TIOBE Index 2026年4月:Rustが16位に後退、Cが躍進しPythonは首位を堅守

概要 2026年4月版のTIOBEプログラミング言語インデックスが発表され、Rustが年初の13位から16位(シェア1.09%)へと後退したことが注目を集めている。Rustは2020年頃からセキュリティと性能を両立する言語として評価が高まり、継続的に順位を伸ばしてきたが、今回の下落はその上昇トレンドの鈍化を示す結果となった。Google・Microsoft・Linuxカーネルチームなど主要なテクノロジー企業や団体が積極的にRustの採用を推進しているにもかかわらず、ランキング上は後退した。 一方でPythonは20.97%のシェアで首位を堅守し、依然として圧倒的な存在感を見せている。上位5言語はPython(1位)、C(2位・12.34%)、C++(3位・8.03%)、Java(4位・7.79%)、C#(5位・5.98%)の順となっている。 Rustが後退した背景 TIOBEのCEOであるPaul Jansen氏は、Rustの下落について「Rustは非専門家にとって依然として習得が難しい言語であることが主な要因だ」とコメントしている。所有権(ownership)や借用(borrowing)といったRust固有のメモリ管理モデルは、他の言語から移行する開発者に大きな認知的負荷を与えることが知られており、主流への広範な採用を妨げる障壁になっていると指摘されている。 対照的に、セキュリティ面では時代遅れとも批判されるCが今月2.39ポイントもシェアを伸ばした。これはRustへの移行を推奨してきた各機関の姿勢とは逆行する動きであり、現場レベルでは依然としてCが根強い支持を持っていることを示している。 指標の限界と今後の見通し TIOBEインデックスはWebの検索エンジンにおける検索頻度をもとに「開発者の関心度」を測定する指標であり、実際のコード採用率や求人数を直接反映するものではない点に注意が必要だ。さらに近年はAIコーディングアシスタントの普及により、開発者が従来の検索エンジンでプログラミング関連の情報を検索する機会自体が減少しており、TIOBEインデックスの測定精度や有効性そのものへの疑問も呈されている。 Rustの今回の下落は必ずしも言語そのものの衰退を意味するわけではなく、通常の市場変動の範囲内との見方もある。セキュリティが重要なシステムインフラやOSレベルの開発へのRust採用は引き続き進んでおり、長期的な技術的影響力は維持されるとみられている。今後もRustの習得難易度の改善(ツールチェーンの充実、教育リソースの拡充など)が普及加速の鍵を握りそうだ。

April 20, 2026

印刷可能な人工ニューロンが生体脳細胞との通信に成功、BCIへの応用に期待

概要 ノースウェスタン大学の研究チームは2026年4月15日、生きた脳細胞と電気的に通信できる印刷型人工ニューロンの開発に成功したと発表した。この装置はマウス脳組織スライス上の実際のニューロンを活性化させることに成功しており、ブレイン・コンピュータ・インターフェース(BCI)や神経プロテーゼへの応用が大きく期待されている。研究成果はNature Nanotechnology誌に掲載された。 技術的な詳細 人工ニューロンの製造には、半導体材料として二硫化モリブデン(MoS2)ナノフレーク、電気伝導体としてグラフェンを電子インクとして利用した。これらをエアロゾルジェット印刷技術によって柔軟なポリマー基板上に成膜し、さらにポリマーを部分的に分解させることで局所的な導電フィラメントを形成している。 この製造プロセスは加算的(積み上げ型)であるため、従来のシリコン加工と比較して廃棄物の発生が少なく、低コストでの製造が可能という利点もある。また、柔軟な基板を使用しているため、脳の曲面にフィットする神経デバイスへの組み込みも現実的な選択肢となる。 研究を主導したMark Hersam教授は「この装置が生成する信号のタイミングと波形は、生きたニューロンと相互作用するに値するレベルに達している」と説明している。実際に単一スパイク、連続発火、バースト発火といった複数の発火パターンを再現できており、従来のデバイスより生物学的に現実的な信号を出力できる点が特徴だ。 応用可能性と意義 この技術が拓く応用分野は幅広い。医療面では、脳機械インターフェース(BMI)や、聴覚・視覚・運動機能の回復を目的とした神経プロテーゼへの組み込みが想定されている。さらにHersam教授はAIの消費電力問題にも言及し、「脳は現存する最も電力効率の高いコンピューターである」と述べている。ヒトの脳は従来型デジタルコンピューターと比べて5桁以上(10万倍以上)省エネルギーであり、脳の動作原理をヒントにした次世代ハードウェア設計への貢献も期待されている。 印刷技術を活用することで、大量生産・低コスト化・フレキシブル化が見込まれ、これまで高コストや製造上の制約から実現が難しかったニューロモルフィックデバイスの実用化を一歩前進させる研究成果として注目を集めている。

April 20, 2026

AWSが複数サービスの段階的廃止を発表——App Runnerは4月30日に新規受付停止

概要 AWSは、複数のサービスについて新規受付停止および段階的廃止の計画を相次いで発表した。最も早い対応が必要となるのはAWS App Runnerで、2026年4月30日をもって新規利用登録が停止される。その後はメンテナンスモードへ移行し、既存ユーザーは引き続きサービスを利用できるものの、新機能の追加や機能強化は行われない。利用中のユーザーには代替サービスへの移行計画を早期に立てることが求められる。 対象サービスと廃止スケジュール 廃止が発表されたサービスはApp Runnerにとどまらず、完全終了(サンセット)となるサービスも複数含まれる。Amazon RDS Custom for Oracleは2027年3月31日にサポートを終了する予定で、SSH経由でのインフラアクセスやカスタムパッチ・バックアップ運用が可能だったこのサービスの利用者は、AWSが提供する公式ドキュメントの移行ガイドを参照して対応が必要となる。 メンテナンスモードへ移行するサービスには、以下が含まれる(AWS CloudTrail Lakeはすでに2026年3月31日に新規登録を停止済み)。 AWS CloudTrail Lake AWS Audit Manager AWS IoT FleetWise Amazon Comprehend(一部機能) Amazon Rekognition(一部機能) SNS Message Data Protection Application Recovery Controller Readiness Check さらに完全廃止(サンセット)が予定されているサービスとして、Amazon WorkMail・Amazon WorkSpaces Thin Client・AWS Service Management Connector の3つが挙げられている。 移行先と今後の対応 AWS App Runnerからの推奨移行先として、AWSは2025年12月にリリースされたAmazon ECS Express Modeを提示している。ECS Express Modeはマネージドコンテナサービスとして、App Runnerが提供していたシンプルなコンテナデプロイ体験を引き継ぐ位置づけとなる。Amazon RDS Custom for Oracleについても、公式ドキュメント上で移行パスの選択肢が案内されている。 今回の一連の発表は、AWSがポートフォリオの整理を進めていることを示す動きとも言える。利用中のサービスが対象に含まれている場合は、廃止タイムラインを確認した上で、代替サービスへの移行計画を早期に策定することが重要だ。

April 20, 2026

CloudflareがAIエージェント向けインフラを拡充、Git対応ファイルシステムとメールサービスを相次ぎ発表

概要 Cloudflareは、AIエージェントがクラウド上で自律的に作業するための基盤インフラを相次いで発表した。AIエージェント専用ファイルシステム「Cloudflare Artifacts」をプライベートベータで公開したほか、AIエージェントがメールの送受信を直接操作できる「Cloudflare Email Service」をパブリックベータとして提供開始した。いずれもAIエージェントの実用的な活用を支える基盤として位置付けられており、自律型エージェントの普及を見据えたインフラ整備が本格化している。 Cloudflare Artifacts:AIエージェント専用ファイルシステム 「Cloudflare Artifacts」は、AIエージェントが大量のファイル操作を効率的に行えるよう設計された専用ファイルシステムだ。Gitとの互換性を持ちバージョン管理やフォーク機能に対応しており、RESTful APIおよびCloudflare Workers API経由でアクセスできる。設計上の特徴として、AIモデルが学習済みのスキルをそのまま活用できるよう配慮されており、追加のトレーニングなしに利用可能な点が強調されている。 既存のGitHubなどのファイルシステムは人間ユーザーを前提に設計されているが、数百〜数千のAIエージェントが同時にコードの生成・編集・フォークを行うシナリオでは、大量の小さなデータ(設定ファイル、状態管理、セッション履歴など)を効率よく扱う専用インフラが必要とされている。現在はプライベートベータとして提供されており、2026年5月初旬にはパブリックベータへの移行が予定されている。 Cloudflare Email Service:AIエージェントにメール機能を提供 「Cloudflare Email Service」は、アプリケーションやAIエージェントがメールの送受信を直接操作できるサービスで、パブリックベータとして公開された。SPF・DKIM・DMARCの設定が自動化されており、セキュリティ面の構成作業を簡略化している。 アクセス方法は複数用意されており、Cloudflare Workers内からはシークレット不要でAPIを直接呼び出せる。外部からのアクセスにはTypeScript・Python・Go向けの専用SDKが提供されており、それ以外の言語ではRESTful APIを利用できる。また、Cloudflare MCP ServerがEmail Serviceと統合されており、「Cloudflare Skills」を通じてAIエージェントが必要な操作スキルを取得できる仕組みも整備されている。Cloudflareは参考実装としてオープンソースプロジェクト「Agentic Inbox」を公開しており、AIエージェントとメール機能を組み合わせた実装例として活用できる。Cloudflareは以前から転送専用サービス「Cloudflare Email Routing」を提供していたが、本サービスはそれとは別に、アプリケーション層での直接的なメール送受信を実現する新たなサービスとして提供されている。 AIエージェント向けインフラ競争の加速 今回の発表は、AIエージェントが単なる会話AIを超えて、クラウド上で自律的にタスクを実行する存在として本格的に想定されていることを示している。ファイルシステムやメール送受信など、従来は人間が扱っていたインフラのレイヤーをAIエージェント向けに再設計する動きは、クラウド各社にとって新たな競争領域となっている。Cloudflareはエッジコンピューティングとの統合という強みを活かしながら、AIエージェントの実行環境として自社プラットフォームを確立しようとしている。

April 20, 2026

DeepSeek V4、4月下旬リリースへ——1兆パラメータ・Huawei Ascend専用設計でNVIDIA不要の初フロンティアモデルへ

概要 DeepSeekは次世代フラッグシップモデル「V4」を2026年4月下旬にリリースする見通しだ。2度の延期を経て最終調整が続いているとされ、ロイターも「今後数週間以内」のリリースを報道している。V4の軽量版にあたる「V4-Lite」はすでに3月9日からテスト段階に入っており、本番リリースの直前段階にあるとみられる。 最大の注目点はハードウェア戦略にある。V4はNVIDIAではなくHuaweiのAscend 950PRチップ向けに最適化された、初の「フロンティア級AIモデル」として位置づけられている。ロイターが4月3日に報じたように、Alibaba・ByteDance・Tencentといった中国大手テック企業は数十万ユニット規模でAscend 950PRを大量発注しており、中国国内のAIインフラがNVIDIA依存から脱却しつつある様子が鮮明になってきた。 技術的な詳細 V4はMixture-of-Experts(MoE)アーキテクチャを採用し、総パラメータ数は1兆に達する見込みだが、推論時に実際に活性化されるのは約370億パラメータにとどまる。これにより、1兆パラメータ相当の知識を保有しながら37Bモデルと同程度の計算コストで推論できる設計となっている。コンテキストウィンドウは100万トークンで、128Kトークン時点での文脈検索精度は94%(従来45%)と大幅に向上している。マルチモーダル対応(テキスト・画像・動画のネイティブ生成)も搭載予定だ。 内部アーキテクチャには三つの革新が盛り込まれている。まず、ハッシュベースのO(1)検索で静的知識を扱う「Engramコンディショナルメモリ」は、アテンション機構の二次スケーリング問題を回避する。次に、トークンの複雑度に応じて密なアテンションと疎なアテンションを動的に切り替える「DeepSeek Sparse Attention(DSA)」が推論コストを削減する。最後に、1兆パラメータモデルの安定した訓練を実現する「Manifold-Constrained Hyper-connections(mHC)」が全体の学習品質を支える。推論速度はV4-Liteの段階でV3比30%の高速化が確認されており、価格は入力約$0.30/百万トークン、出力$0.50/百万トークンと競合比1/20〜1/50程度となる見込みだ。 米国輸出規制とCUDA脱却の意味 V4がHuawei Ascend専用設計を採用した背景には、米国の輸出規制によりNVIDIAチップへのアクセスが制限されていることがある。TrendForceの分析によれば、HuaweiはAscend 950PRにおいて2 PFLOPS(FP4)の演算性能と2TB/sのインターコネクト帯域幅を実装し、112GBの独自HiBLメモリを搭載することで外部サプライチェーンへの依存を削減している。DeepSeekが推論・学習の両面でAscend上の完全なソフトウェアスタックを構築できれば、コア開発パイプラインはCUDAから独立できると専門家は見る。 ベンチマーク予測では、SWE-benchがV3.2の67.8%から81%程度に、HumanEvalが82%から90%程度に、MMLU-Proが85.0%から89%程度に向上するとされており、コーディング・推論能力の大幅な伸びが期待されている。NVIDIAのCEOもこの動向をAI覇権に対する重大な脅威として言及しており、V4のリリースは米中AI開発競争の新たな転換点となる可能性がある。

April 20, 2026

Google MCP Toolbox for Databases v1.0、40以上のデータソースに対応しModel Context Protocolを正式サポート

概要 Googleは2026年4月、オープンソースのデータベース連携フレームワーク「MCP Toolbox for Databases」がModel Context Protocol(MCP)に正式対応し、バージョン1.0としてリリースされたことを発表した。旧称は「Gen AI Toolbox for Databases」で、今回のリリースを機に名称もMCPとの統合を反映したものへ変更された。MCP(Model Context Protocol)はAnthropicが策定したAIシステムと外部データソースを接続するためのオープン標準であり、AIモデルと外部ツール間のユニバーサルインターフェースとして機能する。このプロトコルがLinux Foundation傘下のAgentic AI Foundation(AAIF)に参加したことで、業界標準としての地位が確立されつつある。 対応データソースとSDK v1.0では40以上のデータソースへのネイティブ接続が可能となった。Googleクラウドのデータベース群(AlloyDB、Spanner、BigQuery、Cloud SQL for PostgreSQL/MySQL/SQL Server、Bigtable)に加え、Oracle、MongoDB、Snowflake、自己ホスト型のPostgreSQLやMySQLといったサードパーティシステムも幅広くサポートする。クライアントSDKはPython、Go、TypeScript/JavaScript、および今回新たに追加されたJavaの4言語で提供されており、LangChain、LlamaIndex、Agent Development Kit(ADK)との深い統合も実現している。 セキュリティと可観測性の設計 本フレームワークの設計思想の中核にあるのは、「確率的なLLMと決定論的な本番データベースの間の信頼ギャップを埋める」という考え方だ。AIエージェントに生のデータベースアクセスを直接与えることの危険性を回避するため、宣言的な設定ファイル(config.yaml)でアクセス可能なアクションを明示的に定義する。テナントIDなどの機密パラメータはサーバー側でランタイムに注入され、言語モデルの制御外に置かれる。また、OAuth 2.1リソースサーバーとして機能し、自動ディスカバリーと厳密なトークン検証によるアクセス制御を実現する。可観測性の面ではOpenTelemetryを統合し、エージェントとデータベース間のすべてのインタラクションをトレース・メトリクス・ログとして記録できる。 今後の展望 v1.0の安定版リリースにより、開発チームはアップストリームの破壊的変更を心配せずにMCP Toolboxを基盤としたエージェント型アプリケーションを構築できるようになる。今回の正式リリースはGoogle Cloud Next 2026(ラスベガス)でも取り上げられる予定で、「Power Intelligent Agents with AI-Native Databases」セッションにて詳細が紹介される見込みだ。プロジェクトはGitHub上でオープンソースとして開発が続けられており、コミュニティへの参加も積極的に歓迎されている。

April 20, 2026

Google、Gemini 3.1 Flash TTSをリリース — 200以上の音声タグと70以上の言語で表現力豊かな音声合成を実現

概要 Google DeepMindは2026年4月15日、次世代テキスト読み上げ(TTS)モデル「Gemini 3.1 Flash TTS」を正式リリースした。70以上の言語と30種類の音声、そして200以上の「音声タグ(Audio Tags)」に対応し、声のスタイル・テンポ・感情表現を細粒度で制御できる点が最大の特徴だ。Gemini API、Google AI Studio、Vertex AI、Google Vidsを通じて利用可能となっており、開発者から一般ユーザーまで幅広い層をターゲットとしている。 音声タグによる表現制御 従来のTTSモデルが機械的で単調な読み上げに留まりがちだったのに対し、Gemini 3.1 Flash TTSはテキスト入力に自然言語コマンドを埋め込む「Audio Tags」を導入した。[determination](決意)、[excitement](興奮)、[nervousness](緊張)、[whispers](ささやき)、[laughs](笑い)など200以上のタグが用意されており、感情のニュアンスや声のトーンを直感的に指定できる。 また地域別アクセントの指定(アメリカ南部、ブリティッシュRP、トランスアトランティックなど)や、ポッドキャスト・オーディオブックナレーター・語学チューター・ウェルネスガイド・ニュースキャスターといったフォーマットテンプレートも提供されている。ディレクターレベルの制御が可能で、最適なパラメータが決まればGemini APIコードとしてエクスポートし、一貫した音声体験を再現できる。さらに複数話者による自然なダイアログ生成(ネイティブマルチスピーカー)にも対応している。 ベンチマーク性能とSynthID透かし Artificial Analysis TTSリーダーボードにおいて、Gemini 3.1 Flash TTSはEloスコア1,211を記録し、ElevenLabs v3を上回る結果を達成した。同ベンチマークは数千件の人間によるブラインド評価をもとに算出されており、実際のユーザー体験に即した指標となっている。 また、すべての生成音声にはGoogleの電子透かし技術「SynthID」が適用される。この透かしは人間の耳には感知できない形で音声に埋め込まれており、AI生成コンテンツの検出・追跡を可能にすることで、フェイクニュースや音声詐欺などの悪用を抑止する仕組みを備えている。 提供プラットフォームと今後の展望 開発者向けにはGemini APIおよびGoogle AI Studioで、エンタープライズ向けにはVertex AIで利用できる。一般ユーザー向けにはGoogle Vidsへの統合が行われており、動画コンテンツ制作でのAI音声活用が期待される。Googleは本モデルをGoogleプロダクト全体への展開を進めており、音声アシスタントや翻訳サービスとの連携強化も今後の焦点となりそうだ。高い表現力と制御性を兼ね備えた本モデルの登場により、AI音声合成市場での競争はさらに加速すると見られる。

April 20, 2026

MicrosoftがFoundry Localを正式リリース——クラウド不要のAI環境をアプリにバンドルして配布可能に

概要 Microsoftは2026年4月13日、ローカルAI実行環境「Foundry Local」の正式リリースを発表した。最大の特徴は、AI環境をアプリケーションにバンドルしてインストーラとして配布できる点にある。エンドユーザーが別途クラウドサービスへの接続やモデルのセットアップを行う必要なく、インストールと同時にAI機能をオフライン環境でそのまま利用できる。これにより、クラウドへの依存やネットワーク遅延の問題なく、AIをアプリケーションに深く組み込んだ製品の開発・配布が可能になる。 技術的な詳細 ランタイムレイヤーにはONNX RuntimeとWindows MLを採用しており、実行環境のGPU・NPU・CPUを自動的に検出して最適な推論処理を行う。macOSではMetal APIを介してAppleシリコンのGPUにも対応しており、WindowsのみならずMacやLinuxでも同等の機能を利用できるクロスプラットフォーム対応となっている。 APIは、OpenAIのRESTful APIと互換性のある「Foundry Local Core API」として提供される。そのため、既存のOpenAI API対応コードからの移行が容易で、JavaScript・C#・Python・Rustの各言語向けSDKが用意されている。利用可能なモデルはGPT OSS、Qwen Family、Deepseek、Whisper、Mistral、Phiなど複数ファミリーから選択でき、用途や実行環境に応じたモデルサイズの使い分けも可能だ。 今後の展望 Microsoftは今後、AIモデルカタログの拡充、NPU・GPU対応デバイスのさらなる拡大、リアルタイム文字起こし機能の追加、そして複数アプリケーション間でのモデル共有機能といった強化を予定している。エッジ・オフライン環境でのAI活用ニーズが高まる中、配布可能な形でのローカルAIインフラを整備する同社の取り組みは、エンタープライズ向けアプリ開発においても注目される。

April 20, 2026

MicrosoftがSQL MCP Serverをオープンソース公開、PostgreSQL・MySQL・Azure DBなど6種類に対応

概要 Microsoftは2026年4月、AIエージェントが複数のデータベースに対してModel Context Protocol(MCP)経由で横断的に問い合わせを実行できる「SQL MCP Server」をオープンソースで公開した。PostgreSQL・MySQL・SQL Serverといった主要なデータベースから、Azure SQL Database・Azure SQL Data Warehouse・Azure Cosmos DBといったMicrosoftのマネージドサービスまで、6種類のデータベースへの同時接続に対応している。 技術的な詳細 SQL MCP ServerはMicrosoftのオープンソースプロジェクト「Data API builder for Azure Databases」の一部として提供される。Data API builderは、各種データベースに対してRESTful API・GraphQL・MCPの3つのアクセス手段を統一的に提供するプラットフォームであり、SQL MCP ServerはそのMCPサポートを担うコンポーネントとして位置づけられる。 オープンソースであるため、オンプレミス環境はもちろん、Microsoft AzureやAWSなど任意のクラウド環境でも無償で利用・展開できる。複数データベースへの同時接続をサポートしているため、AIエージェントが異なる種類のデータベースをまたいで情報を収集・統合するユースケースにも対応する。 背景と意義 MCPはAnthropic社が提唱したオープンプロトコルで、AIエージェントが外部ツールやデータソースと標準化された方法でやり取りするための仕様だ。MicrosoftがSQL MCP Serverを公開したことで、企業の既存データベース資産をAIエージェントから直接活用しやすくなり、MCPエコシステムのデータ活用領域がさらに拡充された形となる。Data API builderを通じてGraphQLやRESTによるアクセスも同時に提供されるため、AIエージェント以外のユースケースとも統一的なインフラとして機能する点も注目される。

April 20, 2026

OpenSSL 4.0.0正式リリース、ECHとポスト量子暗号対応でTLSセキュリティを刷新

概要 OpenSSLプロジェクトは2026年4月14日、メジャーバージョン「OpenSSL 4.0.0」を正式にリリースした。本リリースはLTS(長期サポート)版ではなく、サポート期限は2027年5月14日までとなっている。TLSの暗号化プロトコルのモダナイゼーションとポスト量子時代への対応を大きく進めた重要なリリースであり、同時にSSLv3やエンジンAPIなど長年にわたって非推奨とされてきた機能が完全に削除されている。 主要な新機能 最大のハイライトはRFC 9849に準拠した**Encrypted Client Hello(ECH)**のサポートだ。ECHを使用することで、TLS接続においてサーバー名(SNI)がパッシブな観察者から読み取れなくなり、プライバシーとセキュリティが向上する。 ポスト量子暗号の分野では、ML-DSA-MUダイジェストアルゴリズムと、ハイブリッド鍵交換グループ「curveSM2MLKEM768」が追加された。量子コンピュータによる将来の攻撃に対する耐性を高めるための対応で、現在進行中の暗号標準移行に沿ったものだ。そのほかの新機能としては、中国の暗号規格であるSM2署名アルゴリズムのサポート、cSHAKE関数、SNMP KDFおよびSRTP KDF対応、WindowsでのVisual C++ランタイムの静的・動的リンク選択オプションなどが挙げられる。 廃止・削除された機能 OpenSSL 4.0.0では多数の破壊的変更が含まれている。最も象徴的なのはSSLv3サポートの完全削除で、2015年に非推奨とされてから約10年を経てついに取り除かれた。SSLv2クライアントハローのサポートも同様に廃止されている。 開発者に影響が大きいのはエンジンAPI(Engine API)の廃止だ。カスタムEVP関数や非推奨のSSL/TLSメソッド関数も削除されており、既存のアプリケーションは互換性確保のための更新が必要になる。加えて、c_rehashスクリプトも廃止された。APIレベルではASN1_STRINGが不透明型(opaque)化され、X.509処理を含む多くの関数にconst修飾子が追加されるなど、アップグレードに際してはコードの修正が求められる場面が多い。 セキュリティ強化とコミュニティの動向 セキュリティ面では、FIPSプロバイダーを使用する際のPKCS5_PBKDF2_HMAC APIに対して下限値チェックが強制されるようになるなど、バリデーションの強化も図られている。 コミュニティからは次のLTSリリースが1年後になるという点や、NISTポスト量子暗号アルゴリズムの実装詳細に関する情報不足を指摘する声も上がっている。OpenSSL 4.0.0はLTS版ではないため、本番環境への採用に際しては次のLTSリリースのスケジュールを考慮した計画が求められる。

April 20, 2026