精査の強化も、OpenAIがサーバーファームコストに対して慎重な姿勢をとる背景にある。 技術・インフラの詳細 Narvikキャンパスにはすでに230MWの電力容量が確保されており、電力は再生可能エネルギーから供給される。今回追加展開されるNvidia Vera Rubin GPUは次世代のAI推論・学習向けアクセラレーターであり、MicrosoftはこのGPUを英国やノルウェーをはじめとする複数拠点に順次展開している。Nscaleはデータセンターを設計・運営するネオクラウドプロバイダーであり、ノルウェーの投資会社Aker ASAも出資に参画している。 Stargateサイトの相次ぐ吸収とAI戦略 Microsoftが元Stargateサイトを引き継ぐのは、直近3週間で2件目となる。最初のケースはテキサス州のサイトであり、今回のノルウェーがそれに続く。OpenAIは2026年の支出削減方針のもと欧州でのインフラ展開を縮小している一方、MicrosoftはAI・クラウドサービスへの爆発的な需要増に対応すべくデータセンター整備を積極的に進めている。Microsoftは今後もNarvikキャンパスを含む大規模AI推論インフラへの投資を継続するとみられており、欧州における同社のAI基盤強化が加速している。

April 17, 2026

NISTがNVD運用を刷新:CVE申請263%急増で高リスク脆弱性のみ詳細分析へ

概要 米国立標準技術研究所(NIST)は2026年4月15日、国家脆弱性データベース(NVD)の運用方針を抜本的に見直すと発表した。2020年から2025年にかけてCVE申請数が263%急増し、2026年第1四半期の申請数も前年同期比で約33%上回るなど、成長が加速するなかで、NISTは2025年に過去最高の約42,000件のCVEをエンリッチメント(詳細情報付与)したものの、それでも申請ペースに追いつけない状況を認めた。2025年分だけでも約10,000件の脆弱性がCVSSスコアなしのまま残っており、同年のCVE全体のうちNISTが詳細分析できたのは約32%(14,000件)にとどまっている。 優先化の新基準 新方針では、NISTが詳細分析(エンリッチメント)を自動的に行う対象を以下の3カテゴリに絞り込む。 CISAの既知悪用脆弱性(KEV)カタログ掲載済みのCVE:1営業日以内のエンリッチメントを目標とする 連邦政府が利用するソフトウェアに影響するCVE 大統領令14028が定める「重要ソフトウェア」(OS、ブラウザ、ネットワーク機器、バックアップシステム、ID管理プラットフォームなど)に関わるCVE この3条件を満たさないCVEは「Not Scheduled(未予定)」ステータスに設定される。ただし、データベースからは削除されず、組織はnvd@nist.gov宛てにメールでエンリッチメントをリクエストできる。なお、2026年3月1日以前に未エンリッチのまま残っていたバックログは、優先基準を満たさない限りそのまま「Not Scheduled」に移行される。 プロセスの変更点 今回の方針変更ではスコアリング体制も変わる。NISTはこれまで独自の深刻度スコアを提供してきたが、CVE採番機関(CNA)がすでにスコアを付けているCVEについては、NISTが別途スコアを算出・公開しなくなる。また、修正された既存CVEの再分析は、変更内容がエンリッチメントデータに実質的な影響を与える場合に限定される。 業界への影響と背景 セキュリティ専門家の間では、この変更を「政府の単一データベースに頼れた時代の終わり」と表現する声も上がっている。背景には、AIを活用した脆弱性発見ツールの普及が研究者コミュニティに広まり、CVE申請数を押し上げているという構造的要因がある。 CVEプログラム自体も2025年には資金不足で崩壊寸前に陥るなど、MITREとDHSへの依存が脆弱性管理インフラの持続可能性に疑問を投げかけている。一方、欧州ではENISAがルートCNA(CVE採番の上位機関)の地位取得を目指しており、脆弱性情報の分散管理と欧州側の自立化に向けた動きが加速している。今回のNISTの方針転換は、組織がNVDの網羅性に依存した脆弱性管理から脱却し、リスクベースの優先付けを自ら行う必要があることを改めて示すものとなった。

April 17, 2026

Operation PowerOFFがDDoS-for-hire53ドメインを閉鎖、75,000人に警告メール送付

概要 Europolが主導する国際法執行作戦「Operation PowerOFF」の最新フェーズが2026年4月13日に実施された。オーストラリア、ブラジル、日本、米国、英国、ドイツ、オランダをはじめとする21か国が参加し、DDoS-for-hire(DDoS請負)サービスの53ドメインを閉鎖、4名を逮捕、25件の捜索令状を執行した。また、過去フェーズで入手したデータベースには300万件以上の犯罪者アカウントが含まれており、今回の一連の取り締まりはDDoS攻撃インフラに対する大規模な国際的対応となった。 告知戦略——75,000人への直接警告 今回の作戦で注目されるのは、刑事訴追に加えて大規模な「告知・抑止」戦略が採用された点だ。Europolは、DDoS-for-hireプラットフォームの利用者として特定された約75,000人に対し、電子メールや書面で警告通知を送付した。これは従来の逮捕・起訴中心のアプローチからの転換を示しており、当局が監視を行っているという事実を広く知らしめることで、将来的な犯行を抑止することを目的としている。あわせて、若年層をターゲットとした検索エンジン広告の出稿、違法サービスを宣伝する100件以上のURLの削除、不正な支払いに紐付けたオンチェイン警告メッセージの送付といった啓発活動も実施された。 DDoS-for-hireサービスの手口と脅威 閉鎖されたのは「ブーターサービス」と呼ばれる仕組みで、利用者は料金を支払うだけで標的のWebサイト、サーバー、ネットワークに大規模なDDoS攻撃を仕掛けられる。攻撃トラフィックは主に侵害済みのルーターやIoTデバイスから生成されるため、利用者側に高度な技術知識は不要だ。サービス運営者は「負荷テスト」を名目に掲げることがあるが、対象サーバーの所有権を確認するしくみは存在しない。EuropolはDDoS-for-hireを「サイバー犯罪の中で最も蔓延しやすく、参入障壁が低いトレンドの一つ」と位置付けており、企業活動への実害も大きい。 作戦の背景と過去の実績 Operation PowerOFFは複数年にわたる継続的な作戦である。DDoS-for-hireインフラへの国際的な取り締まりも進んでおり、2025年8月には米国政府が80か国以上の被害者を出したDDoSボットネット「RapperBot」のインフラを解体している。今回のフェーズでは、各国当局の専門家が集結して「高価値ターゲット」に対する一斉摘発を実施するという「オペレーションスプリント」方式が採用された。国際協調の枠組みを活かした継続的な取り締まりと予防啓発の組み合わせが、DDoS-for-hireエコシステムの弱体化に向けた有効なアプローチとして確立されつつある。

April 17, 2026

Slack CLI v4.0.0リリース、AIエージェント開発向けスキャフォールディングとMCPサーバー統合を搭載

概要 Slack CLIのメジャーバージョン4.0.0が2026年4月10日にリリースされ、直後にパッチバージョンの4.0.1も公開された。今回のリリースの目玉は、AIエージェント開発に特化した新機能の追加だ。slack create agentコマンドを使うことで、Slack MCPサーバーのサポートが組み込まれたプロジェクトを素早くスキャフォールディングできるようになった。対応フレームワークはClaude Agent SDK・OpenAI Agents SDK・Pydantic AIの3種類で、それぞれスターターテンプレートが提供される。v4.0.1ではさらにslack create agentコマンドが修正され、アプリテンプレート・BoltフレームワークおよびAIエージェントフレームワークの選択プロンプトが正しく表示されるようになり、JavaScriptとPythonの双方でテンプレート選択肢が拡張されている。 主な新機能と改善点 環境変数管理の面でも大きな改善が加えられた。.envファイルがフックスクリプトの実行より前に読み込まれるようになったほか、slack env listコマンドで利用可能な変数を一覧表示できるようになった。さらにslack env setとslack env unsetコマンドが追加され、Slackインフラストラクチャ上で構築・実行されないアプリ向けに、コマンドラインから環境変数を設定・削除できるようになった。 開発体験の向上という面では、slack runコマンドにファイルウォッチングとライブリロード機能が追加され、コードの変更が即座に反映されるようになった。また、slack run ./src/app_oauth.pyのようにオプション引数でカスタムのアプリエントリポイントを指定できるようになり、より柔軟なプロジェクト構成に対応している。 Pythonプロジェクト向けの改善も注目に値する。プロジェクトのセットアップ時にPython仮想環境(.venv)が自動的に作成され、pyproject.tomlおよびrequirements.txtから依存関係がインストールされる。以降のコマンド実行時も、仮想環境が存在する場合は自動的にアクティベートされるため、開発者が手動で環境を管理する手間が省かれる。 バグ修正と安定性向上 バグ修正としては、pyproject.tomlのエラーハンドリングの修正、環境変数から不要な二重引用符が除去されるよう修正、Windowsインストーラーの改善、そしてCIやスクリプト環境でのエラー早期検出などが含まれる。AIエージェント開発という新しいユースケースへの本格対応とともに、既存機能の安定性・使いやすさも着実に磨かれたリリースとなっている。

April 17, 2026

Snapが全従業員の16%にあたる約1,000人を削減、AI活用で5億ドル超のコスト圧縮へ

概要 Snapは2026年4月15日、全従業員の約16%にあたる約1,000人の人員削減を実施すると発表した。CEOエヴァン・スピーゲル氏は社員向けメモの中で、AIの急速な進歩によってチームが反復的な作業を減らし、業務速度を向上させ、コミュニティ・パートナー・広告主へのサポートを強化できるようになったと説明している。人員削減に加え、採用中だった300以上のポジションもすべて閉鎖される。2025年12月時点の従業員数は約5,261人であり、今回の削減は近年最大規模の一つとなる。 財務目標とコスト削減 この再編により、Snapは2026年下半期までに年間ベースで5億ドル以上のコスト削減を見込んでいる。スピーゲル氏は「純利益の黒字化に向けた、より明確な道筋を確立する」ことを目標に掲げており、これまで赤字が続いていた同社の収益構造を大きく転換する狙いがある。発表直後、Snap株は時間外取引で11%超の上昇を記録し、市場はコスト削減と収益化への取り組みを好感した。 AI活用による「新しい働き方」 スピーゲル氏は今回の削減を単なるコスト削減策としてではなく、AIを活用した「新しい働き方(New Way of Working)」への移行と位置付けている。Snapchat+の機能拡充、広告プラットフォームのパフォーマンス向上、Snap Liteインフラの効率化など、複数の重要プロジェクトで少人数チームとAIツールの組み合わせが既に成果を上げているとしており、この方針をより広く展開する考えだ。 削減の背景と従業員への対応 今回の削減は、Snapにとって2022年(全体の20%削減)、2023年、2024年(10%削減)に続く一連のリストラの流れを継承するものだ。同社はAmazonやMicrosoft、Pinterestといった他のテック企業と同様、AI効率化を人員縮小の主要な根拠として挙げている。削減対象となった米国従業員には、4か月分の退職金・医療保険・株式付与・転職支援が提供される予定で、北米の従業員には発表当日の在宅勤務が指示された。なお、Snapは今後、消費者向けARグラス「Specs」の発売を予定しており、この部門を独立した事業単位として分離している。

April 17, 2026