AMD、フェイフェイ・リー氏のWorld Labsを82億ドルで買収、チーフサイエンティストに招聘

概要 AMDは9月28日、空間知能AIスタートアップWorld Labsを全株式取引で約82億ドルにて買収すると発表した。創業者でスタンフォード大学教授のフェイフェイ・リー氏は、AMDの上級副社長兼チーフサイエンティストとして入社し、CEOのリサ・スー氏に直属する形でAI推論、ロボティクス、シミュレーション、物理AI分野の技術ロードマップ強化を主導する。買収は年内の完了を見込んでおり、規制当局の承認を前提とする。 World Labsの技術と事業 World Labsは2024年に設立され、テキストや画像、動画からインタラクティブな3D環境を生成・再構築・シミュレーションする空間知能モデルを開発してきた。最初の製品「Marble」は、エンターテインメント体験やロボット訓練向けのシミュレーション環境を生成するもので、現実世界のデータが不足しがちなロボティクスや自動運転、ヒューマノイド分野において、合成トレーニングデータを提供する「世界モデル(world model)」として注目されてきた。AMDとWorld Labsは2025年に推論最適化に関するパートナーシップを既に結んでおり、今回の買収はその関係の延長線上にある。 買収の狙いと今後の展望 AMDのリサ・スーCEOは「次世代AI向けの計算基盤を構築するには、モデルがどのように進化していくかを深く理解する必要がある」と述べ、World Labsの持つ最先端ワークロードへの知見が、推論・ロボティクス・シミュレーション・物理AIにまたがる今後のハードウェア・ソフトウェア開発の指針になるとの考えを示した。狙いの一つには、Nvidiaに対抗するAI特化型チップエコシステムの構築や、オープンなAIエコシステムを支えるインフラ提供力の強化がある。 フェイフェイ・リー氏は「AMDに参加することで、研究を加速させ、次のAI時代を支えるインフラを定義するためのリソースとエンジニアリングの深みが得られる」とコメント。さらに「実現可能性の確かな証拠が得られた今、その未来の実現に全力を注ぎたい」とし、ハードウェアに一層近い立場でスケーリングに取り組む意向を語った。World Labsのチームは買収後もAIモデル研究に注力する方針で、著名なAI研究者を取り込むAMDの動きは、GPU市場でのNvidiaとの競争を背景にしたものだ。

September 29, 2026

Anthropic「Claude Sonnet 5.5」発表、同一価格でTerminal-Bench 70.6%とOpus級サイバー対策を実現

概要 Anthropicは9月28日、Claude 5.5ファミリー第2弾となる「Claude Sonnet 5.5」を発表した。API価格は入力100万トークンあたり2ドル、出力100万トークンあたり10ドルとSonnet 5から据え置きつつ、出力速度を30%以上高速化し、ツール呼び出し回数や使用トークン数の削減によって実タスクあたりのコストを最大30%圧縮した。Claude Platform、AWS、Google Cloud、Microsoft Azure、Claudeアプリで提供が始まっており、モデルIDはclaude-sonnet-5-5。ゼロデータ保持オプションにも対応する。 ベンチマークと性能 エージェント型コーディングを測るTerminal-Bench 4.0では70.6%を記録し、前モデルのSonnet 5(10.3%)を大幅に上回るだけでなく、上位モデルのOpus 5.5(66.4%)も超えた。CursorBench 4.0でも55.5%(Sonnet 5は34.1%、Opus 5.5は57.8%)、知識労働系のGDPval-AAでは1,844(Opus 5.5は1,846)とOpusにほぼ匹敵するスコアを示している。VentureBeatによれば、Low/Medium effort設定時にはSonnet 5.5がSonnet 5の最高スコアをタスク単価の約10分の1で上回るケースもあるという。ツール呼び出しをまとめて実行する挙動が強化されており、実行ステップ数と失敗率の低下につながっているとAnthropicは説明する。 企業導入事例とツール呼び出し効率化 Box、Zendesk、Slack、Epic Games、Atlassian、Balyasny Asset Managementなど複数の企業が導入結果を公表した。Boxは処理速度2.4倍・総トークン数12%減、Zendeskはチケット処理が20%高速化、Slackはオフライン評価で出力トークンが約14%減少したと報告している。金融のBalyasny Asset Managementは2,441件の業務タスクで使用トークン数がSonnet 5の497,000から121,000へ大幅に減少しつつ精度も向上したという。Atlassianは自社のRovoエージェントがSonnet 5.5により「最大30%高速化した」としている。こうした結果は、単純な出力速度の向上だけでなく、少ないツール呼び出しとステップ数で同等以上の成果を出す設計がタスク単価削減に直結していることを裏付けている。 サイバーセキュリティ対策とセーフガード Sonnet 5.5はSonnetモデルとして初めてOpus 5.5と同等のサイバーセキュリティ対策を搭載した。高リスクと判断されたタスクは自動的にSonnet 5にフォールバックする一方、通常のソフトウェア開発作業には影響しない設計となっている。承認を受けたサイバー防御担当者向けにはCyber Verification Programを通じた段階的アクセスも用意される。加えて、推論プロセスの抽出を防ぐ新しい分類器がSonnetとして初めて搭載されたほか、既存の「preserved thinking」の仕組みも拡張され、思考過程の情報が元のアカウントから切り離されて悪用されることを防ぐ。生物分野のセーフガードはSonnet 5と同水準で、有害な依頼を防ぎつつ大半の研究・臨床用途は妨げない設計を維持している。 市場での位置づけと今後 VentureBeatは、Sonnet 5.5の価格がOpenAIのGPT-6 Sol(入力2ドル/出力10ドル)と同水準である一方、GoogleのGemini 3.8 Flash(導入価格で入力0.75ドル/出力3.75ドル)よりは高いと指摘しつつ、Anthropicがトークン単価よりもタスク全体のコストを重視する姿勢を強調していると伝えている。TechCrunchによれば、OpenAIが前週にSolとLunaの改良版を、Metaがスマートグラス向け新モデルをそれぞれ発表するなど、モデル競争が激化する中での投入となった。Anthropicは数週間以内に「Claude Haiku 5.5」も投入する計画を明らかにしており、Sonnet 5.5は日常的なコーディングやドキュメント作成、長時間にわたる知識労働タスクにおいて、Opus 5.5を補完する低コストな主力モデルと位置付けられている。

September 29, 2026

Apple、Mac mini初の2nmチップ「M6」搭載モデルとM5 Ultra版Mac Studioを発売

概要 Appleは9月22日、新設計のMac miniとMac Studioを世界30カ国・地域で同時発売した。目玉はMac mini向けとして初めて採用された「M6」チップで、Apple製シリコンとして初めて2nmプロセスで製造されている。12コアCPU・12コアGPUに加え、各GPUコアにニューラルアクセラレータを備えたデュアル16コアNeural Engineを搭載し、AI処理性能は前世代比で最大4倍、グラフィックとストレージは最大2倍、CPU性能も約40%向上したという。Mac miniはM6モデルが米国で899ドル(日本では149,800円から)、より上位のM5 Proモデルが1,699ドルからで、それぞれ標準16GB・最大32GB、最大64GB(帯域幅307GB/s)の統合メモリを選択できる。多くのApple Store店舗では当日店頭受け取りにも対応した。 Mac Studioも刷新、M5 UltraはApple史上最強チップに Mac Studioは既存のM5 Max(18コアCPU、最大40コアGPU、最大128GB統合メモリ)に加え、新たに最大36コアCPU・最大80コアGPU・最大512GB統合メモリを備える「M5 Ultra」構成が加わった。メモリ帯域幅は1.2TB/sに達し、AI性能は最大4.3倍、グラフィック性能は最大1.8倍向上したとApple自身が発表しており、同社は「最も強力なチップ」と位置づけている。Thunderbolt 5(最大120Gb/s)によるRDMA対応で複数システムのクラスタリングも可能になった。価格はM5 Maxモデルが2,499ドルから、M5 Ultraモデルが5,499ドルからで、512GB統合メモリ搭載構成のみ2026年10月下旬の提供開始となる。Mac Studioは月額48.99ドルからのApple Upgradeリースプログラムでも購入できる。 デザインとインターフェース、macOS 27との連携 Mac mini本体は約12.7cm四方、高さ約5.0cm、重量約670gのコンパクト設計を維持しつつ内蔵電源を採用し、外付けACアダプターが不要になった。インターフェースはThunderbolt 4を3基、前面にUSB-Cを2基備え、HDMI・ヘッドホン端子に加えWi-Fi 7、Bluetooth 6、2.5ギガビット有線LAN(10Gb選択可)を標準搭載する。外部ディスプレイは最大3台まで接続可能だ。ソフトウェア面では新OSのmacOS 27「Golden Gate」が同時提供され、画面内容について音声で質問できるビジュアルインテリジェンスや、利用者の説明文から自動生成されるAIショートカット、指定ページの更新を定期チェックして通知するSafariの新機能、インターフェースの透明度を調整できるLiquid Glassなど、AIとインターフェース両面の強化が図られている。 価格改定と今後の展望 日本国内のMac mini(M6)は前モデル比で約15,800円の値上がりとなっており、2nmプロセスや新設計に伴うコスト増が価格に反映された形だ。一方でストレージ・グラフィック性能の底上げやAI処理性能の大幅な向上により、コンパクトな筐体のままでも高負荷なAI関連タスクへの対応力が増した点は評価されている。販売はApple Store直営店やapple.com、Apple Storeアプリのほか正規販売代理店でも行われており、Trade Inプログラムや法人向け専門サポートも用意される。10月下旬に控える512GB版Mac Studio M5 Ultraの投入により、Appleのデスクトップ製品ラインはハイエンドAIワークロード向けの選択肢をさらに広げることになる。

September 29, 2026

systemd 262リリース、静的PID 1ビルドでコンテナ対応を強化しTPM保護も向上

概要 Linuxの主要な初期化システムであるsystemdの最新版「v262」が公開された。今回の目玉は、PID 1およびexecutorバイナリを静的リンクでビルドできるようになった点で、動的ライブラリの読み込みを避けられることから、軽量なコンテナ環境をターゲットにした変更となっている。あわせて仮想化・セキュリティ・ストレージまわりの機能拡張も多数含まれており、幅広い分野にわたる大型アップデートとなった。 仮想化とサービス管理の強化 仮想マシン起動ツールのsystemd-vmspawnは、既存のAMD SEV-SNPに加えて「Intel TDX」による機密仮想マシン(confidential VM)に対応し、セキュアブートの有効化もサポートするようになった。サービス管理面では、複数のサービスが同時に再起動して負荷が集中する事態を避けるためのRestartRandomizedDelaySec=オプションが新設され、再起動前にランダムな遅延を挟めるようになった。またスライスユニットにはActivatingConcurrencyMax=が追加され、同時に活性化できるユニット数を制限できるようになっている。 TPM・暗号化・ジャーナルまわりの改善 セキュリティ面では、TPM封印された認証情報がTPMのStorage Root Key(SRK)にピン留めされるようになり、「interposed TPM device」を用いた攻撃への耐性が向上した。TPM2 PIN登録にはArgon2idのサポートも加わっている。ディスク暗号化まわりでは、systemd-cryptenrollに初回起動ウィザード機能が搭載され、自動化されたディスク復号化メカニズムを組み込みやすくなった。またsystemd-homedは新しいfscrypt v2ポリシーに対応したが、既存のv1ホームディレクトリからのin-placeアップグレード経路は提供されない点には注意が必要だ。ジャーナル関連では、不正シャットダウン後にアクティブなジャーナルファイルから有効なエントリを回復できるようになったほか、ジャーナルシーリングの実装がlibgcryptからOpenSSLへ移行された。 互換性の変更と今後 一方で後方互換性に関わる変更もある。レガシーなudevコントロールソケットプロトコルが削除され、Varlink IPCに一本化されたほか、複数の旧Mesonビルドオプションやコマンド出力フォーマットが変更されている。既存環境からのアップグレード時にはこれらの差分を確認しておく必要があるだろう。静的PID 1ビルドやTDX対応といった今回の拡張は、軽量コンテナや機密コンピューティング基盤でのsystemd活用をさらに後押しするとみられ、今後のディストリビューションでの採用状況が注目される。

September 29, 2026

京王グループにランサムウェア攻撃、ホテル事業の決済システムなどが停止

概要 東京・多摩地域を地盤とする大手私鉄の京王グループが、ランサムウェア攻撃を受けたことを確認した。同社によると、2026年9月26日未明にグループのサーバーに対するランサムウェア攻撃を確認し、被害拡大を防ぐため直ちにネットワークを遮断する対応を取ったという。影響は主に京王プラザホテルをはじめとするホテル事業に及んでおり、顧客向けの決済サービスなど一部の業務システムが停止した。一方で、鉄道の運行システムへの影響はないことを確認済みとしている。 対応状況と調査の進捗 京王グループは公式声明で「2026年9月26日未明、当社グループのサーバーに対するランサムウェア攻撃を確認した。警察へ通報するとともに調査を進めている」とコメントしている。現在は外部のサイバーセキュリティ専門家の協力を得て、攻撃の侵入経路や被害範囲の特定を進めている段階で、顧客情報や取引先情報への不正アクセスの有無についても調査中としている。報道時点では情報の外部流出は確認されておらず、どのランサムウェアグループの犯行かを名乗り出た組織もない。攻撃の具体的な手口についても現時点では公表されていない。 京王グループは鉄道85km・69駅を運行するほか、25軒のホテルを展開し、従業員2,200人超、年間売上高は約26億ドル規模とされる大手事業者であり、交通インフラと宿泊事業を併せ持つ企業がランサムウェアの標的となった事例として注目される。攻撃が鉄道サービスに影響しなかった具体的な技術的理由については現時点で公表されていない。 今後の見通し 現時点では被害の全容が明らかになっておらず、情報漏えいの有無を含めた調査結果の続報が待たれる。国内では近年、交通・宿泊関連事業者を狙ったランサムウェア被害が相次いでおり、決済システムなど顧客接点となるシステムの防御体制強化が改めて課題として浮かび上がっている。

September 29, 2026

Amazon、出品者向けSeller AssistantをClaudeやAmazon Quickから直接操作可能に

概要 シアトルで開催された「Amazon Accelerate 2026」にて、Amazonは出品者向けAIツール「Seller Assistant」の大幅な機能強化を発表した。新たに永続的な記憶機能と常時稼働のワークフローを追加するとともに、AnthropicのClaudeおよびAmazon QuickからSeller Assistantの機能を直接呼び出せる新しい「Selling Partner」プラグインを公開した。Amazon Quickでは正式提供、Claudeではベータ版としての提供となる。これまで自社アプリ内に閉じていた出品者支援機能を外部のAIエージェントに開放する取り組みであり、Amazon・Anthropic・AWSが協力してAmazon BedrockとClaudeモデルを基盤に構築した。あわせて、全世界のプライマリアカウント保有者を対象に、2026年12月31日まで登録可能な12か月間無料のAmazon Quick Plusも提供される。 新プラグインでできること 新しいSelling Partnerプラグインを使うと、出品者はClaudeやAmazon Quickのチャット画面から、リスティングと在庫レベルの確認、売上分析やパフォーマンス指標の閲覧、価格調整、在庫が一定水準を下回った際のアラート設定などを行える。接続作業はおよそ60秒で完了し、コードを書く必要はない。Anthropicのエリック・バーンズ氏は、この手軽さを製品の特徴として強調している。安全面では、すべてのアクションは実行前に出品者の承認を経る仕組みになっており、やり取りには監査証跡が残るため、価格変更や在庫操作といった実務に直結する操作でも制御を失わずに済む設計だ。 記憶とワークフローの強化 Seller Assistant自体の進化も大きい。新たに追加された永続的な記憶機能は、出品者の価格パターン、在庫サイクル、成長目標を保持し、複数のツールをまたいでもコンテキストが失われないようにする。このメモリはClaudeやAmazon Quickとも共有されるため、どの窓口からアクセスしても一貫した文脈で助言を受けられる。常時稼働ワークフローでは、「上位商品の評価が星4つを下回ったら通知する」といった定型タスクを出品者がログインしていない間もバックグラウンドで監視・実行できるようになり、Amazonによれば、Assistantの推奨事項は90%以上の割合で受け入れられているという。2023年の導入以来、Seller Assistantはすでに販売パートナーの90%が利用する主要ツールに成長しており、今回の刷新はその上に外部AIエージェントとの連携層を重ねる形になる。 展開状況と今後 現時点でのベータ提供は米国が先行しており、Amazonは国際展開や他のAIプラットフォームとの統合も今後進める方針を示している。実際に利用した出品者からは、従来は手作業で午後いっぱいかかっていた在庫・価格管理が一瞬で完了するようになったとの声が上がっているという。生成AIエージェントに実運用データへのアクセスと操作権限を与える動きは、承認フローや監査証跡といった安全策とセットで語られており、他のECプラットフォームや業務システムがAIエージェント連携をどう設計するかの参考事例としても注目される。

September 29, 2026

Anthropic、2,000以上のプラグイン・コネクタを揃えた「Claude Marketplace」を開設

概要 Anthropicは9月23日、Claudeを軸としたエコシステムを一元的に発見・導入できる新プラットフォーム「Claude Marketplace」を開設した。Atlassian、Google、Microsoft、Notion、Salesforceなど主要企業が提供する2,000以上のコネクタ・プラグインを筆頭に、「コネクタ/プラグイン」「Claude搭載エージェント・製品」「サービスパートナー」の3カテゴリーでカタログを構成する。App StoreやGoogle Playのように、企業や開発者がClaude向けの製品・サービスを探し、導入する窓口として機能する。 3つのカテゴリーと参加企業 コネクタ・プラグイン部門にはAtlassian、Google、Microsoft、Notion、Salesforceなどが名を連ね、例えばAtlassianはTeamwork Graphとの連携により「Claudeに質問すれば、自分たちの業務環境を本当に理解した上で答えてくれる」体験を掲げる。NotionはチームがすでにNotion上に蓄積している知識やコンテキストをそのままClaudeに持ち込めるとし、Salesforceはツールを切り替えることなくCRMデータやSlackへアクセスできる点をアピールする。 「Claude搭載エージェント・製品」部門には、CrowdStrike、Cursor、Harvey、Hebbia、Legora、Lovable、Snowflakeといった企業が並ぶ。CrowdStrikeはセキュリティプラットフォーム「Falcon」をマーケットプレイスに持ち込み、「企業がAIを活用する場所にAIネイティブなサイバーセキュリティを届ける」とコメントしている。Snowflakeはコンテキスト・セキュリティ・効率性を備えた「ガバナンスの効いたAIの拠点」を提供するとしている。さらに、Accenture、Boston Consulting Group、Deloitteなどのコンサルティング・システムインテグレーション企業が「サービスパートナー」として名を連ね、導入支援を担う。 技術基盤とビジネスモデル コネクタやプラグインの開発には、Anthropicが主導するオープン標準であるModel Context Protocol(MCP)とAgent Skillsが用いられている。開発者はこれらの枠組みを使って構築したコネクタ・プラグインをドキュメントに沿って申請できるほか、Claude搭載製品としての掲載申請、あるいはコンサルティング企業向けのClaude Partner Networkへの参加申請という3つの経路でマーケットプレイスに関わることができる。ビジネス面では、企業顧客がAnthropicとの間で確保している既存のコミット済み支出を、マーケットプレイス上のClaude搭載製品やサービスの購入に充てられる仕組みを導入し、調達プロセスの簡素化を図っている。 背景と展望 BleepingComputerは、OpenAIが過去に試みたアプリストア構想が振るわなかった経緯に触れつつ、Anthropicは開発者に開放的な公開モデルを採用し、誰でもコネクタやプラグインを作成できる点を対照的な戦略として紹介している。BleepingComputerはこのマーケットプレイスを「AI関連機能のGoogle Playストア」を築こうとする動きだと形容しているが、審査プロセスや掲載までの期間、料金プラン別の違いといった詳細はAnthropicからまだ公表されておらず、同様の過去の取り組みの実績を踏まえると成否は不透明だとの指摘もある。今回の開設は、Claude Codeへのクラウドクレジット無料提供など最近の顧客向け施策の延長線上にあり、Anthropicは開発者に既存顧客への直接的な接点を提供する一方、利用企業側の導入・調達にかかる手間を減らすことを狙っている。

September 29, 2026

Google・OpenAI・AnthropicがAI業界の自主規制団体「Standards Authority for Frontier AI」設立へ、FINRAを模範に

概要 Google、OpenAI、Anthropicの3社が、フロンティアAIモデルの安全基準を策定する業界自主規制団体「Standards Authority for Frontier AI」の設立を計画していることが明らかになった。米証券業界の自主規制機関FINRA(金融取引業規制機構)をモデルとし、2026年末から2027年初頭の発足を目指す。背景には、トランプ政権下で検討されていた連邦政府主導のAI安全規制の枠組みが、ホワイトハウス内で行政命令草案への十分な支持を得られず停滞したという事情がある。3社は当初、連邦政府の監督下に置かれる機関の設立を望んでいたが、政府主導の実現が難しくなったことを受け、民間主導の自主規制団体へと方針を転換した形だ。 想定されている活動内容 新団体が担う役割として報じられているのは、モデルのリリース前に第三者機関がテストを行う仕組みの整備、AI開発企業が安全・セキュリティ上のインシデントをどのように報告すべきかを定めるルール策定、そして独立系のモデル監査人に対する資格認定制度の構築だ。将来的には団体自らがモデルの安全性テストを実施する可能性にも言及されている。一方で、こうした基準を遵守しない企業に対する具体的な執行権限については、現時点でまだ定められていないという。 参加企業と既存の枠組みとの関係 現時点で参加が明らかになっているのはGoogle、OpenAI、Anthropicの3社のみで、Microsoft、Meta、xAIといった他の主要プレイヤーの参加は報道では確認されていない。ただし一部報道では、これら3社にMicrosoftを加えた4社が2023年に設立し現在も活動を続ける業界団体「Frontier Model Forum」との連携が視野に入っているとされ、Microsoftも関連する議論に加わっているとの言及もある。国連安全保障理事会での議論では、AnthropicのDario Amodei CEOとOpenAIのSam Altman CEOがAIリスク低減に向けたグローバルな基準の必要性で一致したと伝えられている。また、Microsoft社長のBrad SmithもBloomberg Televisionのインタビューで、独立した評価機関や人間が制御可能な停止機構の必要性を訴えている。 自主規制への懐疑論 もっとも、業界自らによる自主規制の実効性には懐疑的な見方も根強い。Bill Gatesは「AIの分野において自主規制だけでは不十分だ」と指摘し、Meta元幹部のNick Cleggも「AI開発企業が自らを規制することはできない」と述べるなど、当事者による基準策定の限界を疑問視する声が上がっている。オープンソース開発者や小規模な競合企業が、大手3社主導で作られる基準の策定プロセスから排除されるのではないかという懸念も指摘されている。政府主導の規制が停滞する中で業界がどこまで実効性のある枠組みを自ら構築できるか、そして執行権限の設計を含めた制度の具体化が今後の焦点となりそうだ。

September 29, 2026

PostgreSQL 19 Beta 4リリース、REPACKコマンドとautovacuum新方式を強化しつつSQL/PGQなど一部機能は撤回

概要 PostgreSQLプロジェクトは9月24日、次期メジャーバージョンとなるPostgreSQL 19の4回目のベータ版「Beta 4」を公開した。今回のベータでは、テーブルの再編成と再クラスタ化を統合的に行う新しいREPACKコマンドの不具合修正や、autovacuumの優先順位付けを見直す新しいスコアリング方式の改善が加えられている。一方で、開発当初にPostgreSQL 19向けとして予定されていたSQL/PGQ(プロパティグラフクエリ)対応など複数の新機能は、信頼性と予測可能なリリーススケジュールを優先する方針のもと、今回のリリースからは撤回された。次の節目となるリリース候補版(RC)は10月上旬に予定されており、正式版(GA)は10月中の公開が見込まれている。 REPACKコマンドとautovacuumの改善 REPACKはPostgreSQL 19で新たに導入される予定のメンテナンスコマンドで、従来VACUUM FULLやCLUSTERに分かれていたテーブルの物理的な再編成・再クラスタ化を統合的に扱えるようにするものだ。Beta 4では、クラッシュの修正に加え、無効なインデックスやマテリアライズドビューを対象にした際の不正な動作、パーミッション関連の不具合、エラー報告の不備などが修正されている。ストレージ効率とクエリ性能の向上を狙う機能であるだけに、正式リリースに向けて安定性を高める重要な修正といえる。 もう一つの注目点は、autovacuumの新しいスコアリングシステムだ。これはバキューム処理の優先順位をより適切に決定する仕組みで、TOASTテーブルに関する複数の修正が今回のベータに含まれている。大規模なテーブル群を運用する環境では、autovacuumの実行順序が性能に直結するため、スコアリング方式の精度向上は実運用上のメリットが大きい。 撤回された機能と今後のスケジュール 一方で、PostgreSQL 19に向けて開発が進められていたいくつかの新機能は、今回のリリースから撤回されることが明らかになった。プロパティグラフに対するクエリを可能にするSQL/PGQ、データチェックサムのオンライン有効化・無効化、期間指定での更新・削除を行うFOR PORTION OF句、ALTER TABLE ... MERGE/SPLIT PARTITIONS、およびpg_get_role_ddl()など複数のDDL取得関数がその対象だ。プロジェクトは信頼性の確保と予測可能なリリーススケジュールの維持を優先する姿勢を示しており、これらの機能はコミュニティによる十分な検証時間を確保した上で、将来のメジャーバージョンでの再実装が目指される。 その他にも、WAIT FORコマンドにおけるデッドロックの修正や分離レベルエラー報告の改善、外部キー制約チェックの性能改善に関する複数の修正、旧バージョンからPostgreSQL 19への論理レプリケーション初期同期の修正、コンフリクト検出やレプリケーション時のCREATE PUBLICATION ... EXCEPTに関する修正、COPY FROMのSIMD最適化に関するバグ修正、パーティションの同時デタッチ完了時のクラッシュ修正など、幅広い領域で品質改善が行われている。 今後の展望 プロジェクトは次のリリース候補版を10月上旬に公開する計画を示しており、正式版(GA)も10月中の公開が見込まれる。ベータ版での品質はPostgreSQL 19の最終的な完成度を左右するため、プロジェクトは利用者に対し積極的なテストとバグ報告フォームを通じたフィードバックの提供を呼びかけている。SQL/PGQなど撤回された機能については、今後のメジャーバージョンでの取り込みに向けた議論が続くとみられる。

September 29, 2026

セキュアファイル共有のKiteworks、ゼロデイ攻撃の恐れで顧客に6時間のシステム停止を要請

概要 政府機関や金融機関などに利用されているセキュアファイル共有大手のKiteworksが、顧客に対して世界規模でのシステム一時停止を要請した。同社は9月25日、連邦の情報機関から「一部の顧客向けKiteworksシステムを標的とした攻撃が試みられる可能性がある」との信頼性の高い脅威情報を受けたと発表し、これを受けて9月26日に6時間のシステム停止期間を設定した。停止時間帯は中央ヨーロッパ時間で午前4時から午前10時、ニューヨーク時間では金曜午後10時から土曜午前4時に相当し、全世界の顧客に適用される内容となっている。 未知の脆弱性への警戒 サポート担当者は今回の停止措置について「潜在的なゼロデイ攻撃から保護するため」と説明した一方、Kiteworksはあくまで予防的な措置であることを強調している。同社は「現時点で判明しているすべての脆弱性は最新リリースであるバージョン9.5.1で対処済みである」とし、「Kiteworksシステムの侵害を確認した事実はなく、今回の勧告は実際の侵害への対応ではなく予防的なものである」との声明を出した。またKiteworksは「万全を期すため、顧客に直接通知を行い、法執行機関と連携して問題に対処する間、予防的な停止期間を設けるよう推奨した」としている。同社は顧客に対し、最新バージョンへの更新に加え、インターネットに直接公開されていないシステムであってもオフラインにするよう呼びかけ、捜査当局への協力を求めている。 ファイル転送製品を狙う攻撃グループの脅威 Kiteworksのようなセキュアファイル転送・コミュニケーション基盤は機密文書を大量に保存していることが多く、データ窃取を伴う恐喝を目的とした攻撃者にとって格好の標的となってきた。実際、恐喝グループのClopはこれまでAccellion FTA、GoAnywhere MFT、SolarWinds Serv-U FTP、Cleo、MOVEit Transferといった企業向けファイル共有製品を相次いで標的にしてきた経緯があり、米国務省はClopの攻撃と外国政府との関連情報提供に対して1000万ドルの報奨金を設定している。今回のKiteworksの事案でも、具体的な脆弱性の内容や攻撃者の身元は明らかにされておらず、法執行機関との調査が続く中で今後の詳細な情報開示が注目される。

September 29, 2026